改憲・戦争への怒りを11・7へ 自民総裁選の大反動うち砕け 階級的労働運動の力で反撃を

週刊『前進』04頁(3212号01面01)(2021/09/27)


改憲・戦争への怒りを11・7へ
 自民総裁選の大反動うち砕け
 階級的労働運動の力で反撃を


 労働者民衆の憤激が菅政権を打倒したことで、情勢はさらなる激動へと突入した。連日マスコミを総動員して大宣伝されている自民党総裁選は、安倍・菅両政権が進めてきた新自由主義と改憲・戦争攻撃をあくまでも継続し、それをより凶暴かつ絶望的に強行するために、誰を政権与党の頭目に選ぶべきかを競うものだ。総選挙を前にしたこの大反動攻撃に、野党は何ら闘えず屈服・転向を深めている。今こそ階級的労働運動が力強く登場する時だ。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が呼びかける11・7全国労働者集会へ、労働者の力を総結集させよう!

国家主義で危機突破狙う

 9月15日、陸上自衛隊の全部隊を動員した過去最大規模の大演習が始まった。北海道や東北、四国から九州へと部隊を移動させた上、実戦さながらの訓練を11月下旬まで続けようとしている。「自衛隊が部隊の配備にとどまらず、南西諸島で実際に作戦を行うための備えを本格化させている」(NHKニュース)と報道されている通り、4月の日米首脳会談を転機に中国侵略戦争への動きを本格化させた日本帝国主義は、沖縄・先島諸島のミサイル基地化と自衛隊の侵略実戦部隊化を加速させているのだ。
 これと並行して、自民党総裁選ではワクチン担当相・河野太郎、自民党前政調会長・岸田文雄、前総務相・高市早苗、自民党幹事長代行・野田聖子の4人がそろって改憲・戦争、核開発、原発再稼働を大合唱している。とりわけ安倍の後押しを受ける高市は、憲法への「国防軍」明記、電磁波や精密誘導ミサイルでの敵基地攻撃、防衛費のGDP(国内総生産)比2%への増額、「尖閣を守るための海上保安庁法や自衛隊法の改正」などの極右的主張を繰り返している。
 そこには、安倍・菅両政権下での改憲を阻まれ、破産と危機を深める日帝支配階級の激しい焦燥感が示されている。改憲・戦争への衝動を募らせる軍需産業など大資本、国家主義的ファシストらの密集した反動が、支配階級の内部で「求心力」をもって台頭しているのだ。このことを決して甘く見ることはできない。
 他方で菅は、警察庁長官に中村格、警視総監に大石吉彦を就任させた。中村は2009~15年に官房長官秘書官を務め、安倍のちょうちん持ちのジャーナリスト・山口敬之への準強姦事件の逮捕状を警視庁刑事部長としてもみ消した人物だ。警備・公安出身の大石は、天皇代替わり儀式や東京五輪などの警備を指揮し、第2次安倍政権下では首相秘書官だった。この「人事」は、労働者民衆の怒りと闘いの爆発に対する、支配階級の恐怖と憎悪の表れにほかならない。
 総裁選―総選挙過程を通じて改憲攻撃を強めようとする自民党や極右勢力と全面対決し、この秋、改憲・戦争阻止の闘いを全国で拡大しよう。そして新自由主義を打倒する階級的労働運動の大発展を切り開こう。

