中労委命令を取り消せ 国鉄解雇撤回へ新裁判始まる

週刊『前進』04頁(3171号02面01)(2020/11/23)


中労委命令を取り消せ
 国鉄解雇撤回へ新裁判始まる

(写真 裁判に先立ち、「解雇撤回の判決を出せ」と東京地裁に向かってシュプレヒコールを上げた【11月11日】)

 国鉄1047名解雇の撤回をめぐり中央労働委員会が出した却下・棄却命令の取り消しを求める訴訟の第1回口頭弁論が11月11日、東京地裁民事第11部(佐久間健吉裁判長)で行われた。
 2018年5月、動労総連合は国鉄分割・民営化に際しての組合員の解雇の撤回などを求めて千葉県労働委員会に申し立てた。この申し立ては、動労総連合組合員らをJRから排除するための不採用基準を作ったのはJR設立委員だったという、動労総連合が新たにつかんだ事実に基づいて行われた。
 JR不採用とされた動労総連合組合員の名前は、当初はJR採用候補者名簿に載っていた。だが、JR設立委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)が、国鉄職員局次長の葛西敬之(現JR東海名誉会長)らに、組合活動家をJRから排除するための「不採用基準」を作るよう命じ、これによって動労総連合組合員の名前は採用候補者名簿から削られた。
 この不採用基準の策定が不当労働行為であることは、最高裁決定で確定している。その基準を作ったのがJR設立委員なら、不当労働行為はJR自身の行為になり、JRは解雇を撤回する法的義務を負う。「解雇についてJRに法的責任はない」としてきたこれまでの最高裁判決は、根本から覆される。
 しかし、千葉県労働委員会は一切の審理を拒否して申し立てを切り捨て、中労委は調査期日も開かずに却下・棄却の命令を出した。今回の裁判は、この不当な命令の取り消しを求めて起こされた。

不当労働行為の事実を隠すな!

 法廷で原告であり動労千葉争議団の中村仁さんが意見陳述に立った。中村さんは「不当解雇の犯人はJRだった。不当労働行為を隠蔽(いんぺい)することが労働委員会や裁判所の役割ではない。徹底した審査を求める。裁判所は解雇撤回・原職復帰の判断を」と訴えた。
 原告の代理人弁護団も論陣を張った。中労委は答弁書で、解雇の経過に関する原告の主張のほとんどにつき「認否の必要がない」と尊大に言い放つ一方、JR設立委員が不採用基準を策定したことは「否認する」と述べている。事実も調べず、なんでそんなことが言えるのか。中労委はまた、三十数年前の解雇に関する申し立ては「期間を過ぎている」から却下して当然だと強弁する。だが、解雇が撤回されない限り、JRの不当労働行為は今も継続されている。弁護団は中労委のこうした言い分を徹底的に批判した。
 この裁判で原告は、不当な中労委命令を取り消すとともに、解雇撤回命令の発出を中労委に義務付ける判決を求めている。裁判長は、この点などに関して原告側の主張をさらに明確にすることを求めて、次回期日を2月3日に指定した。

JR復帰に向け闘いは主戦場に

 裁判後の総括集会で、代理人の弁護士がそれぞれ、「ついに主戦場に立った。裁判所を逃がさず、事実の審理に入らせる」と意気込みを語った。
 原告の高石正博さんが「不当な解雇は撤回させる」と述べ、中村さんは「労働者の権利を取り戻すために闘う」と表明した。
 動労千葉を支援する会の山本弘行事務局長が、解雇撤回の判決を求める署名運動を広げる決意を示した。
 動労千葉の関道利委員長は、11・1労働者集会の成功を確認し、JR大合理化粉砕、3月ダイヤ改定でのワンマン運転導入阻止へ闘う動労千葉の方針を明らかにした。
 翌12日には、千葉県労働委の審理拒否を弾劾する裁判で、東京高裁第2民事部(白石史子裁判長)が動労総連合の訴えを否定する判決を出した。こうした反動に怒りを燃やし、国鉄解雇撤回闘争は不屈に闘いぬかれている。
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