焦点 生活保護訴訟 生存権破壊に「違法」判決もぎとる

週刊『前進』04頁(3186号03面05)(2021/03/15)


焦点
 生活保護訴訟
 生存権破壊に「違法」判決もぎとる


 2月22日、安倍政権による生活保護基準額引き下げをめぐる訴訟で、大阪地裁は減額は違法として大阪府の12自治体に処分を取り消す判決を言い渡した。最低賃金はじめ労働者全体の生活水準・生活保障にかかわる重大な判決だ。

安倍政権下で10%削減

 安倍政権は2013年8月から3年間で生活保護の基準額を平均6・5%、最大10%引き下げた。200万人を超える受給者を直撃し、数千円から1万数千円が減額された。訴訟は、生存権を保障した憲法25条に反するとして大阪府の受給者ら約40人が原告となって闘われてきた。12自治体は政府と協議し3月5日に控訴。原告も8日、慰謝料の請求棄却を不服として控訴した。全国29都道府県で千人近い集団訴訟が続けられ、29日に札幌、5月に福岡の地裁で判決が言い渡される予定だ。
 「最低限度」の生活費を10%減らされたらどうなるか。それは生存権を破壊し命を奪うものだ。
 12年、野党だった自民党は生活保護バッシングの大宣伝を展開。「生活保護費10%削減」を掲げた第2次安倍政権が最初に手をつけたのが保護基準の引き下げだった。統計数字を意図的に操作して「物価下落を生活扶助費に反映させる」デフレ調整(減額)を強行。それ以降も、15年に「住宅扶助」、暖房費の「冬季加算」を減額。生活困窮者自立支援法は「福祉から就労へ」を掲げて就労を義務づけた。さらに18年から3年かけて生活扶助を減額。それに消費税増税が追い打ちをかけている。
 このコロナ下で状況はさらに悪化している。一人7万円超の会食を首相の長男と行い、それを「普通の食事」と答弁する官僚がいる一方、困窮し生きていけなくなっている人が膨大にいる。「生存権の破壊をやめろ」「生活を保障しろ」の声が広がり、訴訟は命をかけた闘いとなっている。

「水際作戦」が命を奪う

 1987年、国鉄分割・民営化と同時に福祉削減が進められた。様々な障壁で生活保護を妨害する「水際作戦」が続けられてきた。禁止されているにもかかわらず住居のない労働者に劣悪な環境の無料低額宿泊所に入ることを条件としたり、親族に援助の可否を尋ねる扶養照会を使って、申請をためらわせる手法が横行している。
 大阪府八尾市で昨年2月、生活保護を受けていた57歳の母親と24歳の長男の遺体がアパートで発見された。一人分の保護費で2人が暮らす生活だった。2月18日には「失踪」したものとして生活保護の廃止が決定され、遺体が発見されたのはその4日後だった。
 八尾北医療センターがコロナ感染症対策で発熱外来のプレハブ設置を市当局に求めたことに対し「不許可」とした八尾市で起こったことだ。医療・社会保障を破壊し命を奪う国と市当局の犯罪性を鋭く突き出している。

福祉職場のあり方問う

 生活保護担当の正規職が大削減され、非正規職にどんどん置き換えられている。過重労働が恒常化し病休・退職者が続出している。全国の主要107市区のうち、ケースワーカーの配置標準を満たしていない自治体は7割にのぼる。 新自由主義が超低賃金の非正規職を大量につくり出した。︿コロナ×大恐慌﹀が労働者に大失業と貧困を強制している。自治体の福祉職場をはじめ、地域住民の怒りと結合した労働組合の闘いが必要だ。すべてを奪い返そう。
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