コロナ危機 今こそ廃止を!裁判員制度 10・22集会参加を訴えます 裁判員制度はいらない!大運動呼びかけ人 高山俊吉

週刊『前進』04頁(3164号04面01)(2020/10/05)


コロナ危機 今こそ廃止を!裁判員制度
 10・22集会参加を訴えます
 裁判員制度はいらない!大運動呼びかけ人 高山俊吉


 裁判員制度はいらない!大運動呼びかけ人の高山俊吉弁護士から寄せられた、10・22裁判員制度反対集会への参加を訴えるアピールを掲載します。(編集局)

新政権論議の空虚

 金のためには命まで奪う新自由主義路線をひた走り、ついに水に落ちたアベ政権。その徹底的な解剖は、この地に生きる全ての人々が時代の真相をつかみ、嘆きを怒りに変え世直しに立ち上がる歴史的なきっかけになる。スガ政権はその人々の前に立ちはだかり、アベを追及から逃すために登場した。
 9月11日、死に体のアベが敵基地攻撃能力は必要と言いなし、年内に方針を策定するよう求める談話を発表した。そしてスガがこれを引き継いだ。ここに全ての関係が明示されている。
 9月25日、朝日新聞に随時掲載されてきた佐伯啓思・京都大学名誉教授のコラム「異論のススメ」が、「この7年8カ月の意味」と題する特大スペシャル版で姿を現した。「疑いもなく近年これほど『仕事』をした政権はない」「驚くべき活動量」......。株価を上げたとか働き方を変えたとか感情的非難に走るのは生産的でないとか、アベを「持ち上げる」言葉がそちこちから聞こえ始めている。落ちた犬を打たせない新自由主義の延命策謀だ。

裁判員制度の狙い

 裁判員制度は2001年6月、「司法制度改革審議会」が発足間もない小泉純一郎新自由主義内閣に答申した「意見書(21世紀の日本を支える司法制度)」に由来する。これは、日本の刑事裁判がきちんと機能しているという評価に立ち、その裁判に国民を関わらせることで国民の司法に対する理解を進めさせ、裁判の正統性(名誉ある伝統)への信頼を高めさせることを目的としている。改革審議会は佐伯氏を講師として、この国の司法のあり方と改革の方向に関するヒアリングを実施していることを忘れてはならない。
 刑事裁判がきちんと機能している国の司法がどうして真っ昼間から暗黒になり、証拠の隠匿やねつ造が画策されるのか。警察の暴走は抑えられぬと検事総長が嘆き、政権が検察支配に精を出すのか。ここには途方もないデマとカラクリが潜む。裁判員制度はそれこそ誤判や冤罪を重ねるこの国の司法の腐りきった真実を覆い隠すことを目的として登場したのである。多くの人々がようやくこの国の刑事司法のありように疑問をいだき批判の目を向け始めた。その気配を感じ取った政府・最高裁が、傍聴席で監視していた国民を10万円以下の科料という制裁を使って裁判官席に座らせ、判決を言い渡す側に立たせることを画策したのだ。
 しかし、裁判員になってもよいと思う人々が年々大きく減少する中で制度は新型コロナ危機に襲われた。今年3月の裁判員選任期日に裁判所に出頭した人は、候補者に選任された100人中わずか17人であった。制度発足11年、裁判員制度は文字どおり破綻の局面に立ち至った。

何をなすべきか

 統治する側に国民を立たせるのは、戦争の時代に特有の国家政策だ。私たちはそれほど遠くない過去にこの道を歩かされ、二度とこの道を歩まないこと、歩ませないことを決意した。
 だが、この制度の導入時にこの国のメディアは「市民の司法参加は国民主権の具体化だ」などという言葉で制度歓迎の旗を振った。歴史は繰り返す。この国が大陸を侵略して2千万人のアジアの人々の命を奪った時代に「臣民一体、万民翼賛」の先頭に立った新聞が、今また国策遂行の応援にはせ参じている。
 コロナ危機の現在こそ、多くの人々が力を合わせて裁判員制度をたたきのめし、その狙いを暴露告発する決定的な機会だ。万難を排して集会に結集しよう。
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コロナ危機 今こそ廃止を!裁判員制度 10・22クレオ集会/10月22日(木)午後6時30分開会、霞が関 弁護士会館2階講堂・クレオ/共催 憲法と人権の日弁連をめざす会、裁判員制度はいらない!大運動

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