改憲・戦争と労組破壊の岸田政権を打倒しよう 安倍の「台湾有事」発言を弾劾する

週刊『前進』04頁(3223号01面02)(2021/12/13)


改憲・戦争と労組破壊の岸田政権を打倒しよう
 安倍の「台湾有事」発言を弾劾する


 12・7防衛省抗議行動は、大軍拡と改憲に突き進む岸田政権を打倒し、米日帝国主義による中国侵略戦争を阻止する闘いの号砲を鳴らした。さらに、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧に抗議する12・12全国同時アクションは、「労組なき社会」化を狙う国家権力・資本への階級的総反撃の出発点となった。今こそ新自由主義を打倒する階級的労働運動をつくりだそう。「勝利まであと一歩!」にJRを追い詰めた国鉄1047名解雇撤回裁判闘争(17日午後3時45分、東京地裁前集合)に全力で結集しよう。

沖縄を再び戦場にするな

 〈コロナ×大恐慌〉情勢によって一気に促進された新自由主義の大崩壊は、帝国主義の絶望的延命をかけた改憲・戦争への攻撃を加速させている。
 12月1日、安倍元首相が台湾のシンポジウムに参加し、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある。(中国の)習近平主席はこの点の認識を断じて見誤るべきではない」と名指しで批判した。台湾海峡への軍事介入をほのめかす許しがたい戦争挑発だ。翌2日には、自民党の河野太郎が安倍発言を「我々の当然の懸念」だと支持し、中国に対して「(台湾侵攻は)非常に高い代償を支払うことを知らしめる必要がある」と発言した。
 さらに岸田首相は12月6日、臨時国会で所信表明演説を行い、「敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、スピード感をもって防衛力を抜本的に強化していく」とあらためて強調した。これと一体で、防衛省は、開発中の巡航ミサイルの射程を1000㌔メートル超に伸ばすことを発表し、20年代後半に配備すると打ち出した。現在陸上自衛隊が保有する12式地対艦ミサイルは射程200㌔だが、1000㌔を超える巡航ミサイルを配備すれば、朝鮮半島や上海を含む中国東海岸地域が射程圏に入る。米軍中距離核ミサイル(INF)の日本列島への配備計画と合わせ、岸田は中国侵略戦争のための「敵基地攻撃能力」保有へ決定的に踏み込んだのだ。
 こうした中で中国侵略戦争に向けた日米の共同訓練が激化している。とりわけ沖縄では、これまでとは一線を画した実戦的な訓練が繰り返されている。11月19日から始まった自衛隊の統合演習では、「台湾有事」を想定し、民間港を使用した本土からの部隊の輸送、補給と戦闘が一体となった訓練が行われた。より実戦を意識した訓練に、「沖縄戦を思い起こしたという人も少なくない」(11月21日付沖縄タイムス)と報じられている。12月4日には東北地方や北海道の演習場でも米海兵隊と陸自の合同演習が始まった。
 しかし、沖縄を再び戦場とするような実戦的訓練が事故を多発させ、県民の生活を踏みにじっていることに対し、新たな闘いが始まった。宮古島での弾薬の搬入阻止や本部町・八重岳での自衛隊演習反対の闘いが、住民の体を張った実力闘争として闘い抜かれている。八重岳の闘いは実際に演習を中止させた。
 沖縄の闘いに連帯し、「改憲・戦争阻止!大行進」運動を発展させ、日米帝国主義の中国侵略戦争阻止の反戦闘争を全国で闘い抜こう。そして何より、改憲・戦争との闘いは、資本や国家権力による労働組合解体攻撃との闘いである。日教組や自治労の改憲勢力化を許さず、反戦闘争を労働組合の重要な闘いとしてよみがえらせよう。

