香港 国安法下で不屈の闘争 米中激突に対し国際連帯を

週刊『前進』04頁(3154号04面03)(2020/08/03)


香港
 国安法下で不屈の闘争
 米中激突に対し国際連帯を

(写真 警察とマフィアが結託しデモ隊を襲撃した7・21の一周年の日、被害者らが弾劾の記者会見【7月21日 香港】)

 香港の労働者・学生は、国家安全維持法(以下、国安法)体制下でも不屈に闘争を継続している。
 国安法の制定は、米中対峙(たいじ)・対決と帝国主義・大国間争闘戦を新たな段階に押し上げている。
 国安法は地球上の全ての人が対象で、例えば米国内で中国政府の香港政策などを批判した米国民が中国が管轄する地域(犯罪人引き渡し条約を中国・香港と締結している地域も含む)に入った場合、身柄を拘束され、中国に送られて「犯罪者」として処罰される可能性さえある。中国は37カ国(2018年10月時点)との間、香港も19カ国との間で条約が発効していたが、国安法施行以降にイギリスなど4カ国が停止した。
 これ自体が崩壊しつつあるアメリカ帝国主義の世界支配に対する挑戦であり、米帝には絶対に許せないことだ。トランプ政権によるテキサス州ヒューストンの中国総領事館閉鎖と、中国政府による四川省成都の米総領事館閉鎖は、米帝と中国スターリン主義の対峙・対決構造が新たな段階に入ったことを示している。
 そしてこれは軍事的対立にも発展している。7月に米軍は、中国が領有権を主張する南中国海で2度にわたり空母2隻体制での軍事演習を強行。さらに中台情勢に軍事的政治的に介入し、香港からの移民が一番多くなるとされる台湾への接近を強めている。
 一方で、没落した旧世界帝国・イギリス帝国主義は香港の旧宗主国として、この情勢を利用してアジア太平洋への新たな進出を開始している。香港返還前に生まれた人である英国海外市民(BNO)の権利を拡充し、英国市民権獲得への道を開く政策を打ち出している。こうした措置には、EU離脱後の英帝が香港の富裕層・資本家とその資産を握り、シンガポールやマレーシアなどイギリス連邦加盟のアジア諸国との関係をも利用して再びアジアにシフトし、香港の国際金融センターとしての機能を自らのヘゲモニーのもとで継承していく意図がある。
 英海軍は最新鋭空母クイーン・エリザベスを来年にも南中国海に派遣し、インド太平洋での日米合同軍事演習にも参加させようとしている。軍事も含めた英帝のアジア進出の強烈な意志を示すものだ。
 日本帝国主義は、香港の国際金融センター機能を東京に移転させようと動いている。また中国スターリン主義も、「一帯一路」政策の中で香港を新たに再編しようとしている。
 こうして、帝国主義とスターリン主義による戦後世界体制の崩壊、新型コロナ情勢も含めた世界経済の危機の深まりのなかで、香港情勢を契機に帝国主義・大国間争闘戦は新たな段階に入り、朝鮮半島情勢と一体で世界戦争危機が加速しているのだ。香港の闘いは、こうした戦争情勢に立ち向かう闘いでもある。
 国際連帯を貫き戦争を阻止するため、共に闘おう!
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