支配崩壊の危機を好機に 闘う労組再生へ11・1大結集を 革共同自治体労働者委員会

週刊『前進』04頁(3167号02面01)(2020/10/26)


支配崩壊の危機を好機に
 闘う労組再生へ11・1大結集を
 革共同自治体労働者委員会


 菅政権発足から1カ月、デジタル庁創設、学術会議の任命拒否、元首相・中曽根康弘への弔意強制、福島第一原発の汚染水海洋放出など極悪の攻撃をラッシュのように打ち出している。しかしそれは国家権力の強さではなく、支配の崩壊とブルジョア政治の末期を露呈するものだ。闘う労働組合再生のチャンスであり、それが労働者が生きていく唯一の道だ。11・1集会に全国から結集し闘おう。

国鉄闘争で勝利してきた

 コロナ禍は世界で110万人以上の死者を生み出している。明らかになったのは、新自由主義がつくり出したあまりにももろい社会であり、資本主義の大崩壊だ。全世界の労働者がこうした事態に対し、団結して生きるための闘いに立ち上がっている。労働組合が生きるための寄る辺であり武器となっている。
 危機に立つ菅政権と資本の最大の攻撃は、JRの大合理化攻撃だ。コロナによる減収・赤字に乗じたJR北海道・九州・四国をはじめ全土に広がる廃線計画、整理解雇を前提にした「休業指定」を加えた就業規則改悪、終電繰り上げ・間引き運転、ワンマン化、AI(人工知能)導入による要員削減などJR発足以来の大攻撃に出てきた。国鉄分割・民営化の大破産であり、労働運動を絶滅し外注化・総非正規職化、改憲・戦争に向けた攻撃だ。地方は一層崩壊する。
 しかし労働者がこれと全力で闘えば必ず勝利できる。日本における新自由主義攻撃の始まりであった国鉄分割・民営化から33年、その核心であった労働運動解体と改憲は貫徹できていない。当時の首相・中曽根は「戦後政治の総決算」を掲げ、「国労を潰して総評を解体し、改憲を実現する」ものとして国鉄分割・民営化を強行した。しかし動労千葉の2波のスト決起に始まる労働者の闘いは1047名解雇撤回闘争を生み出し、総評解散・連合結成後も自治労・日教組など100万人の闘争支援陣形を登場させた。多くの自治体労働者がこれに参加し闘ってきた。
 国鉄闘争は2000年5月の自民・公明・保守・社民党による4党合意、10年4・9政治和解という凶暴な分断・闘争圧殺の攻撃に対しても、国鉄闘争全国運動を生み出して闘いぬいている。日本労働運動は国鉄闘争を闘うことで新自由主義に潰されなかった。この巨大な勝利性を今日確認することは決定的だ。
 この勝利の地平は関西生コン支部弾圧粉砕の闘いに引き継がれ、「資本主義の危機を労働者階級のチャンスに」と大号令が発せられている。全ての自治体労働者は国鉄・関生決戦に大合流して闘おう。

