香港職工会連盟が国安法で解散 〝理念と団結精神は失わない〟

週刊『前進』04頁(3215号04面01)(2021/10/18)


香港職工会連盟が国安法で解散
 〝理念と団結精神は失わない〟

(写真 5月6日、昨年の六四天安門集会で逮捕・起訴された被告の裁判に駆けつけ、アピールする香港市民愛国民主運動支援連合会の人々)

 2019年に始まった香港の民主化運動の爆発に対して、中国政府と香港政府は今、昨年6月30日に公布・施行した国家安全維持法(国安法)による民主化団体への激しい弾圧を繰り広げている。

民主化団体・労組指導者を次々逮捕

 昨年来、民主化人士を次々と逮捕、勾留、起訴し、8月にはこれまで大規模デモを主催してきた民間人権陣線(民陣)、および香港最大の教育労働者の組合である香港教育専業人員協会を解散に追い込んだ。民主派の労働組合総連合である香港職工会連盟も10月3日に大会を開き解散を宣言した。
 また香港で六四天安門事件の集会を主催し、その記念館を運営してきた香港市民愛国民主運動支援連合会(支連会)も9月25日の総会で解散を決定した。
 この支連会の解散に対して、獄中にある李卓人氏(支連会主席)は「いかなる政権も人民の記憶と良識を奪うことはできない。支連会の理念はそれぞれの香港人の心の中に生き続ける。炎がある限り、希望はある」とメッセージを送っている。また職工会連盟も「職工会連盟の理念と団結精神は、失われることはない」と訴えている。
 多くの民主化団体が自主解散を選んだのは、執行部のほとんどが逮捕され、団体の今後の運営自体が事実上困難な状況に入っていることが大きい。
 だが、これに異議を申し立てたのが支連会副主席の鄒幸彤氏であった。

「徹底的に闘いを堅持する」と宣言

 鄒氏は「今の状況では自主解散の方が良い」との主張に対し、「最終的に解散は避けられない。しかし自主解散は、即かつ不可逆的に支連会が声を上げる権利を失うことを意味する」「独裁政権下では、過去の多くの団体が非公認下で正義の声を堅持し上げ続けてきた。これこそ『民心が死ななければ抗争は続く』という民主化闘争の取るべき態度である」「私は〝失わず、忘れず、離れず、捨てず、徹底的に闘いを堅持する〟立場を選択する」として、「解散反対」を獄中から公開レターで会員に訴えた。鄒氏の不撓(ふとう)不屈の訴えは、多くの香港の人々の心を揺り動かした。
 明らかに今香港の運動には歴史上最大ともいうべき大弾圧が襲い掛かり、次々と反体制人士が逮捕・投獄され、厳しい状況に入っている。だがこの困難な中で、香港の闘う人々がさまざまな意見の違いを生み出しながらも闘いを総括し、次の段階へどう進むかの議論を必死に主体的に開始している。このことが何よりも重要だ。
 「労働者が職場にいる限り、労働運動は続く」などの書き込みがネットでは現れている。この2年間で決起した数十万の人々を沈黙させ続けることなど絶対にできない。まさに「今までの闘いは序章だ。解散は終わりではない、新たな始まり」(職工会連盟)とならなければならない。
 香港の闘いがやむことはない。困難を乗り越える闘いは始まっている。一方で恒大集団の危機に示されるように中国スターリン主義の危機は深まっている。香港の労働者民衆の勝利は不撓不屈の闘いの中で必ず切り開くことができる。

台湾・産業労組が香港との連帯訴え

 台湾の桃園市産業総労働組合は10月4日に声明を出し、中国政府による弾圧に激しく抗議するとともに、「職工会連盟はしばし解散するが、香港の労働運動は終わらないと信じる」と明言し、台湾・香港・韓国の労働運動の連帯を強く訴えた(ZNNに全文掲載)。戦争と革命の時代の激動の中で、香港の闘いは中国、台湾につながり、全世界の労働者と必ずや結びついていく。未来をかけて、11月労働者集会を成功させよう!
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