ヒロシマ大行動 新たな核戦争を阻む決意固め 「黒い雨」訴訟勝利に感動の嵐 「平和条例」に被爆者の怒り

週刊『前進』04頁(3206号03面01)(2021/08/16)


ヒロシマ大行動
 新たな核戦争を阻む決意固め
 「黒い雨」訴訟勝利に感動の嵐
 「平和条例」に被爆者の怒り

(写真 「黒い雨」訴訟勝利と朝の菅来広弾劾デモの高揚を引き継いで闘われた8・6ヒロシマ大集会【広島県立総合体育館】)

(写真 「改憲と核戦争をとめよう!」「菅政権を倒そう!」と訴え400人が広島市内をデモ【8月6日】)

 6日早朝からの感動的な集会・デモに引き続き、午後0時30分から広島県立総合体育館で8・6ヒロシマ大集会が開催され、コロナ下にもかかわらず全国から400人が結集した。
 今年は、「8・6ヒロシマ」の圧殺をもくろみ中国侵略戦争へ突き進む菅政権に対して、2018年末以来の拡声器規制条例を阻止した闘いと、その後の「広島市平和推進基本条例」との闘いを貫徹した地平の上にかちとられた。このことを広島現地の参加者が勝利感にあふれて発言した。
 さらに「黒い雨」訴訟では、7月14日に広島高裁で昨年の地裁判決に続いて内部被爆を認めさせる決定的勝利をかちとったこと、菅内閣に上告を断念させ8月2日からは原告に被爆者健康手帳の交付が始まったこと、被爆者原告との熱い交流がかちとられていることが感動的に報告された。
 この広島現地の粘り強い闘いと中国侵略戦争情勢への危機感が一体となり、コロナ下での昨年来の激闘を闘い抜いた全国の仲間が広島で一堂に会し、11月労働者集会を頂点とする秋の闘いへの展望と決意を固め合う場となった。

勝利感にあふれ広島の闘い報告

 最初に8・6ヒロシマ大行動共同代表の室本けい子さんが、早朝の行動は大勝利だと力を込めて発言し、大きな拍手が起こった。
 続いて被爆者・被爆2世の訴えが長崎の城臺美彌子(じょうだいみやこ)さん、広島の中島健さんからあった。
 城臺さんの訴えは代読。「黒い雨」訴訟勝利への祝辞を述べ、長崎でも線引きで被爆者が被爆者健康手帳を交付されていない現実があることを弾劾した。
 中島さんは、朝の抗議のシュプレヒコールが記念式典会場にまで届き、菅が動揺して原稿を読み飛ばしたことを暴露し、弾劾した。
 「黒い雨」訴訟勝利の報告を安芸太田町議の大江厚子さん、基調報告を8・6ヒロシマ大行動事務局長で被爆3世の宮原亮さんが行った。(要旨別掲)
 福島から参加したNAZENふくしまの椎名千恵子さんが、内部被曝の問題を広島と一緒になって闘っていることを語り、ふくしま共同診療所を誇らしく思うと福島の闘いを報告した。
 沖縄からは沖縄大学学生自治会の赤嶺知晃さんのメッセージが読み上げられた。
 広島現地から自治労広島市労働組合、改憲・戦争阻止!広島教職員100人声明、国鉄西日本動力車労働組合、NAZENヒロシマの各代表が発言し、職場での闘いを基礎にこの日の勝利があると発言した。

関生支部の武谷書記次長が発言

 続いて全国からのアピールに移った。
 最初に東京の一陽会労働組合の坪井静委員長が、7月23日の新国立競技場前の闘いに自らも参加して闘った感動を語り、この闘いが昨年5月の厚労省前の抗議行動から始まり、都立病院独法化反対の闘い、自らを含む医療労働者のストライキへの決起など職場と地域で闘ったことが確信となり闘い抜けたとアピール。
 さらに伊方原発再稼働阻止を闘う愛媛県職員労働組合からのアピールがあり、動労千葉の中村仁書記次長が3月のローカル線ワンマン運転拡大阻止のストライキ闘争と7月4日の国鉄集会の地平を語り、11月集会への結集を訴えた。
 8・6ヒロシマ大行動へ初参加した全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の武谷新吾書記次長が登壇し武建一委員長の判決公判闘争に対するお礼を述べ、11月集会へ闘おうと訴えた。
 決意表明を広島大学学生自治会の太田蒼真さんが行い、「7・23、私たちが実力闘争で攻め上がったからこそ、オリンピックも戦争も阻止できる」と力強く発言した。
 最後に広島県労組交流センター代表の壹貫田康博さんが全体をまとめた。
 その後、午後3時から「改憲と核戦争をとめよう!8・6ヒロシマ大行進」が行われ、戦闘的に広島市内デモを貫徹した。

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「ヒロシマつぶし」許さぬ
 8・6ヒロシマ大行動事務局長・被爆3世 宮原亮さん

■基調提起

 今朝の原爆ドーム前の闘い、全国から400人の結集で闘い抜きました。何がオリンピックか! 何が平和の祭典か!
 広島市は2018年末から8・6朝デモを規制する拡声器規制条例の制定を策動してきましたが、多くの反対意見によって条例は阻止されました。これに代わって出てきた「広島市平和推進基本条例」は、式典を「厳粛の中で行う」として8・6デモの禁圧に道を開こうとしました。激しい攻防が繰り広げられる中、6月25日に条例は強行採決されました。
 原爆投下と虐殺に怒るな、目の前で進行する新たな核戦争に怒るな----8・6デモ規制はまさしく新たな戦争を準備するために「ヒロシマの怒り」を真っ向から否定し、たたきつぶそうとする「ヒロシマつぶし」の攻撃であり、改憲攻撃であるということです。
 しかし重要なことは、この2年半の攻防を通して労働組合が「平和推進条例」の本質をつかみ、声を上げ始めたということ。「黒い雨」をめぐる闘いを含め、労働組合が反戦反核運動の中軸として立ち上がり始めた。今日の集会にもそうした労働組合から多くの仲間が参加してくれています。
 8・6ヒロシマ大行動が、改憲・戦争阻止、新自由主義を打ち破り菅政権を打倒する巨大な運動の跳躍点となることを確信しています。ともに闘いましょう!

あきらめない闘いの成果
 安芸太田町議会議員 大江厚子さん

■「黒い雨」訴訟勝利の報告

 8月3日朝、安芸太田町の「黒い雨」訴訟原告の方から私に連絡がありました。「昨日、原爆手帳を受け取りました。いろんな人に支援されてようやく発行されました。一緒にいた人に、長生きしてしっかりこの手帳を使おうねと話しました」とおっしゃられました。約6年の年月をかけてようやく手に入れた手帳。私はその方と話をしながら、しみじみとこの判決の勝利を実感させてもらいました。本当にうれしかったです。
 1976年に国は大雨地域のみを健康診断特別区域に指定しました。これに対し住民が、「この指定はおかしい」と声を上げ、黒い雨区域拡大を求める運動が始まりました。
 よく報道等で政治判断とか救済とか言われていますが、この勝利は原告・支援者の「勝つまでは絶対にあきらめない」という強い意志と、科学的知見と法的合理性に基づき、まさに国家権力から勝ち取ったものです。政治判断とか救済ではありません。
 この度の勝訴はさらに原告以外の人の被爆者を認める運動になります。高齢となった原告の皆さんが、本当にそばで見ていてわかるぐらいに必死に闘い抜いておられました。この勝ち取った成果を核廃絶運動、福島、被ばく者の医療の権利につなげるのが私たちの責任だと思っています。ともに頑張っていきましょう。

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