岸田の医療破壊を許すな 「感染爆発」は日帝の責任だ

週刊『前進』04頁(3230号03面02)(2022/02/07)


岸田の医療破壊を許すな
 「感染爆発」は日帝の責任だ

(写真 昨年の11・7全国労働者集会後、東京・銀座をデモする医療労働者)

全国で26万人を自宅放置

 新型コロナ第6波の大流行で岸田政権と小池都知事は、国や自治体の公的な責任を次々と放棄し、人民を感染症の中に放置している。いわゆる「自宅療養」者は全国で26万人にも達した。「オミクロン株は無症状か軽症の人が多い」とマスコミはいうが、子どもの感染拡大で保育所や学級の閉鎖が相次ぎ、高熱やせき、呼吸困難に苦しむ人、重症化する人も増えている。それでも医者にかかれない状況が広がっている。「自宅療養」とは「自宅放置」以外の何物でもない。
 厚生労働省は1月24日、40歳未満で重症化しにくい人は「受診せず自分で検査して自宅療養できるようにする」との新方針を各自治体向けに出した。医療崩壊、医療放棄もここまで来た。この方針を受けて東京都は、これまで保健所や医療機関が行ってきた自宅療養者への「健康観察」すら縮小し、「50歳未満で無症状か軽症の人は自ら健康観察し、体調に変化が起きたら電話で相談を」とする方針に移行した。「重症化したら電話せよ」というが、電話がつながるかどうかは、あてにならない。
 さらに東京都は、病院の感染者用ベッドを確保するために介護施設などで複数の感染者が出た場合、入院ではなく「往診」で対応することも決めた。福祉・介護施設にコロナ看護の医療体制など、つくれるはずがないではないか。それなのに、高齢者には入院治療は行わない、病院ベッドは他の人のためにあけておくというのだ。国家と資本のために役に立たないとみなす者を切り捨てる「患者の選別、命の選別」がこのように行われている。

最大の感染源は米軍基地

 病気になった時に医療を受けることは当然の権利だ。そのために労働者は高い健康保険料を支払っている。それが、医者にかかるな、自己責任で治せというなら、もはや医療保険制度は崩壊している。
 はたして岸田政権や小池都知事がやっている医療破壊は「未曽有の感染爆発」だからやむを得ないのか? 断じてそうではない。
 1月冒頭からの感染症の急拡大は、沖縄・山口・広島の感染者の急増から始まった。ここからも明らかなとおり、在日米軍基地の存在と米兵の移動こそが「第6波」の主要な感染源となった。米軍はPCR検査もやらずに在日米軍基地から日本に入り、街に出て国内を移動していた。日本政府はそれを知っていてすべて認めていた。米日の中国侵略戦争情勢のもとで日帝・岸田政権にとっては、人民の命やコロナ対策よりも、日米安保が最優先なのだ。空港での「水際対策」はまったく意味がなかった。
 そもそも2020年以来の世界的なコロナ・パンデミックそのものが、帝国主義の新自由主義的延命策のもとでの無制限の搾取・収奪、自然破壊、グローバル化によって引き起こされたものである。また帝国主義国家権力は労働運動を弾圧し、規制撤廃、民営化・非正規職化を進め社会保障政策を破壊した。そして賃金削減、失業、長時間労働で労働者階級の生活と生命、健康を破壊してきた。そうしたことがすべて積み重なって、2年以上経っても収束できない感染症の爆発が続いている。
 まさに新型コロナ感染症の爆発的拡大は、最末期の帝国主義が引き起こしたものであり、その「コロナ対策」なるものは、一時しのぎのごまかしでしかない。岸田も小池も、自宅療養者を治療する大規模医療施設の設置などには一言も言及しない。公的病院や保健所の新増設など今後の感染症対策の抜本的強化を行うつもりもない。逆に公的病院の縮小、営利優先の独立法人化、民営化などの新自由主義政策を進めている。

今こそ労働者の団結力を

 もしも「非常時だからやむを得ない」と、私たちが国や自治体の責任放棄を認めてしまうなら、再び戦前のように、人民の生活と生命・健康は踏みにじられてしまう。行き着く先は戦争だ。自衛隊を動員したワクチン大規模接種は戦時体制づくりそのものだ。岸田政権は現在のコロナ「非常事態」をも利用して改憲と中国侵略戦争の国内体制づくりを狙っている。
 労働者がコロナ禍で生活苦にあえいでいる時、大企業は巨額の利益を上げ、内部留保を1年間で7兆円も積み増して総額467兆円もため込んだ(20年度)。こんな大企業の強盗どもが労働者から搾取し奪ったものを全て取り戻せ! 6兆円の防衛費(軍事費)を全額コロナ対策に回せ!
 医療破壊・賃下げに対して医療・福祉労働者のストライキ、闘争が全国で前進している。都立病院の独法化に反対する闘いが地域と労組の団結で闘われている。団結した労働者には困難を乗り越える力がある。
 政府・支配階級はコロナ対策の決定過程から労働者、労働組合を一切排除している。支配階級は、労働者が主導権を握ればものすごい力を発揮すること、それが全社会に明らかになることを恐れているからだ。
 1930年代のアメリカのゼネストの歴史は、都市の実質的な権力を握った労働者階級が、その団結した力でどれほど巧みに生産や分配を組織し統制し、衛生と医療を行い、貧困・食糧難に立ち向かったかを示している。医療・福祉労働者の闘いと固く連帯し、階級的労働運動を発展させ、岸田政権打倒へ闘おう。
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