京大から学生運動の新たな火の手 処分の脅しはねのけ学内集会 分断打ち破って団結を拡大

週刊『前進』04頁(3175号01面01)(2020/12/21)


京大から学生運動の新たな火の手
 処分の脅しはねのけ学内集会
 分断打ち破って団結を拡大

(写真 京大吉田南キャンパス総人広場で京大生がみこしを担いで練り歩き、上から被処分者が渾身【こんしん】の訴え。【12月10日 京都市】)

(写真 当局に破壊された「対話」看板のかけらを演壇にして集会【12月10日 京都市】)

 京大生有志中心の実行委員会が呼びかける「京大学生処分撤回・阻止 12月緊急集会」が12月10日正午、京都大学吉田南キャンパス総人広場で開催された。京大生を先頭に教授や全国の学生、市民が大挙結集した。集会の3日前に京大当局は「告示第5号」を出し「無許可集会」だと言って妨害しようとしたが、これをはね返して集会が開催された。大勝利だ。京大闘争は全世界で爆発する労働者の決起とつながっている。全国学生運動は、被処分者をはじめ京大生と固く団結し、集会の大成功をてこに階級的労働運動と共に2021年決戦へ進撃しよう。

自由奪う当局と全面対決

 京大では2019年以降、4人の学生に不当処分が下されている。18年10月の熊野寮による要望書提出行動において、同学会(京大の全学自治会)の反戦スト(15年10月)を担ったことで処分された寮生が覆面をして参加したところ、職員によって暴行を受けた上に警察権力に引き渡され逮捕・起訴された。その場で抗議した3学生が「職員の執務を妨害した」として19年に「無期停学処分」を受けた。さらに同年の入試日にオルガ(アニメのキャラクター)像を設置したことでも1人が処分を受けている。
 こうした度重なる処分・弾圧に対して昨年12月には処分撤回を求めるキャンパス集会が行われた。今回の集会はそれを引き継ぎ発展させるものだ。
 発言に立った学生や教授たちは、処分を振りかざし自由を奪う今の大学の在り方に対する疑問や怒りをぶつけ、直前に行われた熊野寮祭の企画、京大本部・時計台占拠(11月27日)の勝利も報告された。処分の脅しとコロナ禍で萎縮させられていたキャンパスの雰囲気を、集会は完全に一変させている。

キャンパスが解放区に!

 集会のハイライトは被処分者の登場だ。
 処分された学生は京大キャンパスを出入り禁止にされている。これに対して学生たちは議論を重ねて創意工夫をこらし、何とか被処分者を集会に参加させようとした。集会後半に司会の「サプライズゲストです」の掛け声とともに、あらかじめ用意した「みこし」の中から、潜んでいた被処分者が現れるという荒業をやってのけた。そして「みこし」を担いだ学生が総人広場を練り歩き、「みこし」の上から被処分者が熱烈なアジテーションを行った。通行する多くの学生が足を止めて訴えに聴き入っていた。キャンパスが解放区とも言える状況になった。
 この事態に、動員された京大職員も門前にいた警察権力もうろたえ対応不能になった。普段は居丈高な京大学生課長の瀧本がこの時は力なく「出ていきなさい」とつぶやくのみで、職員は被処分者に一指も触れることができなかった。学生は被処分者を最後まで守り切り、集会を貫徹した。
 集会は処分での分断をはね返し、「京大生を一つ」にした。被処分者をはじめ京大生と団結し、全国で学生運動を爆発させよう。

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集会発言

 弾圧は団結ではね返せる
 ■被処分者・長谷川さん

 2018年、熊野寮の要求書提出に参加した中核派の学生が職員に囲まれて暴力をふるわれました。物を壊したわけでも暴力をふるったわけでもない。要求書提出が終わってすぐに立ち去ろうとしていたのに、職員に囲まれリンチされ、不退去罪で現行犯逮捕されたんです。僕の倫理観では、これはいくら何でもおかしいと思って抗議しました。そうしたら僕も無期停学処分を受けたんです。
 根底には京都大学による思想差別があると思います。中核派という政治党派を排除しようという方針です。2016年、中核派の学生4人が処分されたとき、おかしいと思ったけど僕も含め京大生の多くの人が表立って声を上げられなかった。
 中核派じゃない学生もついに処分され始めた。いま声を上げなければ、処分を恐れて何もできなくなる。思想は違っても学生の権利を守るという立場で一致できれば、僕たちは一緒に闘えるんです。処分というのは僕たちが当局を追い詰めた証しでもあると思います。僕一人だけではなく、この場に集まっている学生みんなが当局を追い詰めたんです。処分しなければ学生を止めることができないんだと、当局が敗北を認めた証しでもあると思ってます。
 こうやってみんなで団結したら、当局の威圧だってはね返せるんだと実感したし、僕が放学(退学)処分になったとしても、ここにいるみんなは萎縮しないと思います。もうこんな不当な処分を絶対にさせないんだと声を上げましょう!

処分を金輪際終わらせる
 ■被処分者・北村さん

 学生の意見には一切耳を傾けずに、総長をはじめとする役員会が、政府や文科省の意向を受けて意思決定を行っています。その決定をもとに、本部棟の弾圧職員が京大で一番でかい顔をして、こうやって来るわけですよ。
 本当は、僕は今日この場で発言する予定はありませんでした。実は10日前、担当教授と面談をして、そこで僕は今日この集会の時間帯には研究室にいるという約束をしてました。なぜかというと、僕はもう屈服して無期停学を解除してもらい、復学して3月には大学を卒業するという交渉をしていました。そんな中で今年の時計台占拠を受けて、村中副学長は、僕の復学、そして卒業について、熊野寮からさっさと出ていかないと復学は認めないと言ってきた。
 でも僕が今こうして学内で発言できているのは、時計台占拠闘争があったからです。熊野寮生をはじめとする多くの学生が、自分たちが処分されるかもしれない、そういう問題をみんなで議論して、何ができるのかと必死に考えて、敢行した。それに僕は感動したし、京大を変える、京大の主人公は俺たち学生だと示せた。
 京大で起きている処分問題は、京大だけの特殊な問題ではありません。日本全国の大学でも、何かやったら職員がやってきて脅したり、処分で学生を黙らせるということが起きています。そしてこれは学生だけの話ではありません。
 最近あった日本学術会議の任命拒否問題も結局、菅総理が意見の合わない学者を全員排除するという一例だと思っています。いま社会全体で京大とまったく同じ構造の問題が起きています。だからこそ僕は全ての人に対して、この処分撤回運動に参加してほしいし、あらゆる運動とつながっていきたいと思っています。
 何かやったら処分され排除される、そんなふざけたことを金輪際終わらせたい。僕一人では処分撤回を実現することも、こうやって集会を開くこともできません。処分撤回で一致し、一緒に闘ってくれる仲間がいるからこそ、この集会は実現できたんです。もっと大きな集会をやることはできます。大学の主人公は学生です。一緒にこれから、この集会をもって新しい京大を作っていきましょう!

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