菅政権打倒!11・1日比谷へ 行政権力の独裁断じて許すな 学術会議任命拒否 政権批判の学者狙い撃ち

週刊『前進』04頁(3165号01面01)(2020/10/12)


菅政権打倒!11・1日比谷へ
 行政権力の独裁断じて許すな
 学術会議任命拒否 政権批判の学者狙い撃ち


 改憲・戦争と新自由主義の政治を安倍以上に卑劣な暴力的手段で強行する菅政権の正体がたちまち明らかとなった。10月1日に日本学術会議の会員(定員210人、3年ごとに半数改選)を菅が任命した際、同会議が推薦した候補105人のうち、安倍前政権の安保戦争法や共謀罪などを批判した6人が除外されていたことが発覚。このあからさまな狙い撃ち的懲罰人事に広範な抗議の声が殺到し、怒りと危機感を募らせた多くの人々が国会前などで行動に立っている。菅政権との本格的な激突が始まった。この闘いの先頭に階級的労働運動、学生運動を力強く登場させよう。11・1日比谷を菅打倒の総決起集会としてかちとろう。

政府答弁も覆す違法行為

 菅は5日の記者会見で、「総合的、俯瞰(ふかん)的な観点から判断した」「学問の自由とは全く関係ない。どう考えてもそうではないか」などと強弁し、6人の候補者を学術会議会員に任命しなかった根拠や判断材料について何一つ説明せずに逃げた。だが菅による任命拒否は、「学術会議が推薦した候補者の任命は拒否しない」とした1983年当時の首相・中曽根の答弁にも反する。明白な違法行為だ。
 今回、菅が任命を拒否した候補者6人とはどんな人たちか。小沢隆一・東京慈恵医大教授は、2015年に安倍政権が安保戦争法を成立させようとした際に、衆議院特別委員会の中央公聴会で「歯止めのない集団的自衛権行使につながる」「憲法上多くの問題をはらむ法案は速やかに廃案にすべき」と批判した。宇野重規・東大教授は特定秘密保護法に反対し、「安保関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人となった。芦名定道・京大教授も同会の賛同人だ。松宮孝明・立命館大教授は、「戦後最悪の治安立法だ」として加藤陽子・東大教授と共に共謀罪導入に反対した。岡田正則・早大教授は、沖縄・辺野古の埋め立て承認をめぐって防衛省が沖縄県に対抗してとった法的手続きを、「行政法の常識からみて異常」と厳しく批判した。
 問題となっているのは一般的・抽象的な「学問の自由への侵害」ではない。戦後憲法を転覆して戦前のような「戦争のできる国」へ回帰しようとする安倍・菅両政権に対し、学者の立場からこれに明確に反対した人々が見せしめ的に「狙い撃ち」にされているのだ。任命権を振りかざして学者・研究者を萎縮させ、政府への批判を一掃しようとしていることは明白だ。
 何よりその矛先は改憲・戦争に反対するすべての労働者階級人民に向けられている。安保戦争法の制定を強行した15年当時、安倍や菅にとって最も打撃だったのは、憲法学者などの発言を一つのきっかけとして法案の違憲性と悪質さが知れ渡り、それが労働者階級人民(とりわけ青年・学生)の国会周辺を埋め尽くす怒りの決起に転化したことだった。こうして安倍と菅は、改憲・戦争に向けた「国民的合意」をつくれないまま絶対反対の声に包囲された国会で強行採決を連発せざるを得なくなり、世論調査で20代の青年の7割が反対する中で法案成立を強行する破目になった。その後、安倍の改憲プランが思うように進まなかったのも、この闘いを通じて形成された階級的力関係に強制されてのことだ。

労働組合の闘いが必要だ

 任命拒否の撤回を求めるネット署名は開始からわずか3日間で12万人以上が賛同し、映画人有志22人も抗議声明を発表。ツイッターのハッシュタグ「#日本学術会議への人事介入に抗議する」のリツイート数は6日までに25万件を超えた。多くの人々がこの攻撃の本質を、改憲を先取りした強権的統治形態への全面的転換を狙うもの、一握りの支配者が強大な権力を握って全民衆を暴力的に支配する体制をつくりだすものと捉えて反撃に立っている。
 すでに安倍政権下で中央省庁の幹部人事の管理は内閣人事局に一元化され、国会の形骸化と行政権力の肥大化、とりわけ「官邸主導」と称する首相官邸の権限の肥大化が進められた。続いて菅は、安倍が最も重用していた首相補佐官・今井尚哉や首相秘書官・佐伯耕三らを退任させる一方、元警察官僚で内閣情報調査室にも勤務した杉田和博を官房副長官に、同じく内調出身の北村滋を国家安全保障局長にそれぞれ再任させた。政権の重心が経産省から警察・諜報(ちょうほう)機関に大きく移ったことが菅新政権の特徴だ。
 菅は「戦後民主主義」的な外皮を最後的に投げ捨ててむき出しの暴力的統治形態(ボナパルティズム)に転換し、戦争と新自由主義を安倍以上に凶暴に推し進めようとしている。その背景には、韓国のろうそく革命以来の闘いやアメリカ、香港などで巻き起こる労働者民衆の内乱的決起が、日本でもいつ爆発するかわからないという支配階級の恐怖がある。追いつめられているのは菅の方だ。
 いま必要なのは労働者階級の団結と組織、運動の力を示すことだ。労働者にこそ力がある。新自由主義と闘い、新自由主義を打倒する力が労働者、労働運動・労働組合にはあるのだと確信をもった数千、数万人が全国、全世界に大きな影響を与え、情勢を動かす。国家権力の全体重をかけた組合つぶしの弾圧を打ち破ってきた全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部をはじめ、不屈に闘う階級的労働運動の存在が既存の党派の枠を超えた広範な怒りの結集軸となる時がきている。労働者民衆が生きるために、ストライキで闘う労働組合が今ほど求められている時はない。渦巻く怒りの声を11・1日比谷に総結集しよう!

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