労働者・兵士の団結で革命へ コロナ治安出動は戦争に直結 35都道府県で自衛隊出動

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週刊『前進』04頁(3179号04面01)(2021/01/25)


労働者・兵士の団結で革命へ
 コロナ治安出動は戦争に直結
 35都道府県で自衛隊出動


 防衛省は昨年、ダイヤモンド・プリンセス号で延べ約2700人の自衛隊員を出動させて以降、新型コロナウイルス感染対策という名目で医療と自治体現場を中心に35都道府県で自衛隊を出動させている(1月12日現在)。
 その活動内容は、自治体職員2300人に対する感染防止教育、PCR検査のための検体採取、野外でのPCR検査に必要な天幕の設置・維持管理、宿泊施設における食事配膳のほか、患者の輸送・空輸、自衛隊が保有するCT診断車による診断、医療現場への看護官の出動、空港での検疫などだ。迷彩服を着た自衛官が現場に張り付いている。「コロナ治安出動」が行われているのだ。
 いま全国の病院で他の傷病患者向け病棟を閉鎖する医療機関が続出し、入院できずに死亡する患者も出ている。感染リスクや負荷の高さから中等症専門病院で看護師の離職も相次ぎ、人材確保が困難な状況だ。
 自衛隊の医官・看護官は現在それぞれ約千人。多くはない。通常は全国に16カ所ある自衛隊病院や部隊のほか、駐屯地の医務室などで勤務している。
 隊内クラスターも発生している。昨年7月7日から9月29日までの約3カ月、全国から約190人の女性下士官(陸曹)を集めた研修が朝霞駐屯地(東京都)で行われた。この研修を発生源とする感染が10月末時点で29駐屯地・43人に拡大し、各駐屯地での接触隊員は隔離された。軍隊は一般に「3密」組織、この一事でも機能停止である。
 新自由主義が生み出した医療現場の崩壊は、「国家の軍隊」の医療をも崩壊させている。最優先事項は労働者民衆と兵士の命と生活を守ることである。東京オリンピックは直ちにやめなければならない。

自衛隊内で激増する自殺

 近年、自衛隊内の自殺、パワハラ、セクハラなどの相談が全国で相次いでいる。だが自殺の詳しい経緯や理由を遺族ですら知ることができない。
 昨年4月、札幌で一つの裁判が始まった。9年前に自殺した隊員の母親が真実を明らかにせよと国を訴えた。同年12月、福岡高裁は、上級生から「学生間指導」に名を借りた暴力や精神的虐待を受けた元防大生(20代男性)の提訴に国の安全配慮義務違反を認め、国に賠償を命じた。
 防衛省は、ここ数年パワハラ・暴行の重大事件が10年前と比較するとおよそ2〜3倍に増えていることから、罰則を重くする内部通達を出している。だがいじめやパワハラの事実を全部否認している。裁判では真実を隠蔽(いんぺい)し事実を180度ねじ曲げた「証拠」が出される。イラク派兵で負傷しパワハラで退官させられた池田頼将さんの自衛隊裁判も同様である。
 自衛隊の自殺率は一般公務員に比べて2002年度以降およそ2倍で推移している。
 イラク特措法、テロ特措法、補給支援特措法の派兵では計58人が自殺しているが、年間80〜100人台の自殺は「平時」でありながら陸自普通科2個小隊以上が消滅していることを意味する。いま「調査・研究」という名目で国会の承認もなく中東に派遣されている自衛隊員の命も危険にさらされている。

戦争が人間性を破壊する

 米国内にはイラク戦争とアフガニスタン戦争の帰還兵が200万人以上いる。内60万人以上が心的外傷後ストレス障害(PTSD)などを患っている。帰還兵の自殺は、1日平均で22人。年間8千人にのぼる。イラク・アフガンでの戦死者よりも年間の自殺者が上回っている。
 自衛隊員も同じだ。イラクや南スーダンに派遣された自衛隊員は戦場での銃撃戦に直面し、宿営地内に迫撃砲やロケット砲による攻撃を13回経験し(現地日報)、防護していた米兵からも銃撃されるという現実にも直面している。多くの派遣隊員が戦地で、そして帰国後もPTSDを発症し自殺に追い込まれている。
 南スーダンで発動された「駆けつけ警護」という任務は「有事を想定した訓練」として派遣隊員に強制された。「戦死」さえ覚悟しなければならない。
 戦争は兵士と労働者民衆の人間性そのものを根底から破壊し、命を奪う。いま日米軍事一体化に向けた共同訓練が激化している。それ自体が隊員の命を奪う。
 「日米軍事訓練阻止・全基地撤去! 中東から直ちに帰還させよ!」をスローガンに改憲・戦争阻止!大行進運動を前進させよう! 改憲・戦争に突き進む菅政権を労働者・兵士の団結で倒そう!
〔革共同反軍闘争組織委員会〕

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