「北海道崩壊」の現実 地方切り捨て攻撃に反乱起こそう

週刊『前進』04頁(3170号02面04)(2020/11/16)


「北海道崩壊」の現実
 地方切り捨て攻撃に反乱起こそう


 北海道地方委員会は11・1集会の成功と一体でこの間二つの大きな前進をかちとってきた。第一に、民間交運産別A労組で「コロナ×大恐慌」の中、2桁を超える組織拡大を実現したことだ。約10年前、一人から始まった組合がついに体制内労組を上回った! これはわれわれがA労組とともに「階級的労働運動とは何か」を一歩一歩つかみとってきた歴史でもあった。第二に、北海道における関西生コン支部支援陣形の結成をこれまでの枠組みをこえる「共同戦線」として実現しつつあることだ。われわれはこの切り開いた地平を土台に、以下に述べるような「地方崩壊」の現実と対決する。

活断層に核廃棄物

 この間寿都(すっつ)町、神恵内(かもえない)村が核廃棄物最終処分場の選定プロセスの第一段階である「文献調査」を受諾したことが社会問題となっている。なぜ複数の自治体が率先して「核のゴミ」を引き受けようとしているのか。寿都には活断層があり、神恵内の大部分が火山(積丹岳)に近く、活断層も深さ5㌔〜10㌔ときわめて浅い。神恵内は国が示した科学的適性マップでもほとんどが不適地となっている。問題はこれらを百も承知で「国策」を引き受けざるをえない構造、すなわち新自由主義の下での地方崩壊の現実にある。
 政府・財界が進める「選択と集中」の下、北海道は全国でも突出して人口減が進んできた。その数は前年比で約4万2千人減。2位の兵庫県の約2万6千人減と比べても著しい減少であることがわかる。
 さらに来年3月に迫る過疎法期限切れ(見直し)問題も重要だ。過疎法とは指定を受けた市町村が過疎債を発行し、その元利金の7割を国が地方交付税で穴埋めするというものだが、なんと道内の8割の市町村がその指定を受けているという(この間特例で対象を拡大)。重大なのは釧路市などでは年40億円前後の過疎債を発行し、それを下水道や病院などの「生活インフラの維持」にあてていることだ。対象見直しなど同法改定のもたらす影響は甚大(じんだい)だ。寿都、神恵内も同法の指定を受けている。北海道の自治体には2006年夕張市の財政破綻の「悪夢」がある。これらに象徴される現実の中で国策に自治体が従属せざるをえない状況がつくられてきた。
 許しがたいのは、これらの裏で「核のゴミ」の地層処分を検討する幌延(ほろのべ)深地層研究センターにおいて、現在の地下350㍍から500㍍まで掘り進めて実験を行おうとしていることだ。この施設は研究期間の28年までの延長を決定している。菅と一体の道知事・鈴木直道は今、文献調査に反対しているかのような姿勢をとっているが、実は最終処分場建設をさまざまな形で進めているのだ。

路線廃止許さない

 「コロナ×大恐慌」の下、北海道崩壊はさらに進行しようとしている。
 一つは、コロナ第3波問題だ(11月11日、197人が感染確認。道内最多を更新)。全国での保健所削減問題はこの間暴露されているが、道内では公衆衛生全般の調査研究を行う地方衛生研究所の研究費・職員が削減されてきた。道立衛研ではこの30年で予算1億円、人員は4割削減された。これも一つの背景となって国立病院機構北海道がんセンターでは4月病院内でクラスターが発生した。

 そしてもう一つきわめて重大な問題は、「JR北海道崩壊」問題だ。
 コロナ禍はJR北を直撃し、400億円の減収、来年3月期決算の売上高は前年同月比でほぼ半減する見込みだ。これに対し国交省は鉄運機構がJR北に貸し付けている資金の内、20年度分約29億円の返済を猶予することを決めた。しかしこれは何の延命策にもならない。むしろ猶予は信用力を低下させ、金融機関からの今後の借り入れに支障をきたす恐れがある。また18年に決定された「2年で400億円の支援」は来年3月末で期限切れとなる。文字通り崩壊の危機だ。
 こののりきりをかけ、社長・島田修は来年のダイヤ改定で、最大の乗客数を誇る札幌圏における「1日最大20本の減便」を含む「コロナに便乗した大合理化攻撃」を打ち出した。
 この中で進行するのが、路線廃止問題だ。10月23日、高波被害で不通が続いていた日高線(鵡川―様似間)の廃止が決定された。同時に8月には留萌線(深川―留萌間)の一部廃止―バス転換も沿線自治体協議会で決定された。これで16年JR北が「単独では維持困難」と表明した「10路線―13区間」のうち、3例が廃止、1例が実質廃止となっている。菅内閣の成立直後の10月には、国交大臣・赤羽一嘉が台風被害で不通となっている根室線を視察しており、廃止は時間の問題だ。
 路線廃止は地方崩壊に拍車をかける。そしてそれに並び立つ重大問題は、中途退職者の激増問題だ。
 19年度中途退職者は165人に上り過去最高を更新した。JR北の社員は約6千人。毎年の採用は250人弱。この中で毎年連続で100人、この間では200人近い退職者が生まれているのだ。日々定時・安全運行、そして「地域の足」を守るため骨身を削って働く労働者から誇りが奪われ、職場を去らざるをえない。この悔しさをわがものとして、われわれはJR労働者、とりわけ青年の獲得にむけた飛躍を誓う。

国鉄決戦の重要性

 北海道において国鉄決戦の位置がますます高まっている。われわれは動労千葉に学び、国鉄決戦の発展を通して「地方の反乱」をつくりだす。同時にこれは自治体・教労決戦の位置づけの高まりでもある。来年2月国鉄集会を「国鉄・関生決戦」としてこれまでを質・量ともに塗り替える集会にする。
 戦後革命は在日朝鮮・中国人民の決起に後押しされた北海道炭鉱労働者の闘いから始まった。また国鉄1047名解雇撤回闘争の闘争団の半分は北海道の国鉄労働者によって担われた。アイヌ民族解放闘争も日帝の同化政策をはねのけ闘いつづけられている。そして星野―大坂という党の誇るべき同志を輩出した。われわれはこの地に根付く革命的伝統を継承・発展させ、北海道を革命の根拠地とすることを改めて決意する。
〔革共同北海道地方委員会〕

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