3・5万人削減―土曜休配阻もう 郵政労働者は11・7日比谷へ 職場を変える挑戦始まった

週刊『前進』04頁(3212号02面01)(2021/09/27)


3・5万人削減―土曜休配阻もう
 郵政労働者は11・7日比谷へ
 職場を変える挑戦始まった

(写真 全国労組交流センター郵政労働者部会のビラ。多くの仲間の協力で全国の主要郵便局で配布され、大きな反響を呼んでいる)


 郵政で、いよいよ10月には土曜休配、来年の年賀明けには内務の深夜勤廃止が迫っている。日本郵政が今年5月に「JP ビジョン2025」で打ち出した郵便事業切り捨て―DX(デジタルトランスフォーメーション)大合理化に対し職場から反撃に立とう! 11月労働者集会の大成功をそのスタートにしよう。

民営化の破綻はもう明らか

 土曜休配、翌日配達体制廃止に伴い、内務の深夜勤の廃止によって郵便の流れを夜中から昼間に移すのは簡単なことではない。2010年の「ゆうパック統合」の大混乱を想起させる。あの時には、トラックの車高が発着ホームの天井の高さを超えて郵便局内に入れず、道路が大渋滞に陥り、遅配が連続した。
 統合された元ペリカン便の労働者は着替えのロッカーの位置も知らされず戸惑い、ゆうパックとペリカン便の荷物であふれかえる現場を目の当たりにした管理者は何の指示も出せない始末だった。その結果、配達指定日から3日遅れの生ものを配って謝りまくったのは我々現場の労働者だ。もう二度とあんな破綻の尻ぬぐいをするのはまっぴらごめんだ! 記者会見で「大混乱は職員の不慣れのせい」と言い放った民営郵政経営陣を絶対に忘れない。
 迫りくる大合理化は、郵便事業という公共事業(あまねく公平・ユニバーサルサービス)を民営化した破綻の表れである。唯一の「赤字の解消策」は人件費削減だ。その矛盾の結果としての圧倒的な人員不足は交通事故・郵便事故につながっている。ひとたび交通事故を起こせば、「事故事例研究会」と称したつるし上げ。誤配や書留の亡失ならスキルダウンも含めた二重処分。みんなギリギリの要員配置で、ギリギリの精神状態で日夜働いている。
 土曜休配にしても人員不足の現実は変わらない。土曜、日曜に配達されない郵便を月曜日にまとめて配達することになるのだ。普通に考えても大変な量だ。それは再び事故に直結する。
 この土曜休配を皮切りに、日本郵政は郵便事業を切り捨て物流会社へとシフトしようとしている。その中で「3万5千人削減」をやると言っている。今でさえ足りない人員をさらに減らすのか。ビジョンには「ロボットが配達」「自動運転車が配達」などと大真面目に書いてあるが、ふざけるのもいい加減にしろ。郵便事業は郵便労働者がまわしているのだ。
 土曜休配に伴い、翌日配達体制の廃止による深夜勤廃止という問題がある。しかし、深夜勤務の労働者からは「昼間帯に異動したら減給で生活できない。他の仕事も考えている」などの声が上がり、5月に会社が行ったアンケートでは「深夜勤廃止に7割の反対」。これが示しているのは、深夜から昼間帯への移行に伴う要員確保ができていないということだ。敵の攻撃には必ず破綻点があるのだ。
 そして郵政民営化で生み出された深夜労働者の9割が非正規職であるという矛盾だ。当局は、深夜の割増賃金を生活の糧としてきた非正規労働者をさんざん食い物にして、今度は切り捨てようとしている。

