ローカル線廃止狙うJR 大破産した分割・民営化 7・17国鉄集会で反撃に立とう

週刊『前進』04頁(3248号02面01)(2022/06/13)


ローカル線廃止狙うJR
 大破産した分割・民営化
 7・17国鉄集会で反撃に立とう


 JR各社は大規模なローカル線の切り捨てに踏み込んでいる。それは地方の息の根を止めるような激しい攻撃だ。新自由主義は大崩壊しつつ、社会を破壊し尽くしている。資本は戦争によってしか延命できなくなり、労働者人民の命は徹底的に踏みにじられつつある。JR資本がその攻撃を先頭で進めている。国鉄闘争全国運動が呼びかける7月16〜17日の集会は、これと対決する重要な闘いだ。

地方の息の根止める攻撃

 4月11日、JR西日本は輸送密度(鉄道営業キロ1㌔当たりの1日平均乗客数)が2千人未満の17路線30線区の営業収支を公表した。これを受けて4月12日付日経新聞は「JR在来線、6割が廃線水準」と衝撃的に報道した。5月にはJR四国が全線区で営業収支が赤字になったと発表した。JR東日本もローカル線の収支を公表し、地方交通のあり方について自治体と協議するとしている。
 この背後にあるのは、コロナによって乗客が大幅に減少し、北海道や四国だけでなく本州JR3社も軒並み大赤字に陥ったという事態だ。昨年2月、JR西日本の長谷川一明社長が記者会見で「赤字ローカル線の維持が非常に難しくなった」と発言、これを機にJR各社がローカル線切り捨てを公然と表明し始めた。
 今年2月には、国土交通省が「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」を設置した。国交省は、ローカル線廃止に向けた鉄道事業者と自治体との協議を、国の主導で半ば強制的に進めようとたくらんでいる。国交省の検討会はその具体策を策定するために設けられ、7月中に報告をまとめる。ローカル線廃止はそこから一気に動き出すと見なければならない。
 同検討会は「鉄道輸送の持続性確保は困難という危機認識を沿線自治体と共有する」ことを入り口にし、「公有民営化(上下分離)やモード転換などの抜本的改善策に取り組む」ことを出口にして、「輸送サービスの刷新」を図るという。
 自治体が鉄道施設を保有してその整備費を負担する上下分離やバス転換を押し付けるというのだ。だが自治体には上下分離に応じる財源などない。だから、自治体がバス転換を認めれば、国がいくらかの補助金を出すことも検討されている。鉄道の廃止へ、カネで自治体を誘導するのだ。しかし、転換されたバスが維持される保証はない。地方ではバスやタクシー事業者の撤退が相次いでいる。
 この検討会でJR西日本やJR東日本は、「大都市圏の収益で地方の赤字線を維持することはもはや不可能」と繰り返し主張している。ローカル線を維持すれば、大都市圏の鉄道も一緒に沈没しかねない。だから大規模な廃線化を認めろというのだ。それは「地方線の大虐殺」「不採算路線のトリアージ」とも表現されるきわめて激しい攻撃だ。
 これに対し5月11日、28道府県知事がローカル線の維持を求める緊急提言を国交省に出した。自治体業務の民営化を率先して進める自治体首長らも、地域を破壊するJRのやり方に異議を唱えざるを得ないのだ。

新自由主義が「国土」荒廃

 これらが示しているのは、1987年に強行された国鉄分割・民営化の大破産に他ならない。
 国交省の検討会に出された資料によれば、JR旅客6社の総営業キロ2万444㌔のうち、輸送密度が4千人未満の線区の割合は、20年度に57%に達した。
 「輸送密度4千人未満」とは、国鉄分割・民営化に際して廃止の対象にされた線区の基準だ。この基準により3157㌔の鉄路がJRから引きはがされた。特に北海道では、鉄路の総延長の約半分が廃止された。
 国鉄分割・民営化に際して自民党らは、「それ以上の廃線を避けるために国鉄の民営化が必要だ」と叫んだ。だが、この時に廃止を免れた線区のほとんどが、35年を経て廃線水準に落ち込んだ。「民営化すればローカル線は維持できる」という宣伝は、すべてうそだったのだ。
 JRが当面狙っているのは、特に乗客数の少ない輸送密度2千人未満の線区の廃止だ。これが強行されたら、西日本では広大な鉄道空白地帯が生まれる。JR東日本でも、輸送密度2千人未満の線区は、19年度に24線区、20年度に26線区に拡大した。それは、JR東日本の在来線の総営業キロの約3割に当たる。
 国交省の検討会でJRは、「国鉄改革で発足したJRが鉄道を維持し続けることは当然であるといった考え方は誤っている」「国鉄は環境の変化に対応できず経営破綻に陥り国鉄改革に至った」と叫んでいる。全面廃線は民営JRとして当然の措置だというのだ。
 そのためJRは3月ダイヤ改定で過去最大の減便に踏み込んだ。駅の窓口廃止なども次々に進めている。労働者に対しては、JR東日本は「業務融合化」、JR西日本は一時帰休から解雇に至る攻撃を仕掛けている。これは「鉄道の崩壊」と言うべき事態をさらに破滅的に促進する。
 地方を崩壊させる攻撃はJRだけにとどまらず、自治体、医療、教育、郵政などあらゆる産別で仕掛けられている。団結してこれと対決しなければ労働者人民は生きられない。
 資本主義の最後の延命形態である新自由主義は大崩壊し、資本は戦争で延命する以外になくなった。鉄道の崩壊が示しているのは、資本と国家が「国土」をまともに運営できなくなったということだ。岸田政権は「国土を守れ」と叫んで戦争をあおるが、「国土」をここまで荒廃させたのは資本と国家に他ならない。
 この攻撃の手先になっているのがJR資本だ。地方破壊への怒りは戦争への怒りと結合して必ず噴出する。7・16〜17国鉄集会は、新自由主義による社会の破壊に立ち向かい、戦争を阻止する決戦だ。

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