全学連新春鼎談

週刊『前進』08頁(3225号01面02)(2022/01/01)


全学連新春鼎談

(写真 昨年7月23日、全学連を先頭に五輪開会式会場の国立競技場前で怒りの声をたたき付けた)

学生は反戦闘争の先頭に立つ
実力闘争復権し改憲・戦争阻もう

 全日本学生自治会総連合は昨年の定期全国大会で、中国侵略戦争阻止の反戦政治闘争を闘う赤嶺知晃委員長体制を確立した。7・23五輪粉砕闘争を頂点に2021年決戦を闘った全学連の学生に、今年の決意を大いに語ってもらった。沖縄米軍基地撤去、安保粉砕・日帝打倒へ全学連と共に22年決戦に立ち上がろう。(編集局)

参加者
赤嶺知晃(全学連委員長 沖縄大学)
長江光斗(全学連書記長 京都大学)
清石風琴(首都圏大学)
司会 石田真弓(前進チャンネルキャスター)

沖縄を再び戦場にさせない

 石田 今年は改憲・戦争阻止の決戦。自衛隊の軍事演習も激化し、沖縄の地元紙は米軍とは別に自衛隊担当のチームを新しくつくって対応しているそうです。中国との戦争に向けて情勢が一変した中で、全学連がこの22年決戦をどう闘っていくか。大いに語ってください。
 赤嶺 沖縄では、米海兵隊が離島を制圧して上陸する訓練を激化させていて、兵士も整備士も疲弊(ひへい)して事故が激増しています。戦争の切迫を本当にリアルに感じますね。

 長江 自衛隊も史上最大規模と言われる訓練が連続して、内容も変わってきましたよね。
 赤嶺 そうですね。政府は明らかに沖縄が戦場になることを想定して、民間港や公道を使って自衛隊の訓練をやっています。宮古島では、住民に事前の説明もなく、民家のすぐ近くに弾薬を置いた。米軍との関係でも、青森県で米軍機が燃料タンクを投棄した時は政府も一応抗議して同型機の飛行停止を求めたが、沖縄では事故が起きても飛行停止を求めない。それは沖縄を「捨て石」にすることを本気で考えているからです。戦争のために住民が犠牲になるのは当然だと。これに対して住民の怒りの声も広がっています。
 清石 国会を見ると、国民民主党や日本維新の会が憲法審査会を毎週開いて改憲を進めろと主張しています。野党も含めて、既存のあらゆる勢力が改憲に突進しようとしていますね。
 赤嶺 米軍のことを問題にする政党も自衛隊の配備には口を濁します。しかし、辺野古で座り込みを続けている人たちや自衛隊基地の周辺住民の間には怒りがあるし、闘いを求めています。「米軍はダメだが自衛隊ならいい」というような立場ではなく、戦争絶対反対を貫いて闘っている全学連への期待を強く感じます。この思いに応えて、今年は全学連の闘いを大きく拡大していきたい。
 長江 京都では、昨年は自治体労働者を中心に自衛隊中東派兵反対を闘い、11月には改憲・戦争阻止!大行進・京滋を発足させました。京都府には舞鶴に海上自衛隊基地、福知山に陸上自衛隊駐屯地、京丹後に航空自衛隊の経ケ岬分屯基地があり、米軍Xバンドレーダー基地もある。実は陸海空全部そろっている上に米軍もいるんです。この地域からもっと声を上げ、沖縄の闘いと連帯していきたい。

