改憲・戦争阻止!大行進 新年アピール

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週刊『前進』08頁(3225号03面01)(2022/01/01)


改憲・戦争阻止!大行進 新年アピール

腕を組みともに進もう

呼びかけ人 高山俊吉さん (弁護士)

 昨年7月5日、麻生財務相(当時)は、「台湾に大きな問題が起きると存立危機事態に関係してきてもおかしくない。そうなると日米は一緒に台湾を防衛しなければいけなくなる」と発言した。安倍政権が強行成立させた戦争法(2015年)は「日本と密接な関係にある他国が攻撃されて日本の存立が脅かされ......ること」を存立危機事態と称し、それを集団的自衛権行使の要件の一つと決めている。麻生はそれを言ったのだ。
12月1日、安倍元首相はさらに進んで、「台湾有事は日本有事で日米同盟の有事。経済力、軍事力を充実させて決意を示さねば」と戦闘準備を強調した。台湾有事がなぜ日本有事で日米同盟有事なのか。台湾が中国の一部であることを承認する日本政府は、中国の内国政策のありようを捉えて「日本の存立危機事態」などとどうして言えるのか。「悪政をただす」のは中国の民衆であって他国の政府ではない。
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日清戦争、日露戦争、日韓併合、台湾割譲、満州かいらい国家「建国」、日中戦争、そして東南アジアからインド洋まで含むアジア太平洋戦争。半世紀にわたりこの国の政府は、常に自身の支配欲求を「死活的利益」すなわち「存立危機事態」と言いなし血なまぐさい侵略の歴史を刻んできた。この国は今あらためて中国を標的に侵略戦争の火ぶたを切ろうとしている。
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 12月6日、岸田首相は所信表明演説で、「敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する」と言い切った。攻撃を受ける前に敵基地を攻撃するのは専守防衛の範囲を超えるとして、これまですべての政権が明言をはばかった論である。それを敢えて言い放つ政権が登場したことを最大の緊張を持って受け止めなければならない。日米双方が中国本土と中国軍艦艇を標的として攻撃する可能性が強く想定される。
 翌7日には自民党が憲法改正実現本部の幹部会合を開き、挙党態勢で改正実現に取り組むことを確認し、全国遊説や対話集会の展開を決め、各都道府県に改憲組織を構築することを確認した。16日には岸田政権下で初めての衆院憲法審査会が開かれ、与党と国民民主党が毎週開会制を主張した。7月の参院選投票日を改憲の国民投票日にしようという声まで出ている。事態は急を告げている。
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 戦争を求める動きが一気に強まった。私たちは虚言と口実と曖昧(あいまい)化の策動に一時もだまされてはならない。有事発生準備を声高に言う者こそ戦争をもくろむ者たちなのだ。五族協和を言い募り東洋平和をうたった者たちが実際に何をしたかを思い起こそう。麻生や安倍の言を真に受ける人たちがいたら伝え知らせなければならない。この国の支配者たちが引き起こしたすべての侵略戦争は平和を標榜(ひょうぼう)して推し進められたことを。そして、資源と市場と支配圏の獲得拡大を追い求める彼らの本音は「いまこそ戦争を。できれば中国あたりで」なのだということを。
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 1987年に国鉄分割・民営化を強行した中曽根康弘は、その狙いを「国労・総評をつぶし、社会党を解体して、新しい憲法を床の間に飾る」と言い放った。闘う労働組合こそが改憲と日本の不沈空母化を阻む決定的な勢力であることを中曽根は把握していた。それゆえ、軍事行動が違憲とされるような戦後日本の状況を根底から打ち破るためには、まず闘う労働組合を潰し、翼賛化した国会が改憲発議をなし得る状況を作り出さねばならない。戦争のための改憲の道筋を、中曽根は早くから睨(にら)んでいたのだ。
 だが、この間改憲勢力が衆参両院の3分の2を超えても改憲ができない状況が続いている。国会がいかに翼賛化しても、戦争と改憲を許さない国民が国会の外に厳然と控えている。権力と支配層はこれを打ち破れない。中曽根は状況を見誤った。
 戦争阻止と改憲阻止。私たちは、今年こそ反戦のために闘う沖縄の人々、さらに全世界の労働者民衆と深く団結し、ともに腕を組んで力強く闘いの歩を進めよう。

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