北海道 全道で鉄路廃止続く 将来展望持てず退職続出

週刊『前進』04頁(3214号02面03)(2021/10/11)


北海道
 全道で鉄路廃止続く
 将来展望持てず退職続出


 国はJR北海道に今後10年間で新たに1450億円の追加支援を行うと発表した。北海道新聞は社説で「分割でJR各社の収益格差を生み出した国鉄改革の失敗を認めないための泥縄的な延命策」と論評した。事態の根底にあるのは国鉄分割・民営化の大崩壊だ。

長大区間が廃線に

 北海道では鉄道の廃止が続いている。2015年の高波被害で列車の運行が止まっていた日高線の鵡川(むかわ)―様似(さまに)間116㌔が今年3月、廃止された。
 3月のダイヤ改定で過去最多の18駅が廃止されたが、さらに9月には、無人駅7駅の来春廃止に向けた沿線自治体との協議が始まった。廃止によるコスト削減額は年間8千万円程度で、今期の連結営業赤字見込み692億円と比べれば微々たるものだ。
 7駅中5駅は函館市に隣接する七飯(ななえ)町とその隣の森町にある。新幹線札幌延伸に伴い第三セクター化される函館線の函館―長万部(おしゃまんべ)間112・3㌔と迂回路の大沼―森間35・3㌔の廃止に向けた布石だ。北海道庁は函館線の長万部―小樽間140・2㌔についても、年内の存廃決定を目指すと沿線自治体に伝達した。

重大事故が相次ぐ

 安全も崩壊したままだ。3月、仁木町の函館線で作業員不在のミスにより2カ所の踏切を遮断機も柵もない状態で列車計4本が通過した。
 6月には石北線の生田原(いくたはら)駅付近の線路敷地内で風速22㍍の暴風雨の中、倒木を撤去する作業が行われ、JRの下請け会社の労働者2人が倒木の下敷きになり死亡した。
 同じく6月、函館線の大沼―七飯間の約7・6㌔区間を保線車両が最大時速約80㌔で暴走、遮断機の下りていない2カ所の踏切を通過した。緊急点検で作業車186両中10両はブレーキが不良、うち2両は利かないことが判明した。
 9月には、函館線ほしみ駅発の普通列車が、車掌が来ないため部分運休した。車掌は札幌運転所から間違って逆方向の回送列車に乗っていた。

鉄道の消滅許すな

 JR北海道が言う「経営改善」とは極限的な人員削減・賃下げ・非正規職化、老朽化した設備・車両の酷使、路線の廃止と減便、駅の無人化と廃止だ。同社は「2023年度までに経営自立」と言い19年に「JR北海道グループ長期経営ビジョン」「中期経営計画2023」を作ったが、コロナで計画は頓挫した。だが同社は19〜20年度中に計画を倍するコスト削減をし、20年度には目標の60人規模に対して100人規模の効率化・省力化を実施した。
 合理化で人影の減った線路は野生に戻る。エゾシカと列車の衝突事故は、20年度は前年度比35%増の2414件で、JR発足以来最多になった。死骸除去などによる「輸送障害」は過去2番目に多い99件。老朽化した設備や車両による故障や運休も頻発している。
 縮む鉄路に加え、低賃金と過疎地への転勤もあり、JR北海道の20年度の中途退職者は183人で、5年連続で過去最多を更新した。その9割が10〜30代だ。毎年の新規採用規模は250人ほどだが、その3分の2が10年経たずに辞めている。
 JR体制下では北海道の鉄道の大半は消滅する。JR体制を前提にした御用組合ではなく、動労千葉のように闘い、地域住民と団結する労働組合が必要だ。
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