日米軍事一体化許すな 3・21日比谷から反戦デモを

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週刊『前進』04頁(3185号03面01)(2021/03/08)


日米軍事一体化許すな
 3・21日比谷から反戦デモを

(写真 2月1日、沖縄の海岸で上陸訓練をする陸自の水陸機動団)

(写真 丸ごと基地化が狙われる馬毛島)


 菅政権は、人民の怒りに追い詰められている。だが、だからこそ中国のたたき落としを狙う米バイデン政権の対中対決政策と一体化し、日米安保強化、日米の軍事一体化の攻撃を強めている。全国で反戦・反基地闘争、改憲阻止の闘いを巻き起こそう。3・21改憲・戦争阻止!大行進に決起し、菅政権を打倒しよう。

辺野古に陸自常駐の密約

 辺野古で埋め立て工事中の新基地は、米海兵隊だけではなく自衛隊の基地ともなる計画であることが明らかになった(1月25日付沖縄タイムスが報道。本紙3181号既報)。陸上自衛隊と米海兵隊が、陸自の「水陸機動団」を常駐させることで2015年に極秘に合意していたのである。これまで政府は新基地を「米軍普天間飛行場の代替施設」と説明してきたが、そんなものではなく、沖縄を日米帝国主義の中国・朝鮮侵略戦争の出撃拠点として、ますます軍事要塞(ようさい)化する計画であることが明らかになったのだ。
 報道によると、陸上幕僚監部が12年に辺野古のキャンプ・シュワブを現地調査し、その後、在日米海兵隊と交渉を重ね、15年に合意した。陸自施設の計画図案や給排水計画まで作成されていた。
 「水陸機動団」は12年から陸自内で編成の検討が始まり、18年に発足した。敵地に真っ先に突っ込む「殴り込み部隊」であり「日本版海兵隊」とも言われる。拠点は長崎県佐世保市の相浦(あいのうら)駐屯地にあり、現在2400人の部隊である。
 この計画は、自衛隊が米軍基地の片隅に同居する、という程度の小さなものではない。陸自幹部は、辺野古新基地は「海へのアクセスがよくて最高」と語り、将来、米海兵隊の約半数が国外に移転することを念頭に、「辺野古は将来、実質的に陸自の基地になる」とまで言っているのだ。
 日米両政府が合意している米海兵隊の再編計画では沖縄に約1万人が残り、9千人がグアムやハワイに移る。これは、「沖縄の負担を軽減するため」と言われるが、隠された狙いは中国の長射程ミサイルの射程圏外に米海兵隊を移すということである。米軍はリアルに中国との戦争を構え、戦時になれば沖縄がミサイル攻撃を受けることを想定している。それにより、沖縄県民150万人が犠牲になっても構わないと考えているのだ。まったく許せない戦争計画である。
 陸自の辺野古常駐計画が報道された後、菅は1月27日、国会で「従来より共同使用は考えてなかった。これからも変更はない」と開き直った。こんな言葉を誰が信用するか。実際、15年当時のオバマ政権下で沖縄問題を担当していた元米政府高官は、常駐案は「日米両政府間の共通理解」だったという趣旨を述べている。
 密約のことはずっと隠し続け、「辺野古は普天間基地の代替だ」と言って工事を進め、いざ完成した段階で自衛隊もそこに基地を置く----なんと人民を欺く卑劣なやり方か! こういうやからが戦争を引き起こすのだ。絶対に許せない。
 戦前、沖縄は「本土防衛の最前線」と位置付けられ要塞化された。その結果、米軍が上陸し、沖縄戦で県民の4人に1人が殺された。沖縄県民は今、「本土防衛のために沖縄を『捨て石』にしたやり方を再び繰り返すのか」と弾劾している。
 沖縄県民は辺野古基地を阻止するために不屈に闘っている。防衛省が本島南部の土砂を埋め立てに使おうとしている暴挙に対して、「戦没者の遺骨が残る土を埋め立てに使うのか!」と怒り、弾劾している。
 国土面積0・6%の沖縄に7割もの米軍基地が集中している。さらに今、日米の軍事一体化、沖縄の軍事要塞化の攻撃が進んでいる。絶対に許すな! 沖縄―本土を貫く沖縄闘争、反戦闘争の爆発で辺野古基地建設を絶対に粉砕しよう。

