都立病院独法化阻止へ正念場 9〜10月都議会での定款採択粉砕を

週刊『前進』04頁(3210号02面01)(2021/09/13)


都立病院独法化阻止へ正念場
 9〜10月都議会での定款採択粉砕を

(写真 パラ中止と都立病院独法化とりやめを求め、医療労働者を先頭に都庁へ申し入れ【8月17日】)

 9月3日、労働者人民の怒りが菅首相を打倒した。次は、菅と並んで五輪を強行しコロナ感染爆発・医療崩壊を進めた小池百合子・東京都知事を倒す番だ。9月28日開会の都議会第3回定例会に、小池は来年度中の都立病院地方独立行政法人化実施に向けた「定款」案を提出しようとしている。法人設立の根本原則を定めた定款案の採択は事実上の独法化決定だ。絶対に阻止しなければならない。

五輪が暴いた小池の正体

 都立病院独立行政法人化(独法化)阻止は、コロナ下の医療崩壊を進めた新自由主義攻撃を打ち砕く闘いだ。とりわけ、医療放棄を居直り「命の選別」を強いる攻撃との、労働者階級の命と未来をかけた決戦だ。
 7月28日、小池は「一人暮らしの方は自宅を病床のような形で」と言い放った。人口1400万人を抱える首都東京の知事が棄民政策に踏み切ったのだ。
 新型コロナウイルス感染拡大以来の1年余り、小池は「東京アラート」「ステイホーム」などのフレーズで、あたかも菅政権とは一線を画するかのように自己を誇示してきた。
 しかし、東京オリンピック強行を境に、その正体は誰の目にも明らかとなった。東京都のモニタリング検査での陽性率は五輪開催前の7月第1週から8月第3週の間で約18倍に急増し、都内の自宅療養者数は連日2万人以上になっている。そして8月中に24人もの人々が自宅死(死の直前に病院に運ばれた患者数は含まれていない)を強いられている。これは、補償なき「自粛」を強要し五輪を強行した菅・小池による権力犯罪だ。
 「生死の境にいるような人を治療している時にふと見たら、都知事が着物着て旗振ってて、すごく愕然(がくぜん)とした」。五輪閉会式中、重症化していく患者を診ていた在宅診療医の怒りの言葉は、全ての医療労働者の叫びだ。
 小池は、さらにパラリンピックを強行しただけでなく、都教育委員会に出席した委員全員の反対意見を無視して「学校連携観戦」を強行した。運動会などの学校行事が中止となり、夏休み明けの感染拡大が不安視される中での暴挙だ。国家主義のもと、「現代の学徒動員」を強行する戦争・改憲攻撃そのものだ。
 都立病院独法化でも、労働者から公務員の身分をはぎ取る一方で、公社病院と合わせた約1万人の職員を知事の独裁権限で有事即応体制に組み込む戦時体制づくりすら狙われている。

必要なのは医療体制強化

 都立病院独法化阻止の闘いは、医療の民営化と対決し、社会保障としての医療を奪い返す闘いだ。
 コロナ・パンデミックの最中に都立病院の医療体制を強化するのではなく、医療体制を解体する民営化を進めるなど絶対に許されない。都立病院の独法化とは、病院を「独立採算」で縛りつけ、民営化により金もうけのための医療に変質させる攻撃だ。他府県での公立病院独法化では、自治体の借金を背負わせてスタートさせた上で「利益」を出すために派遣化・非正規職化率アップが行われている。低賃金・過重労働が強いられ、当然にも労働者の団結と医療は破壊される。
 小池は、東京都医師会会長などの「野戦病院をつくるのが解決策になる」という訴えには耳を貸さず、中等症患者を対象とした「酸素ステーション」を公社荏原病院・豊島病院などに設置すると発表した。しかし実際には看護師数が足りず、2病院に各40床の予定が荏原病院で24床、豊島病院では12床にしかならないという。そもそも医師からは「未治療で酸素だけをもらい、苦しむ場所にしかならない」と批判の声が上がっている。
 大規模臨時医療施設を直ちにつくり、公立病院つぶしと医師・看護師削減政策をやめる以外に命を救うことはできないにもかかわらず、小池は絶対にそれをやろうとはしない。「命よりも金」の新自由主義をどこまでも進めるというのだ。

運動さらに拡大し11月へ

 都立病院独法化阻止は日本帝国主義が進める医療破壊との大決戦となった。安倍―菅が進めてきた公立・公的436病院の「再編・統合」も、コロナ感染拡大で苦闘する医療労働者、地方自治体などからの反対の声で思い通りには進んでいない。都立病院独法化攻撃を阻止するか否かに、新自由主義医療を粉砕する展望がかかっている。
 独法化の最大の狙いは、民営化に反対し公的医療を守るために闘う都立病院の労組つぶしであり、都労連・都庁職など東京都の労働運動解体にある。「医療は社会保障だ」という医療労働者のストライキがコロナ下の医療崩壊と闘う医療労働運動の再生の道を示した。全国で医療・福祉労働者が団結し、必死の闘いを切り開いている。
 都立病院自体が、1960年代の東大医学部ストライキや住民運動を背景に医療をかちとってきた。入院保証金を取らず、差額ベッド代も低く抑え、医療費の減免などに応じる患者の相談窓口を持つ。また「全科目診療」を掲げ、感染症や周産期・小児医療など東京都全体の地域医療、福祉的医療を差別なく担ってきた。2000年代の石原都政以降、公社化や廃止・統合などにさらされてきたが、戦後階級闘争が生み出した社会的存在だ。
 コロナ下で闘う医療・福祉労働者とともに、都議会での定款案採択を阻み、独法化を絶対に阻止しよう。医療現場の怒り、労働者人民の怒りに追いつめられているのは小池の方だ。
 1万筆を突破した「都立病院をつぶすな!」署名運動は、医療・自治体・教育・郵政などの職場で、地域で民営化とコロナへの怒りと結びつき、力強い運動として発展している。「都立病院をなくすな!」集会、デモが都内各地で開催されている。都立・公社病院で働く労働者の民営化絶対反対の団結を軸に住民・障害者など全都民の運動へと広げることに、小池打倒・独法化阻止の道がある。
 小池が躍起になったオリパラの「学校連携観戦」も、教育労働者の現場から、地域からの中止を求める怒りの声で完全に破綻した。新自由主義の破綻が意味するのは、労働者が団結して闘い勝利する時代が来たということだ。それは「終わらせよう!新自由主義」を掲げる11・7全国労働者集会への大結集運動そのものだ。動労千葉、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の3労組と共に、階級的労働運動の力で都立病院独法化を阻もう。
 「都立病院をつぶすな!」署名を都内各地の職場・街頭で大きく広げ、9月28日の都議会初日にたたきつけよう。9〜10月都議会での定款案採択を粉砕し、小池の「2022年度中の独法化」プランを破綻させ、小池を倒そう。
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