「民族教育つぶし許すな」 東大阪 教育労働者が反戦訴え決起

発行日:

週刊『前進』04頁(3239号02面01)(2022/04/11)


「民族教育つぶし許すな」
 東大阪 教育労働者が反戦訴え決起

(写真 戦争絶対反対の決意を固めデモ【3月21日 東大阪市】)

(写真 教育労働者を中心に戦争情勢と対決して熱烈な討論【3月27日 東大阪市】)


 日本政府による中国・アジア侵略戦争準備が激しくなる中、東大阪市教育委員会は一昨年2月、教組や在日朝鮮人が一体となって37年間育んできた「朝鮮文化に親しむ東大阪子どもの集い」(以下「集い」)からの一方的な撤退を突然表明しました。東大阪市教職員組合は、組合員の怒りに依拠した大衆的な行動を起こすことなく、今年度から市教委を除く4団体での開催を決定しました。私たちは、「『集い』の廃止を許さない! 民族教育をつぶすな!」の多くの声を受け、「『集い』の廃止を許さない地域交流会」を立ち上げて闘ってきました。
 その最中に、ロシア・プーチンによるウクライナ侵攻が始まりました。岸田政権は、この戦争をチャンスとして改憲・核武装・戦争に突進しています。事態は一変しました! 戦時下で、維新の会などが議会で激しく民族教育をバッシングし、民族講師や在日の教員に〝民族教育をやめなければ解雇〟と、侵略の担い手になることを迫っています。市教委の「集い」撤退を超える激しい攻撃です。

在日教員を防衛し闘う教組の再生へ

 これを迎え撃つために3月21日、関西労組交流センターと「朝鮮戦争に反対する在日朝鮮人の会」が主催し「民族教育つぶしを許さない」布施デモ(東大阪市)を行いました。関西各地から約70人が結集し、沿道からものすごい反響が寄せられました。デモは地域を勇気づけ、市教委、維新の会にカウンターパンチを与えるものになりました。
 続く3月27日、関西労組交流センター・教育労働者部会は、民族講師や在日教員を防衛し、戦争絶対反対の教育労働運動を現場からつくり上げる決意で、「改憲・戦争のための民族教育つぶしを許すな!3・27関西教育労働者集会」を開催しました。関西から教育労働者を中心に四十数人が集まり、戦時下の激しい攻撃を、闘う教組再生のチャンスとして闘おうと熱い討論を繰り広げました。
 集会では、教労部会代表の増田順計さんが基調報告を行いました。増田さんはこの攻撃の狙いについて、「民族学級は、侵略の歴史を繰り返さないことを誓い、日朝労働者階級が一緒につくってきたものだ。今再び、岸田政権は中国侵略戦争を決断しているからこそ、民族学級を消し去り、在日と日本人労働者の団結を破壊することに全力を挙げ、教組を翼賛勢力化させようとしている」と明らかにしました。そして「『ウクライナ戦争をとめろ』と一体で、民族教育つぶし絶対反対の闘いは、日本労働者階級にとって戦時下における第一級の国際反戦闘争だ。この決戦を闘い教組をよみがえらせよう。労働者を戦場に駆り立てる自国政府を倒す反戦闘争だけが戦争を阻止できる。これができるのが労働組合。労働運働の力で戦争をとめ、戦争を必要とする腐りきった社会を根本から変えよう」と呼びかけました。
 続いて、「『集い』の廃止を許さない実行委」(以下「実行委」)の元東大阪市教組の教員が闘いの経過を報告しました。

団結破壊うち破り民族講師解雇阻め

 阪神教育闘争から民族学級がつくられたこと、在日が「差別があって苦しかったが、『集い』があったから頑張ってこられた」と語ったこと、「集い」立ち上げに関わった教員が地域交流会で「ストライキで勤評闘争を闘った布施教組(現東大阪市教組)の団結が『集い』の土台にあった」と発言したことなどが紹介され、文字通り在日と教組・現場教員が一体となって市教委を動かし「集い」を「東大阪の宝」として育ててきたことの大きさが語られました。
 2月の大阪府議会では、N府議が「学習指導要領では『竹島は日本固有の領土で韓国が不法占拠している』としている。この通り教えていない韓国籍教員は教壇から去ってもらうべき」と維新の会の吉村洋文知事に見解を求め、知事が「指導要領通りでなければ適性に問題がある」と応じました。維新の会は改憲・戦争のために民族講師を解雇し在日労働者との団結を徹底的に破壊しようとしています。実行委の教員は解雇反対で闘う決意を表し、「実行委を基に『教え子を戦場に送らない』闘う東大阪市教組をつくることに挑戦する」と訴えました。
 関西労組交流センター共同代表の木下浩平さんの3・21布施デモの報告後、活発な討論を行いました。
 この戦時下で労組がどう闘うか問われています。職場・地域から改憲・戦争をとめる闘いに立ち、闘う日教組をよみがえらせる決意です。(関西労組交流センター・教育労働者部会)

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注 阪神教育闘争と民族学級
 日帝の侵略と植民地支配の結果、1945年の敗戦時に日本には200万人もの朝鮮人がいた。日帝に奪われた言葉、歴史、文化を取り戻すために民族教育を求めて、全国各地で民族学校を次々と設立した。
 だが戦後革命圧殺のための弾圧が吹き荒れる中、48〜49年、GHQ(連合国軍総司令部)と日本政府は「朝鮮人学校閉鎖令」を出し、朝鮮学校の閉鎖を強制した。これに対し神戸、大阪を中心に全国で在日朝鮮人の反対闘争が爆発。48年4月24日、神戸市長に閉鎖令を撤回させたが、GHQによる非常事態宣言で取り消しになった。これを前後して神戸、大阪では3千人が逮捕され、1人の少年が射殺される大弾圧が加えられた。民族学級設置は、命がけで闘われた阪神教育闘争に由来する。
 その後、民族学級設置運動により大阪府内では各地の公立学校に民族学級が設置された。府費・市費の民族講師が配置され、在日の子どもたちが民族の言葉、歴史、文化などを学ぶ。
 民族教育つぶしは、在日の誇りを奪い、日帝の侵略の歴史を抹殺し、再び侵略戦争を繰り返すための攻撃にほかならない。

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