入管法改悪は絶対阻止する 激化する入管攻撃を打ち破り 国際連帯の力で戦争とめよう

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週刊『前進』04頁(3236号04面01)(2022/03/21)


入管法改悪は絶対阻止する
 激化する入管攻撃を打ち破り
 国際連帯の力で戦争とめよう

(写真 名古屋入管で殺されたウィシュマさんを追悼し「入管は送還一本やりを撤回せよ」と東京入管デモ【3月6日 東京・港区】)

 ロシアのウクライナ侵略戦争に対する反戦闘争が全世界に広がっている。ウクライナからの避難民が400万人にも達すると予想される中、岸田政権は3月2日にウクライナ避難民の受け入れを表明。一方8日には自衛隊保有の防弾チョッキなどをウクライナに送ると決め、即実行した。これは交戦中の一方の当事国への装備品提供であり、武器提供―参戦につながる暴挙だ。世界戦争・核戦争が現実の脅威となった今、日本の入管法・入管体制をめぐる攻防も激化している。

「難民鎖国」を貫く日本

 岸田の受け入れ表明から13日までに47人のウクライナ避難民が来日した。この人々には90日間の短期滞在のビザが発給された。その後は就労も可能な「特定活動」(6カ月〜1年)を認め、必要に応じて更新するという。しかし、難民認定ではなくあくまでも「避難民」であり、支援者からは「近い将来、日本国内で生活に困窮しホームレス化してしまう事態が起こりかねない」と危ぶむ声も出ている。
 難民認定制度が始まった1982年から2020年12月末まで難民申請者が延べ8万5479人に対し、認定されたのはわずか841人、認定率は1%以下。昨年2月に軍事クーデターが起きたミャンマーに対しても、政府は在日ミャンマー人に在留延長や就労を認めるなどの「緊急避難措置」を講じたが、昨年3月時点で在日ミャンマー人の難民申請者が約3千人いたにもかかわらず、難民認定は昨年10月末でわずか15人! しかも「緊急避難措置」として特定活動ビザを与える条件に難民申請を取り下げさせているのだ。これではミャンマー国軍が民衆の抵抗を鎮圧するまでの時間稼ぎのような対応ではないか! ウクライナ難民への対応も同様だ。

ウィシュマさん追悼し

 3月6日、スリランカ人女性ウィシュマさん(享年33)が名古屋入管で殺されてから1年のこの日、全国各地でウィシュマさん追悼アクションが取り組まれた。東京入管デモには300人が集まり、「真相究明―入管よ、動画を編集するな!」「人権に国境はない」と怒りの声を上げた。東京入管の被収容者たちから「ありがとう!」の声がデモ隊に降り注がれた。デモ後、仮放免者から「日本にいる難民を認めないで、何がウクライナからの難民受け入れだ!」と怒りが噴出した。
 昨年8月に法務省が発表したウィシュマさん死亡事件の最終報告書は、彼女の死因さえ明らかにせず、再発防止策も「全入管職員の意識改革」「医療体制の強化」というものだった。
 しかも、スリランカから来日し真相究明と謝罪を求める遺族に対しても、法務省・入管庁はウィシュマさんが亡くなるまでを撮影したビデオの開示を拒否し続けた。遺族が国賠裁判を準備する中、ようやく開示されたビデオに映っていたのは、33歳の女性がむごい仕打ちを受けて見殺しにされていく姿だった。どんなに苦しんで助けを求めても、「強制送還を免れ、仮放免になりたいための演技」だという扱いだった!
 現在、東京入管に収容中のスリランカ人男性(47)は、ようやく許可された仮放免の更新が認められず2週間で再収容。入管内でコロナに2回罹患(りかん)、造影CT検査でアナフィラキシーを起こすなどした結果、嘔吐(おうと)を繰り返し、自立歩行が困難な状態だ。再収容から110日を優に超え、点滴で生きながらえている。国会議員も働きかけているが仮放免の許可が出ない!
 大村入管では、収容中に負ったけがを放置され左大腿骨壊死(だいたいこつえし)症と診断されたネパール人男性が、外部病院での手術ではなく、リハビリ施設に隔離され支援者との面会もできなくなった。これに対しても古川禎久法相は「必要な診療・治療を適時・適切に受けさせており、事実関係について認識の相違がある」と返答している。
 問題は、医師や看護師を含む「全職員の意識」を支配する「入管」というシステムだ。これ以上誰も殺させないために、入管法・入管体制そのものを粉砕し、入管収容所を解体しよう。

外国人労働者と団結を

 法務省は、2月28日に公表した有識者会議の「入管収容施設における医療体制の強化に関する提言」に沿って改善を進めると言うが、古川法相は「送還忌避・長期収容問題の抜本的解消」のためには、「退去強制が確定した外国人は、速やかに日本から退出することが原則」「法整備を含めた対策をしていく」と断言している。
 昨年、国会を取り巻く闘いで廃案になった入管法改悪案をあくまで通そうというのだ。7月参院選後か、その前にも入管法改悪絶対阻止の決戦は不可避だ。
 政府は、コロナ下で制限してきた新規入国者の規制を3月1日から緩和し、待機していた外国人技能実習生や留学生を受け入れるとした。だが、外国人労働者を受け入れるには、日本は問題が山積みだ。
 岡山市内の建設会社で技能実習中のベトナム人男性(41)が、2年間にわたって暴行を受けていたと訴えた。北海道の花畑牧場では1月26日、ベトナム人労働者38人が、1カ月7000円だった光熱費が1月に約1万5000円に引き上げられたことに抗議し事実上のストライキを行った。これに対し会社が200万円の損害賠償を請求するという事件が発生。いずれも地域の合同労組に加入し闘いぬいている。
 初めて6兆円台となった日本の防衛費。防衛省は「防衛力強化加速パッケージ」だと侵略戦争の野望を語り、米軍と連携し沖縄・南西諸島を出撃拠点に中国侵略戦争の準備を進めている。世界で7千万人を超える難民が生み出されている。労働者の国際連帯こそが、戦争を止める力だ。〝打ち破ろう分断! 取り戻そう団結!〟のスローガンを掲げ、改憲と戦争の岸田政権を倒そう! 入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会が呼びかける4・10全国交流集会を在日外国人と共にかちとろう!
〔革共同入管闘争組織委員会〕
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