焦点 義務教育標準法改定 少人数学級を口実に公教育を解体

週刊『前進』04頁(3189号03面05)(2021/04/05)


焦点
 義務教育標準法改定
 少人数学級を口実に公教育を解体


 公立小学校の学級編制の上限を40人(1年生は35人)から35人に引き下げる改定義務教育標準法が3月31日、全会一致で可決・成立した。今年度以降、5年間かけて2年生から順次移行する。
 「学校崩壊」をもたらした新自由主義への怒りがコロナ下で渦巻き、分散登校による20人以下学級の経験をも契機にした改定だ。
 だがその中身は、現場が長年、運動として求めてきた正規教職員の大幅増員による少人数学級とはおよそかけ離れたものである。
 1学級35人を「少人数」とするのは世界標準と比べても論外だ。しかも少子化と地方裁量による小学校の35人以下学級はすでに9割を超えている。21年度予算も、給与費にあたる義務教育費国庫負担金は前年比で57億円減、教職員数も474人減る。児童生徒数の自然減に伴う教職員の定数減を前提にしているため、大幅な正規職増にはならない。過酷な職場環境が劇的に改善することはないだろう。〈コロナ×大恐慌〉下の地方財政の逼迫(ひっぱく)と相まって、「定数くずし」や「総額裁量制」による非正規職化や非正規職解雇が加速されることも必至だ。

教育の民営化を狙う

 政府・文科省の狙いはどこにあるのか。
 文科省は「少人数」を「習熟度別授業」などでの選別教育のために進めてきた。また、「いじめ」「不登校」「自殺」「教育格差」など新自由主義教育の破綻に直面し検討もしてきた。しかし財務省との確執の中で「少人数学級制」は1980年以降頓挫していた。
 今改定の狙いは、「ICT(情報通信技術)の活用と少人数学級を車の両輪」(萩生田文科相)として、全公立小中学校の児童・生徒に端末を1人1台配備する「GIGAスクール構想」で教育のデジタル化を国家戦略として一挙に推し進めることにある。〈コロナ×大恐慌〉下、日帝はデジタル化を巡り絶望的に立ち遅れている。その突破をかけ、教育の民営化・教職員組合の一掃と公教育の解体に踏み出したということだ。
 萩生田が「GIGAスクール構想の下、個別最適な学びを実現するために、教員によるきめ細やかな指導が求められる」と言っている中身は、一人ひとりを大切にする教育とは真逆である。「個別最適な学び」とは、蓄積された個別のデータをAIが解析し、グローバルエリートの早期育成のために子どもたちを能力主義に基づいて序列化・選別化することだ。
 教育内容・指導方法の決定も教員からAIアプリ開発企業にとってかわる。教育労働者の誇りが奪われ、公教育が市場化される。
 とりわけ、改定法の附則で「教員の資質向上」が問題にされ、「外部人材の活用」や「免許制度の法制上の措置」に言及したことは重大だ。政府の規制改革推進会議では、「外部人材が単独で授業を担当できる仕組みが必要」「企業人材が兼業・副業として学校現場に入る機会を増やすことが望ましい」との意見が飛び交い、文科省も「~企業の力を学校に~学校雇用シェアリング」と銘打ち、企業に募集をかけている。「企業人材」導入による〝血の入れ替え〟で、非正規職化・団結破壊・教組解体が狙われているのだ。

職場から団結し闘おう

 だがこれらは破綻した新自由主義の上塗りだ。現場の矛盾と怒りはさらに爆発する。労働組合の闘いが決定的だ。職場から民営化・非正規職化絶対反対で闘おう。
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