五輪粉砕で確信もつ

 石田 昨年の全学連の闘いとしては、大注目を集めた7・23五輪開会式粉砕闘争がありましたが、あの闘いもやはり改憲・戦争との対決でしたね。
 清石 コロナ下であれだけ開催中止を求める声があっても、あえて五輪を強行する。どれだけの人が死のうと国策を貫徹する。そうすることで〝国の決めたことには従うしかない〟と人々に無力感を植えつけて、戦争のできるような国につくり変えていく----そういう攻撃として東京五輪がありました。だから私たちは「五輪はもはや戦争だ!」と言い切って、機動隊と激突しながら闘い抜いた。開会式を直撃する実力闘争が世界中に報道されました。五輪強行にかけた菅政権の狙いを根底から打ち砕いたと思います。
 赤嶺 全学連が7・23を闘えたのは、五輪を戦争問題と捉えたからですよね。コロナ下でも医療労働者や学校を動員して五輪をやるというのは、戦時総動員体制の構築そのもの。会場警備に自衛隊を動員したこともそうです。改憲・戦争をめぐる階級決戦として7・23を闘い抜いたからこそ、その後の11・7集会に続く11月沖縄現地闘争や沖大集会、12・10京大集会も闘えたのだと思います。
 清石 自治体労働者や教育労働者の決起で学校観戦動員を中止させたことにも、すごく勇気をもらいました。入管法改悪を阻止したこともそうですが、労働者が立ち上がれば勝てると実感する出来事でした。
 長江 五輪という戦場に子どもを送らせない、つまり「教え子を再び戦場に送るな」の闘いそのものですよね。
 赤嶺 そういう労働者の闘いがあったからこそ全学連も闘えた。7・23当日も飛び入りでどんどん人が集まった。赤ちゃんを抱いたお母さんが駆け付けてくれたり、今までつながりのなかった多くの人々が一緒に闘ってくれた。労働者階級と共に闘うことで展望が切り開ける。機動隊と押し合いへし合いしながら本当にそれを実感しました。
 石田 その後の反響もすごかったですね。「全学連の闘いを見て自分も革命を決意した」という学生や青年労働者が、次々と隊列に加わった。
 赤嶺 ヘルメットを自作する人も増えましたね(笑)。
 清石 前進チャンネルでやった7・23闘争のライブ配信の再生回数も6万を超えた。本当に全人民の怒りを代表する闘いになったと思います。

学生の力を示した京大闘争

 石田 東京五輪も辺野古新基地建設も、改憲・戦争に突き進む国家が何の整合性もなくひたすら暴力的に強行しているものでしかない。まさに支配の崩壊を示していると言えますが、京都大学で学生に対してかけられている攻撃も同じですね。
 長江 岸田政権は成長戦略の第一の柱に「科学技術立国」を掲げ、教育・大学を変質させることで日本帝国主義の生き残りを図り、戦争に突き進もうとしています。大学キャンパスで管理強化・学生運動つぶしの攻撃がかけられ、京大でも自治会や自治寮への攻撃が強められています。その背景には、明らかに改憲・戦争情勢があります。
 赤嶺 関西生コン支部への弾圧をはじめとした「労組なき社会」化と一体の攻撃と捉えることが重要ですね。
 長江 そうした中で、最大の攻撃である処分に対して学生が闘っていることに展望があります。以前は有志の運動としてやっていた処分との闘いを、学生自治会として取り組む課題に押し上げたことが大きな前進でした。処分は分断攻撃であり、自治会という学生全体の組織が取り組むことで分断を乗り越えることができる。昨年12月10日の京大集会では、処分された学生が6人も発言しました。そのうち4人はキャンパスへの出入りを禁止されていましたが、みんなで支え抜いて一緒に集会をかちとることができました。

 清石 キャンパスでこんな集会ができるんだと衝撃を受けました。労働組合や学生自治会の存在は、私も運動に参加する前から知ってはいたけど、周りにそれを実践している人はいないし、自分もやろうとは思わなかった。でも京大の闘いを見て、自分の大学にも自治会をつくりたいと思うようになりました。
 赤嶺 被処分者が6人発言しても大学当局は何もできなかった。学生を分断し、闘いを抑えつけるために処分攻撃があるが、逆にここを突破すれば本当に社会を変える学生運動をつくることができると確信しました。70年安保・沖縄闘争のように、学生がキャンパスから街頭に出て戦争絶対反対の実力闘争をけん引していく。処分撤回闘争を通じて、そういう闘いがつくり出せると思います。
 長江 戦争に向かって「大学改革」を進めようとすることに対して、「反戦」を学生の闘いの第一に据えて、実力で戦争を止める闘いを展開することが求められています。反戦運動、実力闘争を復権させる、そのための京大闘争を闘っていきたい。
 赤嶺 軍事研究反対の闘いをやってきたことも重要でした。一部の大学人が「自衛の目的なら安全保障研究も容認すべき」と言って軍事研究を進めようとすることに対して、帝国主義の侵略戦争はいつも「自衛」の名で始まることを明確にして対決し、その立場を貫いて辺野古現地闘争や自衛隊配備反対の闘いも取り組んできました。その上で、今年は私たち学生が昨年以上にどんどん街頭に出て闘うことが重要です。大学の軍事研究反対にとどまららず、全国の反戦・反基地闘争の先頭で全学連が闘うということです。

