「黒い雨」被爆者招き報告会 8・6実行委など 控訴審へ心一つに

週刊『前進』04頁(3171号04面01)(2020/11/23)


「黒い雨」被爆者招き報告会
 8・6実行委など
 控訴審へ心一つに

(写真 11月18日から始まる控訴審の勝利へ原告団と共に闘おうと参加した85人が心を一つにした【11月7日 広島市・原爆資料館】)

 11月7日、私たち8・6ヒロシマ大行動実行委員会は、NAZEN(全ての原発いますぐなくそう全国会議)ヒロシマの仲間と共に、7月29日に広島地裁で「全面勝訴」の画期的判決を勝ち取った「黒い雨」訴訟原告団の方を招き、その報告会を広島市の原爆資料館で開きました。会場を埋める85人が参加しました。「黒い雨」被爆者の闘いと地裁判決の意義、国・県・市の控訴の不当性を参加者全員で確認し、控訴審(11月18日に第1回口頭弁論)の勝利に向け心を一つにする感動的な報告会となりました。
 まず最初に、「黒い雨」訴訟原告の本毛稔(ほんけみのる)さん(80歳)が発言しました。本毛さんは、5歳の時自宅近くで黒い雨を浴びたこと、その後も黒い雨やほこり、ちりを含んだ沢の水を飲み、野菜を食べて育ったこと、さらに自宅前の川の対岸は援護対象区域だが自宅周辺は対象外とされてきたことなどを報告。「川を挟んで違う雨が降るわけがない。こんな線引きは納得できない」「控訴を聞きショックだった」と憤りを語りました。
 続いて、県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会事務局長・牧野一見(まきのかずみ)さんが、42年間の住民運動と5年間の裁判闘争の経過を報告し、地裁判決について解説しました。同判決は、国の援護対象とした区域外で黒い雨を浴びても健康被害があり得ることを認め、放射性物質を体内に取り込む内部被曝を考慮するよう求めたものであり、「画期的」と評しました。
 そして国・県・市の控訴を、「高齢化した原告と被爆者への冷酷な仕打ち」と断罪。加藤勝信厚生労働大臣の「判決は十分な科学的知見に基づいているとは言えない」というコメントを、「判決では『これまで黒い雨地域が被爆地域に指定された際、放射線量などが問われたことはなく、被爆者の援護に関する認識を改める根拠が生じたわけでもないのに、本訴訟においてのみことさら重視するのは相当ではない』ときっぱり退けている」と厳しく批判しました。そして、「判決を確定させて実施することこそ全面解決への近道」「世論の応援を力に控訴審での勝訴を目指す」と決意を述べられました。
 さらに、9月17日に控訴取り下げの意見書を全会一致で決議し、国と県に送付した安芸太田町議会から特別報告がありました。「原告84人のうち27人がわが町の在住。これまでのいきさつを考えると、自治体は主体的に動かなければならない」と決議に至った過程が明らかにされ、会場から大きな拍手が起こりました。
 その後、司会が、大瀧慈さん、矢ケ崎克馬さんら「黒い雨」訴訟に尽力された研究者と福島在住の医師から寄せられた連帯のメッセージを紹介しました。
 会場の参加者から、「この判決は国の原子力政策に、全体的に影響を及ぼす。そういう意味で〝画期的〟だったからこそ、国は控訴した。『黒い雨』訴訟で、ようやくヒロシマとフクシマの連携をつくるきっかけをつくらせてもらった」「これは原告だけの問題ではなく、広島、人類の問題。原告の方が代表して闘ってくださったおかげで色んなことが明るみになり、社会は改めて目を向けることができた」などの発言が続き、熱気あふれる意見交換の場となりました。
 この日は新聞社・テレビ局など8社が取材。控訴審を目前に控え、原告団と支援の思いの両方をアピールする良い機会になりました。
 「黒い雨」被爆者の人生をかけた内部被曝告発の闘いの勝利に向け、運動の垣根や地域の違いをこえて、皆が力を合わせていく時です。全国からも「黒い雨」訴訟への支援をよろしくお願いします。
(8・6ヒロシマ大行動実行委員会 K)
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