団結ひろば 投稿コーナー

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週刊『前進』04頁(3206号04面03)(2021/08/16)


団結ひろば 投稿コーナー

「多様性と調和」なるペテン
 婦人民主クラブ全国協議会 山本美知子

 2月の五輪組織委員長森喜朗による女性差別発言は森個人の考えではなく日本国家の本音です。女性たちの怒りによって森が辞任にたたき込まれたのは当然です。世界中からの非難をかわすため、後任となった橋本聖子は「ジェンダー、多様性と調和」を五輪のスローガンに掲げました。この「多様性」「調和」とは何なんでしょうか?  差別の現実、階級対立の現実を覆い隠し、「天皇の赤子」となれということです。
 稲田朋美自民党前幹事長代行は、LGBT差別禁止法制定運動に対して「差別の定義が定まっていない現状では『差別解消』を性急にめざすのではなく『理解増進』」として与野党合意をとりつけた。「この法律を作ることは人権外交のひとつでいわばソフトパワーとして国を守ることにつながる」と言っています。これは「差別なんてない、あっても個人の意識の問題だ。差別差別と言うな。 差別に寛容な社会をつくる」という意味です。
 そもそも「定義」の問題ではなく、あらゆる差別は厳然としてあり、日々私たちを分断し切り裂いています。分断している張本人こそ国家・資本です。「多様性」という言葉は、分断の元凶をあいまいにし、差別を許さない闘いに立ち上がった人々を封殺します。
 最近、関西では 民族学級に対して「在日朝鮮人教育だけ言うな。今はベトナムやフィリピンの子どもたちが多い。『多文化教育』が必要だ」と民族学級つぶしの攻撃がかかっています。それはアジア侵略の歴史、1950年の朝鮮戦争前夜に在日人民と日本の労働者階級がともに命がけで闘った阪神教育闘争の中から生み出された民族学級の歴史を葬り去り、再び戦争に出るためです。「多様性と調和」なるペテンで「大東亜共栄圏」を目指す天覧試合、皆で仲良く侵略戦争に出ようというオリパラは粉砕あるのみです。

パラリンピックを中止せよ
 東京 高村宏伸

 オリンピック閉会式が終わり、今度は8月24日のパラリンピックに向かって中止どころか、有観客を検討しているという。
 オリンピックの期間中を含めて、日本において医療崩壊という形の「災害」が開始され、とどまるところを知らない情勢になっている時、菅は何と言ったか。「オリンピックは成功した。オリンピックの視聴率が高かったので、人流が抑制された。五輪が感染拡大につながっているという考え方はしていない」と平然と語った。
 8・6ヒロシマで菅は、一番肝心の「わが国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、『核兵器のない世界』の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要」なる原稿を読み飛ばして平然としている。与野党とも、菅ではだめだと報じられている。
 五輪期間、渋谷ハチ公前、新宿アルタ前、原宿など街頭宣伝に行って感じた。人それぞれ命は一つしかない。今できることは、一つの命をどう使うかだ。今世界で何十億の人々が苦しみ闘っている〈コロナ×大恐慌〉。自分の周囲の問題だけではない。これに今全力で闘わずしていつ闘うのか、と心から言いたい。

五輪への怒りを体現し闘う
 広島大学 森田寛隆

 7・23はコロナ禍と五輪によって先鋭化した労働者階級の怒りと結びつき、解き放つ闘いとなりました!
 実際に会場内に怒りの抗議をたたきつけて開会式をぶち壊しにできたということ、そして、警察権力と体を張って闘った仲間たちの姿に、その場に参加した誰もが感動しています。
 学生は〈コロナ×新自由主義〉情勢のなかでバイトも、友人も、課外活動も、学生生活と言えるものが奪われてきた。その一方で、オリンピックへはあらゆる力が投入され、労働者・学生の命も生活も破壊しながら強行されてきた。こうした五輪とコロナ禍が生み出してきた状況への怒りを全身で体現することができた実力闘争だったからです。
 警察権力は、不当にも1人の仲間をでっち上げ逮捕しましたが、その後は数人をごぼう抜きしておきながらも、奪還闘争・五輪粉砕の闘いが継続・拡大することを恐れて逮捕さえできなくなっていました。五輪強行とコロナ禍の新自由主義に対する階級全体の怒りを体現した闘いだったからこそ、敵に強制した力関係です。闘う仲間があと少し集まれば、会場に突入することさえ不可能ではありませんでした。
 五輪粉砕の闘いによって、階級全体の階級意識がさらに先鋭化したことは間違いありません。7・23で切り開いた地平で組織化に挑戦し、労働組合・学生自治会を強化しましょう!

