星野国賠 検査結果を隠し、医療放置 徳島刑務所の違法追及

週刊『前進』04頁(3160号04面02)(2020/09/07)


星野国賠
 検査結果を隠し、医療放置
 徳島刑務所の違法追及

(写真 裁判後の報告集会。左から全国再審連絡会議の金山克巳さん、星野暁子さん。再審弁護団の和久田修弁護士、藤田城治弁護士、土田元哉弁護士、岩井信弁護士【8月27日 千代田区】)

 8月27日、東京地方裁判所民事第14部(伊藤正晴裁判長)で星野国賠第2回口頭弁論が開かれました。これは、徳島刑務所と東日本成人矯正医療センターが昨年5月30日に星野文昭さん(享年73)を獄死させたことを徹底的に弾劾し、責任を取らせる裁判です。原告は星野さんの妻・星野暁子さん、兄・治男さん、弟・修三さんです。
 被告・国は訴状に反論する「準備書面(1)」を出してきました。徳島刑務所と東日本成人矯正医療センターに責任は一切ないと居直る許しがたいものです。
 星野さんが2018年8月に激しい腹痛で倒れて以降、心配する家族・弁護団・救援会は、倒れた原因や、それ以降の激しい食欲不振、年初以来の一貫した体重減少の原因は何かを究明するための精密検査を何度も求めてきました。
 しかし、徳島刑務所は拒否し続け、翌19年3月1日になって、やっと腹部エコー検査を行い、肝臓に巨大な腫瘤(しゅりゅう)を発見しました。同時に行った血液検査では、肝細胞がんに関するマーカーが異常な高値を示し、この時点で星野さんが肝臓がんに侵されていることは明白でした。その事実を徳島刑務所は、星野さん本人にも家族にも、当時大詰めを迎えていた仮釈放審理中の四国地方更生保護委員会にも伝えませんでした。
 3月15日には更生保護委員会の井坂巧委員長が星野さんと面接して、25日には仮釈放を許可しないと判断しています。仮釈放審理にあたっては心身の状況を考慮することが義務づけられています。徳島刑務所の行為は極めて不当であり、悪質です。
 徳島刑務所が星野さんにエコー検査の結果を伝えたのは4月17日、医療センターに移送したのは翌18日でした。訴状では「エコー検査後約1カ月半以上(47日間)、何らの医療上の措置をとることもなく放置し続けた」と徳島刑務所の違法を弾劾しました。
 これに対して国は、「徳島刑務所長は、エコー検査を実施した3月1日の時点で、直ちに同人を徳島刑務所以外の病院に入院させ、精密検査を受けさせるべく、医療センターへの移送手続きを行った」と主張し、居直ってきました。
 今回弁護団は、国の準備書面に対しこの一点に絞って、第2回口頭弁論の前に「求釈明申立書」を提出しました。被告は「医療センターとの移送協議に係る準備」をしたとしているが、いつ、何をしたのか釈明せよというものです。
 法廷で釈明を求める弁護団に国はのらりくらりと回答を避けていました。しかし裁判長も弁護団の当然の追及に対して答えるよう促し、国も9月25日に回答すると言わざるを得ませんでした。国を圧倒的に追い詰めました。弁護団は、この点を徳島刑務所の義務違反として追加し、訴訟内容を拡張することを通告しました。こうしてこの日の裁判は攻勢的に終了しました。
 日比谷図書文化館コンベンションホールの報告集会には60人近くが集まり、弁護団から裁判の詳しい内容を聞き、怒りを倍加させると同時に、勝利の確信と決意を打ち固めました。
 裁判開始前、裁判所前で暁子さんを先頭に30人近くの関東近県の支援者が街頭宣伝を行いました。通行する人は「国家犯罪を暴く国賠闘争」と書かれたビラを受け取り、要望書の署名にも応えました。国賠闘争に勝利し、星野さん獄死の責任を取らせましょう。
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