「独裁下では働かない」 ミャンマーで無期限ゼネスト

週刊『前進』04頁(3186号01面02)(2021/03/15)


「独裁下では働かない」
 ミャンマーで無期限ゼネスト

(写真 2月下旬、ストに入った縫製工場の女性労働者たち【ミャンマー・ヤンゴン】)

(写真 在日ミャンマー人が弾圧の再現パフォーマンスでクーデターを弾劾【3月7日 東京・高田馬場駅前】)


 2月1日に強行された国軍のクーデターに対し、ミャンマー人民は全土で抗議の闘いを継続している。
 人民の反撃に圧倒された軍は実弾を用いてデモ隊を弾圧し、分かっているだけでも60人以上が命を奪われている。犠牲者の多くが、クーデターに怒りを燃やし命がけで立ち上がった10代の青年たちだ。この虐殺を絶対に許してはならない!
 治安部隊は昼夜を問わず運動のリーダーや野党活動家を襲撃・拘束し、催涙ガスや手榴弾(しゅりゅうだん)で抗議行動参加者を攻撃しているが、怒りを抑えつけることなど不可能だ。
 この闘いを先頭で担っているのは労働組合だ。全産別での労働者の反撃が、確実に軍を追いつめている。 3月8日には、約6万5千人を組織するミャンマー労働組合総連合など18の労働団体の呼びかけで無期限のゼネストが開始された。「通常通りに事業活動を行えば国民の力を抑えつける国軍に利することになる」とする、文字通り国を丸ごとストップさせる闘いだ。

労働組合運動の蓄積が力を発揮

 「軍事独裁下で働くことなどありえない!」。クーデター2日後に先陣を切ったのは医療労働者だ。50都市110以上の病院でストライキが闘われ、ある国立病院では医師40人中38人、看護師70人中50人が職場を放棄した。教職員組合も生徒と共に参加し、言論弾圧に抗して闘うジャーナリストたちも戦列に加わった。
 ストに入った労働者たちは、軍の統制下にある石油・ガス会社、航空会社、鉱山、建設現場、縫製工場、学校などを閉鎖。鉄道は完全にストップしている。国鉄当局は99%の鉄道労働者がストに立ったと公表した。銀行や政府機関の労働者も闘いに加わり、行政機能も停止状態だ。
 現在の闘いの基盤には、2011年の「民主化」以来10年に及ぶ労働組合運動の蓄積がある。11年に労働組合が合法化され労働者の権利が認められると、労働者たちは直ちに職場で組合を結成し、資本との闘いを開始した。その中心部隊となったのが縫製労働者だ。
 11年以降、「アジア最後のフロンティア」と呼ばれたミャンマーには安い労働力を求めてアパレルメーカーが次々と参入。多くの労働者がH&Mをはじめとするファストファッションブランド向けの工場で働くようになった。こうしたなかで、劣悪な労働条件と低額の最低賃金への怒りがストライキとなって爆発した。
 輸出額に占める衣服産業の割合が11年の7%から30%にまで増大した19年、巨大なストの波が女性を中心とする70万人の縫製労働者のなかに広がった。このストは団結した労働者の力を示し、闘いのなかで多くの労働組合が生まれた。
 現在のコロナ下で資本は巻き返しを狙い、労働組合員のレイオフを通じた労組破壊をもくろんでいる。昨年3月には、縫製工場で組合員への狙い撃ち解雇も強行された。しかし、安全な職場環境と最低賃金増額を求める労働者の闘いは力強く継続されている。

在日ミャンマー人民と連帯を!

 新自由主義下で生み出された移住労働者たちがこの闘いを国際連帯闘争に押し上げている。同様に政府の激しい弾圧と闘うタイや香港をはじめ、フィリピンや台湾、韓国などアジア全域で現地の労働者と連帯して運動が展開されている。とりわけ、自らも軍事独裁政権と激しく闘った歴史をもつ光州をはじめ韓国の労働者民衆が熱い支持を寄せている。留学生や技能実習生を先頭としたミャンマーの人々も日本各地で連日の行動に立ち上がっている。
 一方で、国軍とのパイプを売りにしてきた日本政府の対応は極めてペテン的な許しがたいものだ。9日には20億円超の「緊急無償資金協力」実施を決定したが、これは国軍の資金源になるものでしかない。
 「真の民主化」をかちとる力は各国政府による制裁の強化にではなく、ミャンマー人民自身の闘いの中にある。各地での街頭行動に合流し、ミャンマー人民と固く連帯し闘おう。

このエントリーをはてなブックマークに追加