差別分断の根源は資本主義

 石田 今年の闘いを展望していく上で、あらためて去年の11・7集会で多くの青年・学生が「ここに展望がある!」とつかんだことが重要ですね。
 清石 改憲・戦争情勢の中で、日本共産党や立憲民主党といった野党は全然これに対抗する勢力になっていない。日本共産党は「安保廃棄」も言わなくなった。野党も含めて、今の議会や政治には何も期待できないという人たちがたくさんいて、そういう人たちの選択肢として11・7集会がありました。
 赤嶺 若者は「野党共闘」には何の期待も幻想も持っていないけど、11・7集会に来た人はみんな「ここに社会を変える力ある」と感動していますよね。
 長江 集会には多くの女子学生が駆け付けてくれました。
 清石 新自由主義のもとで女性に対する抑圧や暴力が強まる中、声を上げる女性も増えていて、そういう怒りの声が11・7集会に集まったのは本当に重要なことだと思います。全学連も去年の8月に起きた小田急線での刺傷事件に対して、フェミサイド抗議の全国一斉スタンディング行動をやりました。新自由主義の非正規職化で労働者が追いつめられる中で、社会に対する恨みを女性にぶつけた事件でした。私たちはこれを資本主義・新自由主義の分断攻撃と捉え、「差別・分断を許さない」と掲げて一斉行動に立った。各地でたくさんの共感の声や飛び入り参加がありましたね。
 赤嶺 コロナ下で女性差別の実態が今まで以上に明らかになって、これと闘うことが求められていると実感しました。全学連大会の議案で「反差別の闘いを強め発展させよう」と提起したことも決定的でしたね。
 長江 京都でもスタンディングをやりましたが、特に若者からの共感の声が多かった。差別との闘いを全社会的に訴えていくことの重要性もあらためて感じました。全学連大会で討論できて良かったですね。
 清石 私たちが反差別を闘う時、現実には、同じ労働者や学生が差別する側になるということがある。重要なのは、そういう人も本質的に一緒に闘う仲間なんだという立場で相手と向き合い変革していくことだと思います。同時に差別とは単に個人的な問題ではなく、差別を生み出す根源としての資本主義の問題であり、資本主義社会を根底から変革することの中に一切の差別をなくす道があるということです。そういう立場や展望がないと、差別問題は単なる個人問題にされ、啓蒙(けいもう)運動とか厳罰化に流れていく。
 赤嶺 労働者階級としてひとつに団結して、差別を再生産し続ける社会を根底から覆そう、ということですね。

5・15沖縄闘争へ

 石田 昨年は11・7集会の直後、沖縄現地闘争を闘いました。米日の中国侵略戦争が切迫する中、本土「復帰」50年を迎える今年の5・15沖縄闘争をどう闘うかが課題ですね。
 赤嶺 去年は沖縄全島ゼネストから50年でしたが、僕たちが思っている以上に、国家権力はあのゼネストを生み出した70年安保・沖縄闘争を恐れ、憎んでいる。渋谷暴動闘争を闘った星野文昭さん、大坂正明さん、奥深山幸男さんへの弾圧がまさにそうでしょう。これに対して、僕たちは星野さんたちの闘いを継承し、労働者階級の闘いの歴史とゼネスト・実力闘争の思想をよみがえらせる。そして中国侵略戦争阻止、全基地撤去・日米安保粉砕に向けて闘いを燃え上がらせる。そういう展望をもって今年の5・15沖縄闘争をかちとっていきたいと思います。本土―沖縄が一体となって巨大な闘いを実現しましょう。
 長江 京都からも大挙して沖縄に駆け付けたい。そして本土での闘いも大いに高揚させていきたいと思います。
 清石 政治闘争の主戦場である首都圏でも、キャンパスの枠を超えて学生の力を爆発させていきます。
 赤嶺 今年は、憲法9条の破壊を核心とする明文改憲攻撃との全面的な対決の年でもあります。全学連はこの改憲阻止決戦の先頭に立ち、大学でも闘い、辺野古現地でも闘って、情勢を切り開いていきましょう!

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