土地規制法阻止闘争を闘って 戦前の要塞地帯法復活させ、反基地闘争弾圧し戦争準備

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週刊『前進』04頁(3200号02面03)(2021/06/28)


土地規制法阻止闘争を闘って
 戦前の要塞地帯法復活させ、反基地闘争弾圧し戦争準備


 6月16日、国会会期末の未明、重要土地調査規制法が参議院本会議で可決・成立した。
 2015年の戦争法案の強行採決時での数度にわたる徹夜国会に比すべきこの事態の背後で何が進行したのか、その分析を通して今後の闘いの展望をうちたてることにしたい。

沖縄先頭の闘いが政府を追い詰めた

 改憲のための国民投票法改悪案の国会での可決・成立にみられるように、日帝の中国脅威論のキャンペーンに屈服した立憲民主党も含めた総翼賛状態の国会にあって、この重要土地調査規制法案も対決法案にならない可能性すらあった。
 この状況を一変させたのが参議院段階の闘いだ。
 地元沖縄では「この法案が成立すれば沖縄の反戦平和運動、全ての抗議運動が弾圧される。怒りでいっぱいだ」と、この法案への怒りの声が巻き起こった。その声を受けて5月11日からは沖縄出身者による国会前のスタンディングが連日闘われた。この粘り強い闘いが情勢を動かした。
 参議院段階に入って地方議員を中心に法案批判が続出し、法案への抗議声明を発表した。この悪法の第7条と22条では総理大臣が必要と認めさえすれば、地方公共団体に住民の情報提供を求めることができるとある。それへの危機感が地方議員の決起を呼び起こした。反対する議員たちは、「こんな法案が通ったら恥ずかしくて街を歩けない」と怒りの声を上げた。
 こうした中で衆院段階では開かれなかった参考人質疑が6月14日に開かれた。
 この参考人質疑では法案の大部分が政令や内閣総理大臣に一任されており、憲法31条に明記された「法の適正な手続き」すら踏み破り総理大臣に全権を委任するもので、ナチスの全権委任法と同じ本質が赤裸々に暴露された。その結果、自民党推薦の参考人ですら、「条文案を読むだけでは様々な臆測が広がるおそれがあることを痛感した」と言わざるをえなかった。
 その事態に焦った菅政権と自公与党は、14日以降暴力的な国会運営を繰り返した。そのあまりの暴挙に、立憲民主党も参議院の内閣委員長解任決議案と、参議院議院運営委員長の解任決議案を提出し、法案成立に抵抗するポーズをとらざるをえなくなった。衆議院の内閣不信任案の採決も重なることで、国会会期末の16日午前2時半前に参議院本会議において法案が可決・成立するという事態になった。
 沖縄を先頭にした闘いが当初の総翼賛状況を突き破って、重要土地調査規制法の本質を暴露したのだ。

デジタル独裁法と一体で住民を監視

 この悪法の正式名称は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」という長ったらしいものだ。
 因数分解すると、(「重要施設周辺」+「国境離島等」)×「土地等の」×(「利用状況の調査」+「利用の規制」)となる。
 つまり、①「重要施設周辺」「土地等の」「利用状況の調査」、②「重要施設周辺」「土地等の」「利用の規制」、③「国境離島等」「土地等の」「利用状況の調査」、④「国境離島等」「土地等の」「利用の規制」、という四つの要素の複合だ。
 政府の提案理由を見ると外国人の土地取得を問題視した「重要施設周辺」「土地等の」「利用の規制」が法案の出発点だったと考えられるが、実際には「利用状況の調査」と「国境離島等」が後付けされた重要点である。
 この法律は、デジタル独裁法と同様、菅内閣が発足した昨年秋の11月9日以降わずか3回だけ開かれた「国土利用の実態把握等に関する有識者会議」の提言を受けて法案化された。
 そこで語られていることは、「国の安全保障の危機に対処するためには、住民の情報を『網羅的に』収集し、それを『一元管理』して、土地の不適切な利用を『未然防止する』」というのだ。これは「犯罪」が起こる前に情報を収集し、未然防止するという共謀罪の発想そのものである。
 しかも、そのことを総理大臣直轄の内閣府に設置される部局が担当する。そこでは国の各機関や地方公共団体にも情報提供を求め、自衛隊の情報保全隊が住民への訪問調査も行い、それらの情報を集積したデータベースが作成され、高度な情報技術を使って分析される。しかもこれがデジタル庁と一体で運用される。

現場での闘い貫き発動を阻止しよう

 以上、法成立阻止の闘いと法の内容の分析とを総括するならば、闘いはまさにこれからだ。
 第一には、この悪法の狙いが沖縄の反基地闘争つぶしであることを鮮明にして辺野古と先島諸島を先頭にした反基地闘争を現地と連帯し徹底的に闘うことだ。
 第二には、この法律の本質が沖縄とともに全国の反基地闘争、反原発闘争つぶしであり、デジタル版の要塞(ようさい)地帯法であることをはっきりさせ、9月デジタル庁設置で具体化される住民情報の収集と一括管理反対の闘いを自治体労働者を先頭に闘い抜くことだ。菅内閣のデジタル独裁を許すな。
(城之崎進)
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