5・23狭山闘争 東京高裁に再審開始迫る 石川一雄さんに応え

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週刊『前進』02頁(3135号01面02)(2020/05/28)


5・23狭山闘争
 東京高裁に再審開始迫る
 石川一雄さんに応え

(写真 下山第2鑑定をすぐに調べろ 要請行動に先立つ東京高裁前街宣ではボードを掲げスタンディング。石川さんを犯人にでっち上げた国家犯罪と共に安倍・黒川も弾劾し、最後に高裁に向けシュプレヒコール【5月22日】)


 5月23日は57年前の1963年に無実の石川一雄さんが不当逮捕された怒りの日だ。埼玉県狭山市で起きた女子高校生誘拐殺人事件の犯人にでっち上げられ再審無罪へ不屈に闘う石川さんと連帯して、緊急事態宣言を打ち破り5・23狭山統一行動が取り組まれた。東京の報告(関西・広島は次号)です。(編集局)

 5月22日、全国水平同盟杉並支部と部落解放東日本共闘会議は、狭山裁判の再審を求めて東京高裁に対する要請行動に立った。
 東京高裁・寺尾正二裁判長による無期懲役判決が確定し31年7カ月の獄中闘争を不屈に貫いた石川さんは、東京高裁に3度目の再審請求を行っている。
 要請団は開口一番、「第3次再審請求から14年、裁判長は6人目だ。なぜ結論が出せないのか」と語気を強めた。全国水平同盟から杉並・西郡・高槻の各支部、解放共闘から動労千葉、動労水戸、東京各地区労組交流センターやユニオンの要請文が次々と読み上げられ、事実調べと再審開始を迫った。
 「寺尾裁判長以来、一度も事実調べが行われてこなかった。事実調べなしに狭山事件の真実は明らかにできない」「後藤眞理子裁判長は6月24日の退官前に再審開始を決定しろ」
 核心の下山第2鑑定について鋭い追及がなされた。同鑑定は、石川さん宅から発見され有罪証拠とされた被害者の万年筆からは被害者が使っていた万年筆のインクに含まれていたクロム元素が検出されず偽物だと科学的に証明した。検察は、同じインクが入手できなかったとして実験による反証はせず、単なる反論で逃げようとしている。
 「下山第2鑑定に検察は反証できない。元素分析でインクが違うと明らかになった。他の元素が出るわけがない。下山鑑定が正しいと言ったも同じだ。後藤裁判長はそれにほおかむりしている」「検察にとって被害者の物と同じインクが手に入らないなどいうことはありえない。反証しないとは完敗ということだ。再審開始しかないんだ」
 対応した訟廷管理官らは圧倒され言葉も出ない。要請団は、狭山闘争支援者に向けた石川さんの5月メッセージ(抜粋別掲)と3・22東京高裁包囲デモの写真を資料として提出し、後藤裁判長の退官前に再度要請に来ることを通告した。
 検察は5月中に下山第2鑑定に反論するとしている。また、6月中旬には3者協議が予定されている。今回の要請行動は、後藤裁判長の退官前棄却(あるいは逃げ切り)を許さず、下山鑑定を武器に再審を開かせる決定的な闘いとなった。

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石川さんのメッセージ(抜粋)

 仮住まい隙間風が入らぬよう自己を戒め一日暮れり
    ◇
 私自身はコロナが終息すればすぐに活動できるように万全な対策を講じ、いつでも支援、要請のお願いに回れるよう体調を整えております。
 上記歌は、ご存じの様に仮出獄の身であり、遵守(じゅんしゅ)事項に則(のっと)った生活を強いられ、常に緊張感を持って生活をしている中で、家にいても安住の地でなく、「仮住まい」と自分に言い聞かせ、同時に、今日も何事もなく一日無事に過ごせたことにホッとする訳です。常に「殺人犯」というレッテルを貼られたままの重い荷を背負って生きているということを、皆様に知って頂きたく、歌に詠んだ次第であります。
 ......弁護団は科学的な新証拠を提出し、再審開始を求めています。裁判所が鑑定人尋問など事実調べをおこない、新証拠をしっかり調べてもらえば、必ず私の無実はわかるはずです。

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