コロナ下で怒りの火の手

 コロナ禍が始まった2020年に、最低賃金並みの水準で働く労働者の割合は14・2%となり、09年の7・5%から倍増した。その一方で、昨年度の国の一般会計税収は60兆8216億円と過去最高を更新し、19年10月に10%に引き上げられた消費税収は20兆円を超えた。〈コロナ×大恐慌〉情勢下でますます進む労働者の非正規化・低賃金化と格差の拡大。この新自由主義と階級支配を終わらせなければならない。
 コロナ感染爆発のまっただ中で東京五輪・パラリンピックが強行された上、「重症化リスクの高い患者以外は自宅療養」とする入院制限を政府が打ち出した結果、ピーク時には全国で13万人もの人々が「自宅療養」という形で放置された。8月に全国の警察が扱った変死などの遺体のうち250人がコロナに感染していたことも判明し、うち218人が自宅や高齢者施設、宿泊施設などで容体が悪化して死亡、32人が外出先で発見されたものだった。都内では8月以降、自宅療養中に亡くなった人は44人に上る。菅や小池都知事による五輪・パラ強行と医療放棄によって、これだけの人々の命が奪われたのだ。
 ところが政府は、「冬の第6波」が予測されているにもかかわらず、公立・公的436病院の再編・統合を進め、小池は9月28日開会の都議会で都立病院独立行政法人化のための「定款」採択を狙っている。絶対に許すことはできない。
 こうした中で、「戦場」と化した保健所から怒りの声が上がった。埼玉県越谷市の保健所労働者が「保健師は過労死寸前」「2日間で2時間しか寝ていない」「体調を崩すまで休めない」と労働環境の改善を求める労働基準監督署への通報と記者会見を行った。これにSNSなどで圧倒的な共感・賛同の声が寄せられている。「どこの保健所の職員もそうだと思う。まともではない体制で無理やり回してるんだからこうなるのは分かっていたはず」「コロナで露呈した、公務員の正規職員削減が影響している」「滅私奉公と言われた公務員にも限度がある」「上から圧力かけるだけのお偉いさんをどうにかして。労働者は奴隷じゃない」----職場にあふれる怒りを団結の力にして、11・7日比谷野音に集めよう。

国鉄闘争の勝利を先頭に

 〈コロナ×大恐慌〉情勢と新自由主義の崩壊は新たな段階に突入しつつある。9月20日、約1兆9700億元(33兆円)もの負債を抱えた中国最大の不動産会社・恒大集団の経営危機を発端に、世界の株式市場が一斉に急落した。この事態に震撼(しんかん)しているのは中国スターリン主義・習近平政権だけではない。全世界のブルジョアジーも同じだ。彼らは08年リーマン・ショック以来、超金融緩和と巨額の財政出動で辛くも延命してきたが、今やリーマンを超える新たな危機がどこから爆発するか分からない状況に震え上がっている。資本主義はもはや命脈が尽きた。戦争をやる以外に延命できない新自由主義・資本主義を、労働者階級の団結した闘いで終わらせよう。
 階級的労働運動はこの間、決定的な勝利を切り開いている。本紙前号で既報の通り、1047名解雇撤回・JR復帰をめぐる行政訴訟で、東京地裁は「JR東日本を訴訟に参加させろ」という動労千葉・動労総連合の申し立てを認める決定を出した。JR東海名誉会長・葛西敬之、JR東日本社長・深沢祐二らを法廷の場に引きずり出し、今こそ国家的不当労働行為の真実を徹底的に明らかにさせる時だ。
 JR東の「業務融合化」などの大合理化は職場の矛盾を極限化し、安全崩壊を不可避とする以上、現場からの闘いは必ず爆発する。郵政職場でも、10月からの土曜休配と3万5千人の大合理化に対して、深夜割増を生活の糧にせざるを得なかった深夜勤労働者を先頭に、正規・非正規の分断を打ち破る決起が始まっている。五輪・パラリンピックの「学校連携観戦」拒否を闘った教育労働者は、コロナに乗じたGIGAスクール構想の新自由主義教育に反撃を開始している。
 職場で上がった反撃の火の手を、新自由主義を焼き尽くす巨大な炎に発展させよう。労組交流センター運動をその中軸として広げよう。関生労組支援陣形を拡大し、映画「棘(とげ)2」上映会を職場・地域で開催しよう。
 韓国・民主労総は「ムンジェイン政府は平和統一の新時代を開くという労働者の命令を拒否し、朝鮮半島の平和を脅かす米韓合同軍事演習と日米韓軍事同盟の強要に振り回されている」(ヤンギョンス委員長)と訴え、米韓合同演習中止を要求してデモを闘い、「非正規職撤廃と労働法全面改正」「正しい産業転換と雇用の国家保障」「公共部門の公共性強化」を掲げて10・20ゼネストを準備している。この闘いと固く団結し、全世界労働者の国際連帯闘争としての11・7集会を共にかちとろう。
 そして階級的労働運動の先頭に立つ労働者の党、新自由主義の崩壊と戦争危機をプロレタリア革命に転化する党を建設しよう。

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