JRダイヤ改定阻止へ 「業務の融合化」うち砕こう 2・13国鉄集会で闘いの陣形を

週刊『前進』04頁(3230号02面01)(2022/02/07)


JRダイヤ改定阻止へ
 「業務の融合化」うち砕こう
 2・13国鉄集会で闘いの陣形を

(写真 2・13集会は1047名解雇撤回の集会でもある。昨年12月17日、解雇撤回裁判前に東京地裁に向けこぶしを上げた)

 国鉄闘争全国運動が主催する2・13集会は、3月12日のJRダイヤ改定阻止へ、闘争陣形を整える場だ。JRはこのダイヤ改定で、150年の日本の鉄道の歴史を覆すような大攻撃に踏み込もうとしている。特にJR東日本がたくらむ全職名の廃止と「業務の融合化」は、きわめて重大だ。職種の枠をなくし、一人の労働者をあらゆる業務に携わらせようとしているのだ。ストライキを構えて立ち向かう動労千葉とともに、2・13集会からダイヤ改定阻止の闘いに向かおう。

労働者に複数の仕事強制

 鉄道の業務は、それぞれに専門性を持つ各職種が有機的に連携することで成り立っている。各業務に精通した労働者がその職責を果たすことで、鉄道の安全運行は保たれてきた。
 しかし、JR東日本がやろうとしていることは、例えば運転士に車掌や駅員の仕事もさせ、さらにはエキナカ店舗の商品管理や、イベントの企画業務もやらせるというものだ。携わる業務は日ごとに、または時間単位で変わる。運転士は他の業務の合間に片手間で乗務することになる。この施策を実行に移すため、運転士や車掌が所属する運輸区と複数の駅を統合した「統括センター」という名の職場が新たに発足する。
 こんなことが強行されれば、安全は確実に破壊される。しかしJRは、各労組との団体交渉で、「様々な経験を多面的に積むことで安全レベルが向上する」と平然とうそぶいている。
 JR東日本はまた、各職場ごとの定員を意味する「標準数」という概念も廃止した。各職場に割り当てられる業務量も「柔軟化」するというのだ。実際の鉄道運行を考えれば、こんなことは成り立たない。
 しかしJRは「定型的な業務はAIでできる」「人ならではの創造的役割に注力する」という理屈で、この施策を強行しようとしている。それは、「これまでの常識は通用しない」と労働者に価値観の転換を迫るイデオロギー攻撃だ。「自分の携わる業務はいつ変えられるかわからない」という不安に絶えずさらすことで、労働者を資本に無条件に従わせ、職場の団結を壊すことが目的だ。

「働き方改革」の先頭に立つJR

 JR東日本のこの施策は、他の鉄道会社と比べても突出している。しかし、これはJR東日本だけの特異な行動とは言えない。経団連の2022年版経営労働政策特別委員会報告は、冒頭に「働き方改革深化」を掲げた。労働法制改悪で雇用を流動化させたことを「働き方改革フェーズⅠ」とすれば、それをフルに使って業務のあり方を根本から変える「フェーズⅡ」に入るべきだというのが経団連の主張だ。
 JR東日本は「新たな付加価値を生み出す」と叫んで、この方針を最先頭で実行し始めた。御用労組も解体する「労組なき社会」づくりに続き、「職種の枠を取り払う業務変革」へ、JR東日本は先行的な攻撃に踏み切ったのだ。
 これを許せば、全産業がJRのやり方に追随する。この施策を阻むことは、全労働者の共通の課題だ。

外注化の完成を狙う攻撃

 JR東日本はまた、本社・支社の体制を23年6月までに大再編する構想を打ち出した。会社の管轄範囲を首都圏、東北、新潟の3エリアに区分し、東京支社を首都圏本部、仙台支社を東北本部に変える。車両センターや総合車両センターは基本的に首都圏本部や東北本部の所属とする。支社の機能は極小化され、その業務の一部は本社や現場に移される。
 これは、業務の外注先になっているグループ会社の再編も引き起こす。例えばCTS(千葉鉄道サービス)という子会社は、千葉支社に対応して設置され、業務請負契約も千葉支社と結んでいる。このあり方も必然的に変わる。それは、業務の外注化と、外注会社への転籍を労働者に強いる攻撃が、完成に向けて一気に強まることを意味する。
 だが、その外注先のCTSで労働者の闘いが起きつつある。外注化阻止の動労千葉の粘り強い闘いはCTSの非正規職労働者の圧倒的な信頼を獲得し、動労千葉への結集も始まった。コロナ下で業務が増えたのに賃金はほとんど上がらず、逆に人員削減を強行するJRとCTSのやり方に、労働者の怒りは煮えたぎっている。外注先の職場から労働者が立ち上がれば、外注化攻撃だけでなくJR体制自体が根底から揺らぐ。
 3月ダイヤ改定をめぐる闘いは、来年6月を見据えたこの大攻防の始まりだ。

ワンマン導入と駅無人化

 〈コロナ×大恐慌〉はJR資本を直撃した。膨大な収益を恒常的に上げていた本州JR3社は、一気に巨大赤字企業に転落した。ここに示された国鉄分割・民営化自体の破綻をも逆手にとって、JRは大合理化を加速させている。
 コロナパンデミック以前から、JRは各社ともに「将来の輸送需要は急減する」「少子化により労働力の確保は困難になる」として、鉄道事業の徹底した経費削減と極小化、他方での関連事業の拡大に全力を挙げてきた。JR各社はコロナを口実に、この計画を大幅に前倒しして実行しようとしている。
 3月ダイヤ改定で、JR各社は過去最大の減便を行う。JR東日本は新幹線と在来線で計239本の定期列車を減らし、JR西日本は在来線26線区で206本の定期列車を減らす。
 JR東日本では羽越本線の村上―鶴岡間、東北本線の小山―黒磯間、日光線、成田線、相模線、八高線と川越線の八王子―川越間にワンマン運転が新たに導入される。さらに、JR北海道は7駅を廃止し、JR九州は29駅を無人化、48駅の販売窓口を廃止する。
 これにより一時帰休などの解雇一歩手前の攻撃はさらに強まる。
 同時にそれは、公共交通機関としての役割を放棄し、地域をさらに破壊するものでもある。国鉄分割・民営化を軸とした新自由主義攻撃は、医療も教育も地方もすべて破壊した。このことが改めて攻防の焦点に引き据えられるのだ。地域住民と連帯し、JRダイヤ改定を阻止しよう。

1047名解雇撤回の力勝負に

 国鉄労働者1047名の解雇をめぐっても、闘いは原職復帰・JR復帰の実現へ、最後の関門を力でこじ開ける大決戦に入った。2・13国鉄集会は、1047名解雇撤回闘争の勝利に向けて、決戦態勢を打ち固める場でもある。
 2・13国鉄集会に集まり、階級的労働運動を取り戻そう。JR民営化体制を覆す闘いに打って出よう。この攻防を貫き、改憲・戦争を阻止しよう。
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