動労千葉スト支えよう 戦争情勢下の実力闘争 ダイ改阻止3・12総決起集会へ

週刊『前進』04頁(3234号02面01)(2022/03/07)


動労千葉スト支えよう
 戦争情勢下の実力闘争
 ダイ改阻止3・12総決起集会へ

(写真 国鉄1047名解雇撤回闘争も決戦に入った。中央労働委員会の反動命令の撤回を求める2月18日の裁判にあたり、東京地裁に向けこぶしを上げる動労千葉組合員と支援者)

 動労千葉はJRが3月12日に実施するダイヤ改定に対し、ストライキで反撃に立とうとしている。このダイヤ改定は、鉄道が始まって以来の歴史を覆すような大合理化の始まりだ。特にJR東日本が強行する全職名の廃止と「業務融合化」は、労働のあり方を根本から変えようとする大攻撃だ。動労千葉のストライキを支援し、3月12日午後1時30分から千葉商工会議所第一ホールで開かれる動労千葉総決起集会に集まろう。

戦争阻止は労組の任務

 ロシア軍のウクライナ侵攻で戦争はついに現実のものになった。岸田政権はこれを機に中国脅威論をまくしたて、「敵基地への空爆」を公言し、大軍拡予算を衆院通過させた。そして、一気に改憲も強行しようとたくらんでいる。これは、ウクライナでの戦争と連動しつつ、東アジアでの戦争の危機を急速に引き寄せている。
 戦争・核戦争を阻むことは労働組合の特別の任務だ。現に戦争が開始された情勢の中で、動労千葉はストライキに立つ。それは労働者の階級性を守りぬき、戦争を絶対阻止する闘いの土台になる。11月労働者集会25年へ、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組が発したアピールは、労働運動の再建を土台に、「台湾有事」を焦点とした中国侵略戦争を絶対に阻止することを、日本と全世界の労働者人民に呼びかけている。その闘いの口火が切られるのだ。
 世界の闘う労働者が指摘しているように、外への侵略戦争は内への階級戦争と常に一体だ。関西生コン支部への弾圧やJRの「労組なき社会」化の攻撃は、戦争を遂行するために行われている。労働者がこれに徹底的に立ち向かえば、攻撃は階級的労働運動がよみがえる歴史的なきっかけに必ず転じる。それは、戦争をしなければ延命できない資本主義を打倒する闘いだ。

「融合化」粉砕する決戦

 資本主義の最後の延命策としての新自由主義は今や大崩壊しつつある。だが資本主義は、より極端な新自由主義攻撃にのめりこむ以外に延命策を持たない。
 その典型がJR東日本のたくらむ全職名廃止と「業務融合化」だ。これは、例えば運転士に車掌や駅員の仕事もさせ、エキナカ店舗の商品管理やイベントの企画業務もやらせるというものだ。JRは「労組なき社会」を前提に、雇用形態も労働時間も働く場所も労働の内容も徹底的に「柔軟化」しようとしている。
 JR東日本社長の深沢祐二は、「これからは仕事、系統の壁だけでなく企業の壁も越えていく」と言った。今までは、JR本体が外注会社の労働者に作業を直接指示することは偽装請負になるから「あってはならない」こととされていた。だが、深沢はその建前も意図的に崩すと公然と表明した。JRに所属する労働者が、外注会社から作業を指示されることも、今後はありうる。JRは、指揮命令も雇用形態にとらわれることなく「柔軟」に行えるようにしたいのだ。

「ジョブ型雇用」化狙う最先端の攻撃

 経団連は2022年版経営労働政策特別委員会報告で、「働き方改革フェーズⅡ」に入ると強調した。労働法改悪で雇用流動化の枠組みを作ったことを「フェーズⅠ」とすれば、それをフルに使って「労働生産性を向上」させ「付加価値の最大化」を実現することが「フェーズⅡ」だというのだ。そのための方策の柱が「ジョブ型雇用」への転換だ。すでにKDDIや富士通、日立製作所などで、一般職も含めた「ジョブ型雇用」の導入が進んでいる。
 「ジョブ型雇用」とは、職務内容をあらかじめ限定して雇用することをいう。企業の中でその職務が必要とされなくなれば、労働者は職務もろとも企業から排除される。業務が外注化されれば、その業務を担っていた労働者は直ちに解雇されるということだ。
 JRの「業務融合化」は、労働者に「何でも屋」になることを強いる。これは、職務内容を限定する「ジョブ型雇用」とは方向がまったく違うようにも見える。だが、「業務融合化」で労働者が携わる業務は、日ごとに、または時間単位で変わる。その働き方は、時間単位・分単位でその都度の労働を指示されるギグワーカーに似ている。ウーバーイーツの労働者は、仕事がある限りでしか労働の機会を与えられず、雇用関係の存在さえ資本によって否定されている。「業務融合化」が行きつく先は、まさにこれだ。
 自治体職場での「会計年度任用職員制度」や、6割以上の労働者が非正規職にされた郵政職場の現実は、これと同様の攻撃が全産別で進行していることを示している。これを許さない闘いは、全労働者の課題だ。

外注化の破産突く闘い

 JRの「業務融合化」には根本的な矛盾がある。JRの狙いは極限的な雇用の流動化だが、直接の攻撃対象は運転士や車掌などJRの正社員だ。JRは鉄道業務の外注化を徹底的に進めてきたが、運転士や車掌の業務まで外注化することは今まではできなかった。
 だからこそJRは、運転士や車掌に対して「定型的な仕事ならAIでもできる。正社員なら企業の付加価値を高めるための企画立案業務を担うべきだ」として、価値観の転換を迫っている。それができなければ正社員として扱わないという攻撃だ。想定されているのは、運転業務も外注化して労働者をそこに転籍させることだ。
 経団連は、「働き方改革フェーズⅡ」の鍵は「働き手のエンゲージメント」だという。エンゲージメントとは、経団連によれば「組織目標の達成と自らの成長の方向性が一致し、組織や仕事に主体的に貢献する意欲・姿勢」のことだ。運転士や車掌、駅員に企画業務に携わることを求め、「主体的にキャリアプランを描け」と迫るJRの施策は、この経団連の方針を忠実に実行しようとするものだ。
 JRは「定型的な仕事ならAIでもできる」と言うが、現実の鉄道運行は労働者がいなければ成り立たない。「業務融合化」は、運転士や車掌の労働の意義をことさら否定し、労働者の誇りを意図的に踏みにじり、運転保安を徹底解体しなければ貫徹できない。机上の空論でしかない「融合化」への現場の怒りは、深く激しく蓄積している。それは必ず噴出する。あきらめずに闘えば道は開ける。
 JRの民営化と外注化の破産は明白だ。外注先会社は労働条件があまりに劣悪で人員が確保できず、業務を遂行できない状態だ。JRは鉄道会社として致命的な矛盾を抱えている。
 それは、必要不可欠な公共交通が地域から奪われることでもある。ダイ改阻止の闘いは、労働組合と地域住民が団結し、新自由主義が破壊した社会を自らの手に取り戻し再建する闘いの始まりだ。動労千葉ストを全力で支援しよう。
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