戦争のための労組破壊 「評価で解雇」に総反撃を 会計年度任用制度撤廃へ

週刊『前進』04頁(3233号02面05)(2022/02/28)


戦争のための労組破壊
 「評価で解雇」に総反撃を
 会計年度任用制度撤廃へ

(写真 自治体部会が学習会【2月13日 大阪市】)

 2月13日、大阪市内で関西労組交流センター自治体労働者部会主催の「会計年度任用職員制度は撤廃あるのみ!『評価で解雇』許さない」と題する学習会が、全国に先駆けて開催された。大阪市職の赤田由行さんが基調報告を行い、関西各地の自治体労働者、教育労働者が多数参加して職場の怒りと闘いを報告。熱気と多くの教訓に富む学習会となった。全国でこれに続こう。関西からの提起を掲載します。(編集局)

自治労・日教組潰す攻撃

 中国侵略戦争が切迫し、戦時の国家総動員体制作りが狙われている。だからこそ支配階級は労働運動―自治体労働運動・教育労働運動の完全解体抜きに中国侵略戦争は「絵に描いた餅」だと焦り、全体重をかけて攻撃をしかけてきている。
 改憲に向けた国会の総翼賛化も労働運動を焦点に起きている。国民民主党は憲法審査会の毎週開催を要求し「維新と連携する。連合が自治労を説得するべき」と発言。連合会長・芳野友子は事務局長に日教組委員長、会長代行に自治労委員長を据え、経団連に接近して自民党と会談。「日本維新の会は敵ではない」とも公言。連合本部は自治労・日教組幹部に変質を迫り、現場の団結を破壊しようとしている。
 すでに自治労・日教組の排外主義勢力化との現場の攻防が始まっている。大阪では維新による民族学級バッシングで「偏向教育が行われている」として講師の解雇が狙われ、民団事務所への襲撃も起きている。これに対し、ある自治体の労組委員長は「学校現場が悪い」「騒ぎ立てるとかえって良くない」として、解雇と闘わないばかりか現場を切り捨てる発言をしている。しかし現場からは在日の保護者や教組が共に闘ってきた民族学級の歴史や誇りを守れという声が上がっている。戦後の労働運動は「戦争や差別を許すな」が原点だ。それは今も途切れることなく現場に息づいている。
 戦争反対の階級的団結を解体する攻撃は国鉄分割・民営化で本格化した。しかし国鉄闘争は継続し自治労や日教組の解体は未完のままだ。関西地区生コン支部弾圧との闘いは反転攻勢に入った。
 こうした闘いが改憲・戦争を阻んできた。戦争への道を最後に開くのは労組の産業報国会化だ。だからこそ階級的労働運動の復権は、戦争を止め社会を変える闘いである。

自治労本部が導入を推進

 2020年度より「非正規職の待遇改善」と称して導入された会計年度任用職員制度の狙いは、戦争に向けて労働組合を根絶することだ。攻撃の激しさはJRの「業務融合化」に匹敵する。その本質は以下の通りだ。
①「正規が原則」を解体
 自治体業務を「相当の期間任用される職員を就けるべき業務」と「それ以外の業務」に分けて、正規職を原則としてきた公務員制度を解体。運用次第で管理職以外は全員を非正規職にできるようにする。
②評価制度を使って解雇
 「年度単位での任用」を厳格化し、毎年1カ月の試用期間を設け、評価制度を使って「解雇自由」に。これを水路に正規職の「評価で解雇」の道を開くことも狙う。
③「待遇改善」は大うそ
 「期末手当の支給で待遇改善」と言いながら月例給を下げ、退職金支給を逃れるためフルタイムをパートタイムにする動きが横行。沖縄ではフルとパートの比率が16年の54対46から20年には6対94に激変。勤務時間は減らされて以前より重い業務を担わされている。さらに昨秋の人事委員会勧告実施による0・15月分の期末手当削減は会計年度職員を直撃している。
④非正規職の労組を解体
 非正規職も「公務員」にし、それまでの「雇用」から「任用」に変えることで、労働組合法に基づく非正規職の労働組合を解体し「公務員としての義務と責任」を負わせた。
 自治労本部は政府に協力してこの制度を推進。この屈服を契機に、現業や事業所を丸ごと民営化する攻撃が吹き荒れている。

戦争阻止する労働運動を

 2月13日の会計年度任用制度撤廃の学習会では、会計年度職員への解雇攻撃が吹き荒れ、体制内労組幹部がこれに完全屈服していることが明らかになった。
 解雇をほのめかす管理者に対し、労組幹部が抗議するどころか「解雇を本人に早く伝えたのは良いことだ」と発言するなど、労組の側が「毎年解雇」を前提としている。また制度導入の際に組合主催の説明会まで開き「素晴らしい制度になる」と言っていた労組幹部は、制度導入後、当該の追及を恐れて非正規職向けの会議を中止した。組合員の雇い止めと同時に組合本部による組合員籍の剝奪が行われ、パワハラ解雇の容認・黙認も起きている。
 これに対し各自治体で激突が始まっている。自治労本部が「評価制度推進」であるために闘いになっていないだけで、労働者が声をあげた瞬間にその不正義性が明らかになる。ここに当局の悪事と体制内労組幹部の裏切りを串刺しにする闘いを作り出すチャンスがある。一つ一つの解雇が労組破壊であり、具体的な闘いの中から正規・非正規職の団結を作り出そう。
 今や会計年度任用職員の存在なしに業務は成り立たない。韓国・民主労総のゼネストの中心に学校非正規職労働者が立っているように、会計年度任用職員の決起は情勢を決する。コロナ下の自治体・学校現場で自治体労働者・教育労働者こそ戦争反対の先頭に立つ時だ。組合権力の有無にかかわらず、現場の怒りを結集し階級的労働運動を体現した闘いを実践しよう。会計年度任用職員制度撤廃、正規で雇え!と闘い、団結を取り戻そう。労働運動の力で社会を変えよう!
(関西自治体労働者委員会)
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