三里塚の産直野菜を購入し
 群馬 白川はるな

 三里塚の産直野菜を購入して10カ月になりました。毎回、野菜が届くのが楽しみです。
 ホウレンソウ・レタスなどの葉物は、葉が厚く大きくて、食べるときに弾力を感じます。ホウレンソウの赤い根の甘さときたらもう! 冬瓜のみそ汁にあう、漬けたカブの朝ごはん。里芋はもちろん、キュウリ、オクラ、玉ねぎ、枝豆、ソラ豆、ズッキーニには粘りと弾力があり、ネギ、ニンニク、唐辛子は、産直段ボールを開けただけで濃い香りが立ちます。
 ニンジンの味の濃さはもちろんですが、「野菜だより」で知ったニンジンの葉。今までこんなにおいしいものだとは気が付きませんでした。無農薬なので皮もキンピラにして楽しんでいます。サツマイモの甘さは、「お菓子」です。
 市東さん、萩原さん、援農の方々の農作業で「1㌘の土に100億の微生物」の生きる土地で太陽をいっぱい浴びて育った、コロナに負けない免疫力がつく野菜なのだと思います。「道の駅」やスーパーで地場産の野菜を求めますが、三里塚の野菜には及びません。唯一、朝取りトウモロコシ・有機黒豆が同格。
 会社に使われ、時間に追われ、お金に心さえ奪われるのではなく、三里塚のように地球・大地と共に人々が生きていける社会に変えて、みんなが自分のやりたいことをやって、人生を楽しく過ごせればいいなと思います。産直野菜は毎回「野菜だより」がつき、レシピや生活の知恵が満載で愛読しています。

気候変動危機は重大問題だ
 迎賓館・横田爆取弾圧裁判元被告 福嶋昌男

 6〜7月、カナダを熱波が襲い、カナダ観測史上最高の49・6度を観測し、200人以上が亡くなりました。また7月にはカリフォルニア州デスバレーで地球上で記録された気温として最高に近い54・4度が観測されました。そして7月中旬、ドイツ、ベルギーを未曽有の大洪水が襲い、200人以上が亡くなりました。これも気候変動が原因と言われています。
 このように気候変動の問題は、私たちに喫緊の重大問題として迫って来ています。先日、東京でまた気候変動問題の学習会が行われました。この日の主なテーマは「マルクス主義と気候危機」でした。報告者から、マルクス・エンゲルスは若いときから人間と自然との関係についても深く考えてきたこと、それは晩年ますますそうであったことが明らかにされました。そして、気候危機を含む新自由主義による地球環境破壊を食い止めるためには、根本的には資本主義を打倒しなければならないことが明確に突き出されました。
 また討論の中では、気候危機に対して「システム・チェンジ」を訴えて決起しているグレタ・トゥーンベリさんをはじめとする全世界の膨大な数の若者の闘いに寄り添い、ともに闘う立場に立つべきことが訴えられました。
 「共産主義者」209号に「新自由主義による地球環境破壊」をテーマとする論文が掲載されました。私は、これからしっかりと学びつつ学習と実践を進めていきたいと思います。

獄中記『長東日誌』を読んで
 徳島星野救援会 仙田哲也

 『長東日誌』(東方出版3850円)は、6月末発行の在日韓国人政治犯の李哲氏の獄中記です。1948年熊本県生まれ。1975年、27歳で在日同胞スパイ団事件によりでっち上げ逮捕、死刑判決。獄中でカトリックの信徒となり、13年間の獄中生活。転向書や暴力のことなどについての考え方の相違はありつつも、幾度も落涙しながら引き込まれました。
 まさに、韓国・西大門刑務所での格闘と、安保・沖縄返還をめぐる渋谷暴動闘争被告団の星野文昭さん、大坂正明さんらの格闘が、あざなえる縄のように胸中を駆け巡りました。
 逮捕直後のシーンに「第一舎上の房に移ると、私は近くに東京出身の金元重氏がいることが分かった。かれは......」とあります。
 1985年大邱7・31事件での、獄中処遇改善闘争はかたずをのむ展開です。日本では7月21日三里塚で放水車を占拠していた頃ということになります。
 さらに「スパイ」の烙印(らくいん)のため、左翼からも目をそむけられた逆境を、猪突猛進で突破していくお連れ合いの閔香淑さんの奮闘。それは、私たちが星野再審・大坂裁判で「警官殺し」「潜伏46年」の「烙印」を階級闘争の原動力に転化する道筋を示してくれています。
 ぜひ、ご一読を。

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