入管法・入管体制をうち砕こう 11・7を新たな出発点に 〈寄稿〉外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会 鎌田由子

発行日:

週刊『前進』04頁(3222号02面03)(2021/12/06)


入管法・入管体制をうち砕こう
 11・7を新たな出発点に
 〈寄稿〉外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会 鎌田由子

(写真 旭支援共闘会議が旭非正規職支会22人の解雇撤回へAGC本社行動を闘った【11月26日 東京・丸の内】)

 入管法・入管体制粉砕は革命のスローガンです。そして日本の地で世界の人々とつながる国際連帯の最前線の闘いです。
 5月18日、国会を取り巻く民衆の怒りで入管法改悪案を廃案に追い込む大勝利が勝ち取られました。日本で難民申請を繰り返す外国人を、弾圧を受ける可能性がある出身国、地域に送り返すことを可能にしようとする改悪案でした。国際法をも踏みにじる暴挙です。岸田政権は来年の通常国会で、またも入管法改悪をもくろんでいます。何としても阻止しなければなりません。

多くの人が怒り動き出す

 3月6日、名古屋入管で33歳のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが医療も受けられずに亡くなりました。日本に入管収容所があり、そこで外国人が見殺しにされるという事件に「知らなかった。こんなことが起きているなんて」と多くの人々、多くの若い人たちが怒り、行動を始めました。それはコロナパンデミックの中で職を失い、コロナになっても病院に入れない、自分の体験と重なり合う事件でした。
 ウィシュマさんは元交際相手からDVを受け、助けを求めた警察で保護ではなく入管に引き渡されたのです。食べ物も水さえも吐いてしまう状態でも「外に出たいための詐病、仮病だ」と扱われました。ウィシュマさんのビデオを見た妹のワヨミさんは「お姉さんは動物のように扱われた。日本にいる外国人は皆このビデオを見るべきです。明日はあなたがこうなるかもしれない」と告発しました。
 昨年春から今春まで読売新聞夕刊に連載された中島京子さんの『やさしい猫』が本になりました。フィクションですが、書かれているエピソードは実際に起きた事件がベースです。
 映画になった「東京クルド」のクルド青年ラマザンさんのおじのメメットさんは入管収容施設で倒れ、家族が呼んだ救急車は入管職員によって二度も追い返されました。仮放免不許可に絶望してシャワー室で首を吊ったのはインド人男性です。
 この物語の主人公と同じ名前のクマラさんというスリランカ人は今、東京入管で拒食と手足のしびれで車イス生活を強いられています。夜中に頭にかぶさったバケツを振り払ったらバケツに穴が空いたとして、428円払えと入管に言われています。法務省がまとめたウィシュマさんの最終報告書は「全職員の意識改革」を掲げていますが、根本問題は入管法・入管体制そのものにあるのです。
 中島さんは11月2日付朝日新聞で、「今回の選挙で問うべきだったのは『人が生まれてきた以上誰でも持っている、生きる権利』だったと思っている」、「救える命が救われない恐怖」がこの社会を覆い、「基本的人権の生存権が脅かされる事態」がこの日本で現実になっている、「3月には、スリランカ人女性が医療につないでもらえずに亡くなった。この国では、外国人には人権がないのかと、愕然(がくぜん)とした」と書いています。
 私たちはこの社会で何が行われているのかをはっきり見なければなりません。岸田は経済安保戦略のもと安全保障に資する技術開発を育成する一方、「軍事転用可能な機械を中国に輸出した」と言って外為法弾圧を始めています。排外主義をあおり、北朝鮮への「不正輸出」として在日企業を標的にしてきたやり方と同じです。これを中国に対して全面化させ戦争へ動員しようとしているのです。
 自公と維新、国民民主で改憲発議が可能な議席が確保されたとされますが、国会の中だけで政治が決まるわけではないことを思い知らせなければなりません。

世界のストに続く闘いを

 すでに労働者階級の歴史的台頭が全世界で始まり、闘いが巻き起こっています。アメリカではストライキトーバー(ストの10月=オクトーバー)と呼ばれるほどストライキが激発しています。韓国では10・20ゼネストが闘われています。こうした世界の労働者のストライキに続きましょう。
 2003年のイラク反戦闘争以来、動労千葉は国際連帯を進めてきました。労働者は一つ、敵も一つ。職場で資本と闘い、階級的な視点で社会のからくりを暴き、核や戦争、悪法を阻止する政治闘争の先頭に立ってきました。何より国家の総力を挙げた国鉄分割・民営化攻撃と闘い続けてきた動労千葉の存在と闘いが世界の労働者階級を魅了し獲得したのが、03年以来の動労千葉の国際連帯闘争です。関西生コン支部、港合同、動労千葉の3労組共闘が呼びかける11月労働者集会は、世界とつながり、時代を動かす労働者階級の一大結集軸です。
 今年4月、日米首脳会談で日本の防衛力強化と日米安保が対中国侵略戦争同盟であるということが確認されました。沖縄は台湾有事、中国侵略戦争のための戦略拠点となっています。1971年の沖縄全島ゼネスト、星野さん、大坂さんが闘った11・14渋谷闘争から50年。辺野古新基地建設を阻止しましょう。
 かつての侵略戦争でアジア人民2千万人を犠牲にして延命した日本帝国主義は戦争責任も取らずに今に至っています。2012年に安倍政権で外相になった岸田は日本軍軍隊慰安婦問題での15年「日韓合意」の張本人です。ミャンマーへのODAによる大規模事業を遂行したのも岸田です。
 団結して闘えば社会を変えることができると自覚した時、労働者はとてつもない力を発揮します。在日ミャンマー人も大挙結集した11・7労働者集会を新たな出発点として、改憲・中国侵略戦争に突き進む岸田政権を倒しましょう。
このエントリーをはてなブックマークに追加