南西諸島にミサイル基地

 また南西諸島(九州島南方から台湾北東にかけて位置する島しょ群)では、奄美、宮古、石垣島に自衛隊ミサイル基地が次々と造られ、または造られようとしている。これに対して、各地で島民の反対闘争が粘り強く闘われている。日帝は中国本土にも射程が届く中距離ミサイルをここに配備し、対中国の戦争体制を日米一体で構築しようとしているのだ。与那国島の沿岸監視隊も増強されている。
 政府・自衛隊のやり方はここでも住民を踏みにじっている。宮古島には住民に隠れて弾薬を運び込み、与那国島では秘密裏に弾薬庫を建設していた。
 また、種子島の西側の小島、馬毛島(まげしま、鹿児島県西之表市)では巨大な自衛隊基地の建設が進められようとしている。
 馬毛島は東西2・7㌔、南北4・5㌔、面積8・2平方㌔の小島だが、「無人島では日本第2の面積」である。それを防衛省は丸ごと買い取り、昨年8月、島全体を自衛隊基地とする施設配置案を公表した。島いっぱいに滑走路、桟橋・係留施設、上陸訓練場、弾薬庫などを建設し、全島を軍事要塞化する計画だ。陸・海・空の3自衛隊が常時使用可能で、飛行機の離着陸訓練や「水陸機動団」の上陸訓練なども存分に行えて、武器・弾薬・その他を備蓄し、有事には戦闘部隊の集結・出撃、補給の基地になる。米空母艦載機の離着陸訓練も行う。
 1月の西之表市長選挙で計画に反対する現職が勝利したが、菅はこれを無視し2月18日から建設工事のためのアセスメント(環境影響評価)の手続きを開始した。早期着工を狙い、工期は約4年としている。
 昨年、安倍政権は「敵基地攻撃能力」の保有を真正面から打ち出してきた。米帝の対中対決政策への原理的転換に合わせて、日米共同作戦における自衛隊の役割を飛躍的に強めようとしている。「専守防衛」から「先制攻撃」への転換であり、憲法9条の実質的な解体の攻撃である。このために21年度予算では5兆3千億円、7年連続で過去最大の軍拡予算を計上した。射程900㌔のミサイルの開発予算など、「敵基地攻撃能力」保有に向けた項目が多く盛り込まれた。
 反戦闘争が決定的に重要になっている。反戦闘争は階級的労働運動の必須不可欠の闘いである。日米軍事一体化が進む横田(空軍と空自)、横須賀(海軍と海自)、座間(陸軍と陸自)、沖縄など、全国で日米共同演習、基地強化に反対する闘いを強めよう。3・21闘争に総決起しよう。

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日米軍事一体化の関連年表
2020年
6月 安倍が、敵のミサイル基地を先制的に攻撃し発射を抑止する「敵基地攻撃能力」の保有の検討を表明
7月 自衛隊が初めて保有するオスプレイが陸自木更津駐屯地に配備された
8月 防衛省が馬毛島の整備計画を公表
9月 河野防衛相が「中国は日本にとって安全保障上の脅威となった」と発言
   菅内閣が発足
11月 バイデン次期米大統領は、菅との電話協議で日米安保条約第5条が釣魚島(尖閣諸島)に適用されると確約
12月 政府が「ミサイル阻止に関する新方針」を閣議決定。敵の射程圏外から攻撃できる巡航ミサイルの開発など、実質的に「敵基地攻撃能力」の保有に踏み込む
2021年
1月 バイデンが米大統領に就任 辺野古に陸自「水陸機動団」を常駐させる密約を沖縄タイムス紙が報道
1~2月 陸自「水陸機動団」が沖縄で米海兵隊と共同訓練
2月 海自の潜水艦が高知県沖で民間の商船と衝突

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