自治体解体の大阪都構想

 大阪都構想はJR大合理化と一体の労組解体、改憲・戦争の攻撃だ。自治体を解体し自治体や教育の労働運動、さらに住民自治や町内会運動まで一掃しようとする究極の攻撃である。
 そもそも11月1日に行われる住民投票はおかしい。すでに2015年の投票で否決されている。それをもう一回やるというのは「通るまでやる」というハレンチなものだ。子どものじゃんけんでも「負けたからもう一回」は通用しない。
 大阪市を廃止して「府・市の無駄をなくす」というのは論外だ。公立病院に続いて保健所の統廃合、水道・地下鉄・バスの民営化などは一回目の住民投票否決後も粛々と進められた。それら全てが医療と地域全体の崩壊を深刻化させた。
 では今回の住民投票で何をやろうとしているのか。道州制だ。都道府県を廃止し九つほどの道州に変え、経済界と一体で自治体を国の支配下に置く。06年の関西経済同友会の道州制構想は「5年以内に憲法改正し、連邦的道州制に移行せよ」と叫び、公務員360万人の全員解雇・再雇用を打ち出した。ここに道州制の本質が示されている。
 そもそも菅は維新の会、大阪市長・松井一郎、前市長・橋下徹と極めて深い関係にある。道州制に向けた自民党・大都市問題に関する検討プロジェクトチームでは座長を務めていた。菅は維新と一体で道州制をめざし、自治体・学校現場の労組破壊を最優先で進めようとしている。それはコロナ危機に乗じたデジタル大合理化、自治体・教育破壊として始まっている。
 都構想で大阪市を廃止・解体する最大の目的は労組破壊だ。維新は民営化などを進めたが、これだけはやれていない。「職員基本条例」「政治活動規制条例」「入れ墨調査」を強行したが、いまだに大阪市職は解体されていない。いくら組合執行部が屈服しても、労働組合の実体は現場にあるからだ。それが彼らはわからない。
 そして国や府がどんなに号令をかけても、現場では意見が分かれたり否決されたり時間がかかる。いい意味の「バラバラ行政」だ。トップダウンは途中で動きが鈍り、末端まで貫徹しない。住民と直接係わる市町村など基礎自治体にはそれぞれの歴史と経過があるからだ。そこに住む人々、在日・部落・障害者・高齢者・子ども・女性などの様々な要求や運動の積み重ねで独自のシステムが作られてきた。貧困層の多い地域なども同様だ。そしてそれは労働組合の闘いと一体であった。戦後地方自治は地域の運動や住民と共に作り上げられ、今も引き継がれている。それが戦争を阻む力となっている。
 大阪都構想は、この地方自治と労働組合を解体し改憲・戦争に突進しようとする攻撃だ。菅と維新は大阪を突破口に、国家のあり方を変えようとしている。大阪都構想との闘いは階級決戦そのものになった。闘う労働組合をよみがえらせ、10・25大阪闘争の高揚を引き継いで全国の職場・地域から総反撃に立つことが勝敗を決めることになる。

階級の怒りと結びつこう

 全国の自治体でコロナ危機に乗じた「税収危機」と経費削減、デジタル化を口実とするリストラ攻撃との攻防が激化している。
 保健所・役所窓口などの人員不足・過重労働を逆手に取った非正規職・民間委託の拡大、人事委員会勧告と評価制度厳格化による大幅賃下げ・労働者分断、会計年度任用職員・非正規職員の解雇などを許さない闘いが本格化している。
 医療・社会保障破壊に立ち向かう都立病院独法化阻止の闘いは、職場・地域の反対署名の広がりを力に新たな段階に突入した。
 新自由主義の歴史的破産の中で労働者階級の巨大な怒りと結びつく時代に入った。それがコロナで一気に加速した。非正規職・正規職の労働者が当局の理不尽な攻撃に怒り、新たに労働組合に結集し決起している。闘いは組織全体を変える決定的な力となる。
 闘いの陣形は間違いなく拡大している。こうした時こそ労働者・労働組合のあり方と路線が重要だ。鮮明な時代認識をもって労働組合の具体的な闘争方針をつくり出していこう。菅政権の改憲・戦争、民営化・非正規職化に絶対反対で闘う労働組合の再生を勝ち取ろう。11月集会は総反撃ののろしとなる。自治体労働者は先頭で闘おう。

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自治体の大リストラ許すな
 コロナに乗じて全国の自治体当局が大リストラを言い出した。「税収危機」を叫んで公的事業や人件費を大幅削減する動きが始まっている。コロナによって医療・保健衛生をはじめその必要性が明らかになっている時に、効率化・人員削減と外注・非正規職化、大幅賃下げ、労組破壊を迫る攻撃だ。
■コロナに乗じた攻撃
 当局は「全事業のゼロベースでの見直し」「職員定数削減に向けた検討」を言い出した。これまで社会の必要ゆえに行われてきた事業の廃止・縮小、正規職から会計年度任用職員や任期付職員、民間の派遣労働者への置き換え、さらに「これまで職員以外では対応できないとされてきた専門的業務」についても外注化・民間委託の導入を検討することが公言されている。行政のデジタル合理化はそれをさらに加速する。
 菅政権による公的責任を放棄した「自助・共助」の強調、「構造改革」「規制緩和」「デジタル化」を先取りする攻撃だ。
■職場・地域から反撃を  当局は火事場泥棒のように、これまで労働者・労働組合の闘いゆえに進まなかった攻撃を一気にごり押ししようとしている。コロナは新自由主義がいかに社会を崩壊させてきたかを白日の下にさらした。そうした攻撃を許すなら労働組合の団結、雇用と賃金、生活、地域は根こそぎ破壊されることになる。職場・地域の団結を固め闘いぬこう。

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