焦点 激化する改憲攻撃 労働者の反戦意識の解体に照準

週刊『前進』04頁(3241号03面03)(2022/04/25)


焦点
 激化する改憲攻撃
 労働者の反戦意識の解体に照準


 ウクライナ戦争をもてこにして岸田政権は中国侵略戦争と改憲の攻撃を強めている。自民党は今、安倍晋三や麻生太郎を講師役として各地で改憲決起集会を開いている。5月連休までに全都道府県で開くとしている。その集会は、大軍拡と戦争をあおる集会だ。安倍は山口県の集会で「中国の脅威」を叫び立て、「敵基地攻撃能力」について、「自衛のためには敵基地攻撃に限定せず敵の中枢もたたくべきだ」と、むき出しの侵略戦争論を展開した。日帝の側から中国や北朝鮮を脅迫し、戦争をけしかけているのである。

戦争想定の憲法審査会

 このかん国会では衆院憲法審査会が毎週1回のハイペースで行われている。参院でも3月下旬から審議が始まった。衆院憲法審査会では「緊急事態条項」を新たに導入する議論が行われた。「緊急事態条項」とは、戦争などの際に内閣が国会審議にかけずに独裁的に緊急政令を出し、集会・デモ・結社、ストライキなど、人民の権利をすべて奪うことを可能にするものだ。戦時下に必ず爆発する反戦の闘いを抑え込み、国民を戦争に動員するためである。3月の審議では「ウクライナ憲法における緊急事態規定」が検討材料とされた(ゼレンスキー政権は、戦争が始まると直ちに「非常事態宣言」と「戒厳令」を発令した)。ここに明らかなように、日帝は完全に戦争を想定して改憲攻撃を加速しているのだ。自民党改憲実現本部長・古屋圭司は「(夏の参院選が終われば)3年間は国政選挙はない。この間に世論を醸成して、国民投票に向けていく」と語っている。自民党は、時期が来れば日本維新の会や国民民主党を巻き込んで「数の力」で憲法審査会審議を終わらせ、改憲原案の国会発議―国民投票へ一挙にもっていこうとしているのだ。絶対に許すな!

「反戦」は根強く広がる

 日帝は、憲法9条に手をつけることができないまま、なし崩し的に自衛隊の大増強、海外派兵、集団的自衛権の解禁などを行い、沖縄にその矛盾と犠牲を押しつけてきた。だが、それでもなお突破できていない最大の問題は、日本労働者階級の中に広範に根づいている戦争反対の意識と闘いである。戦後革命期以来七十余年、国鉄分割・民営化攻撃に総評・社会党や日本共産党が総屈服しても、動労千葉を先頭とする労働者階級は断固闘いぬき、「戦争絶対反対」の地平を守りぬいてきた。とりわけ中曽根の改憲攻撃をうち破ったことは決定的な地平であった。
 そうした社会状況の中では、自衛隊員を侵略戦争に動員して「敵を殺せ」「お国のために死ね」と強制することは相当困難である。だから政府・支配階級は自衛隊を合憲化し、「国防は国民の義務」として当たり前に強制できるような社会のあり方、戦前のような軍国主義的国家につくり変えることを死活の課題としているのだ。
 だが、「戦争絶対反対」の声と闘いは世代をこえて引き継がれ、ウクライナ戦争をも契機に若い世代に大きく広がる勢いだ。日帝の危機はますます深まる。だからウクライナ反戦、中国侵略戦争反対の闘いで日帝を追い詰め、改憲を阻止することは全く可能だ。
 「3労組共同アピール」を武器に、反戦を闘う階級的労働運動を大きく発展させよう。労働者の国際反戦闘争と自国政府打倒の闘いでプロレタリア世界革命の勝利に向かって前進しよう。これだけが戦争をなくす唯一の道である。
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