経団連経労委報告が示したもの 支配の崩壊におびえる資本

週刊『前進』04頁(3181号02面01)(2021/02/08)


経団連経労委報告が示したもの
 支配の崩壊におびえる資本


 既成の労働組合幹部はコロナを口実に資本の手先へと変質を深め、労働者は生きるために団結して資本と闘おうとしている。21春闘は労働運動の圧殺か、階級的再生かをかけた決戦になった。2・14国鉄集会で闘争の配置につこう。

資本主義は持続できない

 経団連が出した21年版経営労働政策特別委員会報告は、資本主義が崩壊することへの支配階級の危機感をあらわにしている。経労委報告は、「新しいサステナブル(持続可能)な資本主義を追求すべきである」と言う。それは裏を返せば、これまで通りのやり方では資本主義は持続できないということだ。
 経労委報告では、「働き手の『エンゲージメント』を向上させる」という言葉が至る所に出てくる。経団連によれば、「エンゲージメント」とは「組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢を表す概念」だ。それを繰り返し強調せざるを得ないのは、コロナが暴いた現実を見て、労働者が資本主義への根本的な懐疑を深めているからだ。それが反乱に転じることに、資本家たちは心底おびえている。
 この危機に対し、資本はただ「コロナがもたらした危機を労資が一致して突破せよ」と叫ぶことしかできない。それは労働者の離反をさらに促進する。コロナ以前から新自由主義によって社会は壊され、感染症への対応力も奪われていたという事実を、労働者はすでに直視しているからだ。
 もはや持続できなくなった資本主義を労働者が主体となり打倒することが、歴史の課題にせりあがった。

「労組のない社会」を狙う

 この期に及んで資本は、雇用の不安定化と労働時間規制の撤廃を声高に叫ぶ。
 経労委報告はテレワークの拡大を口実に、「柔軟な働き方に資する労働時間制度」を唱える。そして、裁量労働制の対象となる職種についての制限緩和を求め、さらには形だけの「健康確保措置」をとった企業に対しては、時間外労働に対する割増賃金の支払い義務を免除せよとまで言う。雇用についても、職種や就業場所が限定され、その職種がなくなればすぐ解雇できる「ジョブ型雇用」の拡大を主張する。それをてこに、職務給を基本とする成果主義賃金を全面的に導入することも、資本は狙う。
 さらに注目すべきなのは、「経営トップが有期雇用社員など労働組合に属さない社員とコミュニケーションを積極的に図る仕組みを構築・拡充していくことが望まれる」として、「従業員代表制度について、そのあり方も含め検討する時期に来ている」と述べていることだ。
 これを最先頭で実行しているのが「労組なき社会」を狙うJR東日本だ。労働組合がなくても、実質的に資本が指名した「従業員代表」との「合意」という形をとりさえすれば、賃金などの労働条件はいくらでも切り下げられるとJRは考えている。
 それを押し貫くための法改悪を、経団連労働規制委員会の委員長として主導しているのが、JR東日本会長の冨田哲郎だ。

労働運動復権の21春闘へ

 「労組なき社会」に向けた現段階の攻撃として、経団連がまず力を入れているのは、連合幹部の一層の屈服を取り付けることだ。
 経労委報告は「最優先すべきは『事業の継続』と『雇用の維持』であることを、労使の共通認識として強く認識することが求められている」と叫び、今春闘を「日本の労使関係の真価が問われる重要な交渉・協議となる」と位置づけている。それは、賃上げを建前として掲げることも許さないという、連合幹部に対する恫喝だ。
 連合中央が「2%程度の賃上げ」を目標としたことに対しても経団連はかみつき、「経営側はもとより、当該企業の労働組合からも共感や理解が得られにくい」とまで言う。
 この経団連の手先になっているのがトヨタ労組だ。19春闘でトヨタは、社長の豊田章男が労資交渉に乗り込み、「当社が厳しい競争環境にあるという危機感が社内で共有されていない」と労組を脅しつけた。20春闘では「ベースアップは人事評価で決める」ことを労組の側から提案させ、昨秋には定期昇給も人事評価だけで決めるという制度を労組にのませた。そして21春闘で、トヨタ労組はベースアップの統一要求はしないと決めた。自動車総連の各労組も軒並み同じ方針をとっている。まさに春闘の解体だ。
 だが、御用労組の大崩壊は、労働運動が再生する絶好の条件にもなる。〈コロナ×大恐慌〉のもと、労働者は労働組合に結集して闘わなければ生きていけない。労働運動を原点から復権させる時が来た。
 2・14国鉄集会はそのために必要な課題を明らかにするために開催される。JRダイヤ改定阻止を軸に決戦を構える動労千葉とともに、闘う春闘、ストライキをはじめとした労働者の実力行動をよみがえらせよう。

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雇用破壊と労働時間規制の撤廃をたくらむ経団連
・職種や就業場所が限定され解雇
 自由の「ジョブ型雇用」を拡大
・賃金は職務給を軸にし全面改変
・裁量労働制の対象職種を拡大
・「健康確保措置」をとる企業には
 時間外労働に対する割増賃金の
 支払い義務を免除する

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