アメリカ 数百カ所でコロナ・スト 労組結成し運動拡大

週刊『前進』04頁(3136号04面04)(2020/06/01)


アメリカ
 数百カ所でコロナ・スト
 労組結成し運動拡大

(写真 5月5日にストに決起したルイジアナ州ニューオーリンズ市の清掃労働者。ボードには1968年にテネシー州メンフィス市のアフリカ系清掃労働者が掲げた「私は人間だ」のスローガン)

(写真 「賃金なくして家賃なし」----カリフォルニア州ロサンゼルス市役所前で4月30日、英語とスペイン語で書かれたボードを掲げてアピールする人々)


 アメリカの新型コロナウイルス感染者数は世界最多の約168万人(5月27日現在)で、死者数は10万人に迫ろうとしている。
 大統領トランプは安倍政権と同様、労働者民衆の命と生活を守ることを一貫して拒み続けてきた。新型コロナが「完全に管理下にある」などと偽って必要な対策を放棄しただけではない。5月上旬段階での失業者が2500万人を超え、多くの労働者民衆が飢餓にたたき込まれていることをも利用し、医療体制の崩壊で多くの人々が命を落としているさなかに企業活動の再開を強要しているのだ。
 人々の命よりも巨大資本の利益を優先するトランプと対決するアメリカ階級闘争は、完全に新たな段階へと突入している。春以降「コロナ・ストライキ」だけでも全米数百カ所で闘われ、メーデーにはこれらの闘いが一つにつながってゼネストが打ち抜かれた。
 その先頭で、UTLA(ロサンゼルス統一教組)やILWU(国際港湾倉庫労働組合)、NNU(全米看護師連合)をはじめとする労働組合が地域ぐるみの闘いを実現している。
 さらに重要なのは、これまで労組が存在しなかった職場の労働者が新たに労働組合を立ち上げ、運動が急速に拡大していることだ。労組結成マニュアルもオンラインで拡散されている。

清掃労働者がスト

 膨大な汚染廃棄物を扱い感染リスクにさらされている清掃労働者の闘いも重要だ。その多くが感染格差に苦しむアフリカ系の人々だ。ルイジアナ州ニューオーリンズでは5月5日、清掃労働者が労働条件改善や毎日の個人用防護具支給、時給15㌦への賃上げと毎週150㌦の危険手当を求めてストライキに突入。市当局は許しがたいことに受刑者を動員してスト破りをさせているが、不屈の闘いが続いている。
 密閉空間で多くの労働者が作業にあたる食肉加工場が大量感染の温床となる中、トランプはこれを重要なインフラであるとして地方自治体による閉鎖を禁止。労働者らは加工場の閉鎖を求めて闘っている。ワシントン州の果樹農園でも住み込みの季節労働者らがストライキを行った。
 ある州の郵政現場では、当局が対策を放棄する中で労働者自身が感染者の情報を集約しているという。計画的な自己隔離を行って職場の安全を守る闘いだ。
 また、カリフォルニアやテキサスなど各地の移民・難民強制収容所でも収容者が劣悪な環境に抗議し、コロナ対策と解放を求めてハンストを行っている。

家賃不払い広がる

 さらに収入を失った労働者や自営業者が連帯し、家主に債権放棄を求める「レント・ストライキ」(家賃不払い)運動が全米で一層拡大している。低賃金の労働者階級には、無収入でも家賃を払えるような貯金などない。「賃金なくして家賃なし」をスローガンに、各地で新たな闘いと団結が生み出されている。
 大資本が真っ先に救済される一方、数千万人の労働者が解雇されている。十分な住居があるにもかかわらず街にはホームレスがあふれ、収入を絶たれた人々が路頭に放り出されている。この転倒した社会を根底から覆す中にこそ、労働者民衆の未来がある。そのことを、これまでとは比較にならない規模の人々が確信し始めている。青年層の社会主義に対する関心の高さはその表れだ。
 アメリカ労働者民衆の闘いに学び、続こう。

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