コロナで「半数が倒産の危機」 タクシー労働者は闘って生き抜こう

週刊『前進』02頁(3145号01面03)(2020/07/02)


コロナで「半数が倒産の危機」
 タクシー労働者は闘って生き抜こう


 6月1日付の週刊業界紙「東京交通新聞」は、1面トップで「交通事業者の半数 倒産危機―外出自粛続けば8月までに」との大見出しで、専門家らによる調査・分析をもとに警鐘を鳴らしている。全国のタクシー労働者の皆さん。今秋にも想定されるコロナ第2波と大恐慌情勢を見すえ、コロナ解雇と営業収入激減の局面に対して全力で立ち向かおう。労働組合に結集し、命と生活を守る闘いを粘り強く貫こう。

ロイヤルリムジン解雇撤回かちとる

 すでに4月冒頭から、東京のタクシー会社「ロイヤルリムジン」の休業宣言・全員解雇をめぐる攻防をもって命と生活を守る闘いの端緒が切り開かれている。
 ロイヤルリムジンが在京グループ6社・600人全員の解雇を4月に通告した。5月には、大阪市・ふれ愛交通や静岡県・富士タクシー、東京・国分寺市の龍生自動車などでのコロナ解雇が報じられている。
 なかでもマスコミで大きく取りあげられたロイヤルリムジングループの「目黒自動車交通」では、今回の解雇通告に対して直ちに労働組合が解雇撤回の闘いに立ち上がった。その結果、5月16日からの事業再開を勝ちとっている。
 さらにグループ6社の一つ、「一二三交通自動車」(練馬区)は2002年のタクシー規制緩和後に新規参入した会社だが、ここでは労働者が10割の休業補償や事業再開の要求を掲げて奮闘中だ。
 08年に新規参入したロイヤルリムジン資本(関西の不動産関連の資本が母体)による突然の全員解雇通告は、整理解雇4要件を完全に踏み外した暴挙というほかない。
 団交での厳しい抗議・弾劾の中で金子健作社長は自ら「軽率だった」と漏らしているとのこと。それに対して多くの仲間たちが労働組合に結集して闘いに立ち上がり、コロナ解雇撤回・事業再開を求め、反撃の火ぶたを切っている。
 すべてのタクシー労働者は、コロナ危機・大恐慌に立ち向かうために、今こそ労働組合に結集して闘いぬこう。

職場での粘り強い闘いが展望を開く

 6月8日付東京交通新聞によれば、新型コロナの感染拡大による外出自粛のもとでタクシーの営業収入は全国平均で4月には37・9%、5月前半期では33・8%(約3分の1)にまで落ち込んでいる。観光地・京都は13・4%だ。出来高払いが基本のタクシー労働者の場合、営業収入の激減は賃金大幅減に直結し、生活不能の賃金レベルにたたき込まれる。コロナ第2波が不可避とされ、未曽有の大恐慌情勢が続く中で、どのように立ち向かうべきだろうか。
 6月4日付「前進」紙上で報告されている「北海道タクシー労働者の闘い」こそが、進むべき道・闘いの方向を示している。この職場闘争に学び肉薄していくことだ。
 同労組は闘う労働組合として、新型コロナが全国的に感染拡大していく初期段階の3月冒頭、まず感染対策の緊急申し入れを会社に対して行っている。4月からは緊急団交要求を掲げ交渉を重ねていく。
 コロナ禍で追い詰められた安倍政権が雇用調整助成金のカサ上げ政策を打ち出さざるを得なくなる中で、労働組合はそれを見極め、それをも根拠に会社に対して粘り強く交渉を続ける。非常事態宣言と外出自粛のもとで、業界全体が5割減車(労働者の5割休業)施策をうち出す中で、会社の6割休業補償という当初提示に対して、組合は2カ月がかりで「10割の休業補償」を勝ちとっていく。そうした闘いに共感した職場の仲間2人が新規に組合加入する。闘う労働組合の真価発揮だと言っていい。
 「8月までに半数が倒産の危機」とされる中で、全国のタクシー労働者はコロナ解雇攻撃と営収激減の大恐慌情勢を見すえ、北海道の闘う労働組合の取り組みやロイヤルリムジンンの解雇撤回の闘いに連帯し呼応して、共に闘いぬこう。

ライドシェア解禁絶対に阻止しよう

 自民党・安倍政権はコロナ危機の渦中で、4月16日の衆議院と5月27日の参議院の本会議で「道路運送法改定」を強行成立させた。まさに火事場ドロボーまがいの所業だ。衆参両院で、それぞれ「ライドシェアの導入は引き続き認めない」とする付帯決議つきとは言え、これは明確にライドシェア解禁に向けた「蟻(あり)の一穴」だ。
 タクシー事業者と市町村・NPOとの「協力型自家用有償運送」を制度として創設した今回の道運法改定は断じて看過できない。これは間違いなく自家用車(白ナンバー車)によるタクシー事業の全面解禁、つまり白タク合法化に大きく道を開く攻撃だ。
 コロナ危機と大恐慌下での命と生活を守る職場闘争と一体で、究極の規制緩和=安全破壊のライドシェア解禁につながる道運法改定を強行した安倍・自民党政権を徹底的に弾劾して闘おう。医療・介護や鉄道・運輸、教育、郵政、自治体など、あらゆる産別の労働者が「安倍退陣!」の怒りの声を上げている。全国のタクシー労働者もライドシェア絶対阻止・安倍打倒をかかげて共に闘おう。
(全国労働組合交流センター民間交運・タクシー部会 藤井高弘)
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