労働者階級の反撃始まる

 新自由主義の崩壊の中で労働者階級の生きるための闘いが全世界で始まっている。新自由主義を終わらせることができるのは、労働者の団結した闘いだけだ。
 岸田は、過去最大となる総額55兆7千億円の財政支出を「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」だと押し出したが、コロナ感染拡大と最前線で闘ってきた看護師には月4000円、介護士や保育士には月9000円の賃上げしか打ち出さなかった。
 さらに岸田は、安倍政権時代に破産した「官製春闘」を持ち出し、「3%の賃上げ」を財界に要請したが、経団連は「業種横並びや一律的な検討ではなく、各企業の実情に合わせるべきだ」と主張し、岸田の要請を事実上拒否した。実際、今年の冬の一時金をめぐっては、民間企業も公務員も赤字を理由に「過去最低」が相次いでいる。しかし一方でJR東日本で典型的なように、過去最大の赤字を理由に労働者には過去最低額の一時金を提示しておきながら、株主には高額な配当金を出している企業も多い。戦争・改憲へのエスカレーションと一体で、岸田政権、経団連による労働組合破壊の新たな攻撃が始まっている。
 こうした現実に、労働組合の現場からの闘いが始まった。「コロナで我慢に我慢を重ねて働いた結果がこれか!」と会社の低額の一時金回答に対して、職場集会や抗議デモ、残業拒否や休日出勤拒否、ストライキなどの実力闘争に立ち上がる労働組合が増えている。
 労働者が団結して闘えば職場を変え社会を変えることができるという労働者本来の力がよみがえり始めている。

12・17国鉄解雇撤回裁判へ

 帝国主義の最末期的危機において、労働者階級の団結と労働組合を暴力的に破壊し、搾取の自由を確保して資本の延命を図ったのが新自由主義だ。日本における新自由主義は、国鉄労働運動の解体を目的とした国鉄分割・民営化攻撃から本格的に始まった。この国鉄分割・民営化をめぐる攻防は、現在の労働者と労働運動が置かれている現実を、いまなお根本のところで規定している。しかしいま、その民営化が30年を経て、全面的な崩壊を開始している。国鉄闘争をよみがえらせることは、日本において新自由主義を終わらせる労働運動を再生させる第一の課題だ。
 何より、国鉄分割・民営化による不当解雇から34年を経て、1047名解雇撤回闘争が重大な局面を迎えている。動労千葉をはじめとした労働者の闘いは、「国鉄労働者の解雇について組合差別があったとしても、その責任はJRにはない」とした最高裁判決を打ち破り、国鉄分割・民営化に反対する労働組合員をJRから排除する「不採用基準」の策定を不当労働行為と認定させた。そして、現在東京地裁で行われている裁判は、その不当労働行為がJR設立委員長・斎藤英四郎の指示によって行われたこと、つまり国鉄労働運動破壊を狙った不当解雇はJRによる不当労働行為であったことが初めて法廷で争われる画期的な裁判となっている。この真実が確定されれば国鉄分割・民営化攻撃の根本が覆る。国鉄闘争は本当の意味で「勝利まであと一歩」にあるのだ。一人でも多くの労働者にこの事実を伝え、JR復帰と団体交渉の開催を求める署名を集め、17日に東京地裁で行われる第7回行政訴訟に全力で結集しよう。
 さらに、「労組なき社会」化のために仕掛けられた戦後最大の労組弾圧を打ち破り、現場から組織拡大を実現して進んでいる関生支部の闘いは、国鉄闘争と並んで、階級的労働運動を力強く再生させる今一つの闘いだ。関生弾圧粉砕の12・12全国同時アクションの成功を新たな出発点として、関生支部支援の陣形をさらに広げ、自らの職場・地域に関生支部のように闘う労働組合、産業別労働運動をつくり出そう。
 闘う労働組合をよみがえらせること、この一点に労働者の未来がかかっている。中国侵略戦争阻止の反戦闘争に決起し、職場の闘いを基軸に、新自由主義を打倒する労働運動を全力でつくり出そう。

このエントリーをはてなブックマークに追加