会社を支えるJP労組本部

 JP労組本部は当局に対して「丁寧な対応を求める」と称し、非正規労働者に「深夜勤廃止」を説得しろと言っている。
 7月の意向確認対話での当局による「丁寧な対応」の中身は、「ベテランゆうメイトとしてあなたが必要です。昼間帯に移行しても引き続き郵便局で働いてほしい」だ。ふざけるのもいい加減にしろ! さんざんデタラメなスキル評価で賃下げしておいて、こんどはベテランだと持ち上げるのか? 「だったらスキル評価を『A有』にしろ!」「生活できる賃金を!」。これが現場の声だ。そして昼間帯の具体的な行き先すら不明のままで、「余剰人員」と言われながら何カ月も働き続けることの不安と怒り。もう我慢の限界だ!
 JP労組本部は「自分の職場、自分の働き方等に急激な変化を望むわけがなく、できることなら避けたい」(JP労組第14回定期全国大会、本部企画局長・山田裕行総括答弁)などと称しつつ、その舌の根も乾かぬうちに、続けて「『守るためにこそ挑戦が必要』と考え、事業ビジョン(案)を組み立てた。経営は会社の責任、労働組合が負うものではない。しかし持続的発展につながる経営推進を求めていく必要がある。......まずは働く者として主体的に方向性を打ち出し、その覚悟を示すことで、会社に迫っていこうと考えている」(同)と言い放っている。組合員に向かって「主体的」に「覚悟」をもって「経営推進」に協力しろと求めているのだ。
 さらに、8月10日付で出された「2022春闘方針(案)の策定に向けた検討」では立憲民主党代表・枝野幸男の著書を引き合いに出し、「新自由主義的な社会の次にやってくる時代の方向性を、どう指し示すのか考える」として、それは「見たくない現実に向き合う」ことだと言っている。その中身は、民営郵政当局に代わって大合理化を提唱し、民営化の破綻を現場労働者を犠牲にして乗り切り、民営郵政―日帝を支えようというものだ。

「おかしい」と言える職場に

 目の前で国鉄や郵政の民営化の破綻―新自由主義の崩壊が起きている。それは帝国主義の最後の絶望的延命策も万策尽き果てていることを意味している。「戦争か革命か」の時代認識が問われている。具体的には、職場でどんな些細(ささい)なことでも、当局との力関係を逆転させるテコにする目的意識性をもつことだ。動労千葉の反合理化・運転保安闘争路線に学び、現場労働者が自らの労働に発言権を持ち、「おかしいことはおかしい」と言える職場をつくることだ。
 SKYT(危険予知訓練)で「あなたは右折する際に対向車と接触しました」「どうしたら事故を防げますか」と言われたら「右折しないことだ」と言ってやろう。続いて「事故を防ぐためには運転しないことだ」と援護射撃しよう。当局の権威を失墜させよう。現場は我々がまわしているのだ! 民営郵政資本とJP労組中央の二重の支配を打ち破り、職場の現実を変える挑戦が東京・首都圏から開始されている。
 11月労働者集会に郵政労働者は正規・非正規、内務・外務の枠を超え、全国の職場から総決起しよう! 日比谷の街にデモで繰り出し、産別を超えた労働者の団結で、民営化は悪であると世に知らしめよう!
〔革共同郵政労働者委員会〕

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▼JP ビジョン2025 日本郵政グループが今年5月14日に策定した2021〜25年度の経営計画。グループ主要4社で3・5万人の削減を打ち出した(「業務量の増減に合わせて随時増減する」としており、さらなる削減を狙う)。これにより2400億円余を「費用削減」し、株主に対し「1株当たり50円の年間配当を安定的に実施」するとしている。今後の目標としてDX推進(データやデジタル技術の活用)と、物流や不動産事業の拡大など新規ビジネスの推進を掲げている。
▼事業ビジョン(案) 正式名称は「JP労組が考える事業ビジョン(案)」。JP労組が今年5月18日に打ち出した。「取り巻く環境の変化」に対応して「事業構造の改革を急ぐ必要がある」と主張。今後は「DXにより効率的に」し、「荷物分野へのシフト」「JRと郵便の窓口業務の一体化」「コンビニ等とのコラボ」などを提唱。組合員に対しては、「意識改革」を行って「機動的な働き方にも果敢に挑戦し」「複数の職場が勤務先となるような働き方」を要求している。JPビジョンに呼応して出されたもの。

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