世界戦争への参戦と大軍拡狙う 岸田のNATO会議出席許すな 青年・学生先頭に6・28新宿反戦デモへ

週刊『前進』04頁(3249号01面01)(2022/06/20)


世界戦争への参戦と大軍拡狙う
 岸田のNATO会議出席許すな
 青年・学生先頭に6・28新宿反戦デモへ


 6月29〜30日にスペインのマドリードで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に、日本の首相として初めて岸田が出席すると表明した。ウクライナ戦争の参戦国として名乗りを上げると同時に、中国侵略戦争に向けて米欧との帝国主義的軍事同盟の強化を図ることが狙いだ。これに先立ち、岸田は6月10日にシンガポールで行われたアジア安全保障会議の講演で「防衛力を5年以内に抜本的に強化し、防衛費の相当な増額を確保する」と表明した。改憲・戦争と大軍拡に突き進む岸田打倒へ、全学連を先頭に実力闘争としてかちとられた5・22デモの地平を全国で拡大しよう。6・28新宿反戦デモに立ち上がろう。

軍事最優先の「骨太方針」

 ウクライナ戦争の最中に米日帝国主義の中国侵略戦争へのさらなる本格的な踏み込みを確認した5・23日米首脳会談をもって、帝国主義の体制的延命をかけた世界戦争・核戦争の過程が一気に加速されている。
 とりわけ危機に立つ日本帝国主義は、中国侵略戦争を自らの戦争として決断し、帝国主義としての延命のために物的・人的資源のすべてを戦争に動員しようとしている。そのことを示したのが、6月7日に閣議決定された「骨太方針22」だ。周知のとおり「骨太方針」とは、翌年度の予算編成などの方向性を示すものとして、内閣府の経済財政諮問会議が毎年6月に策定するものだが、今回出されたものは従来のそれとは全く異なる。
 まず「第1章/我が国を取り巻く環境変化と日本経済」で、「我々はこれまでの延長線上にない世界を生きている」とし、「ロシアのウクライナ侵略、権威主義的国家による民主主義・自由主義への挑戦」が「我が国を取り巻く環境に地殻変動とも言うべき構造変化」を生じさせたと確認。そして「第3章/内外の環境変化への対応」の冒頭に「外交・安全保障の強化」を挙げ、NATOの加盟国が防衛費について国内総生産(GDP)の2%以上を目標としていることを例示し、防衛力を「5年以内」に抜本的に強化することを明記した。原案では、NATO諸国がGDPの2%以上の国防予算確保を掲げていることは注釈での紹介にとどめ、「5年以内」との明記もなかったが、安倍晋三など自民党内から「しっかりした目安と期限を明示して国家意思を示せ」と指摘されたことを受け、本文に書き込まれた。
 さらに岸田は、「骨太方針」の閣議決定を受け、同じ日に経済財政諮問会議と「新しい資本主義実現会議」の合同会議を開催、そこで「我が国を守り抜く防衛力を構築すべく、さまざまな取り組みを積み上げていき、その上で必要となる予算をしっかりと確保していく」と述べた。自民党政調会長の高市早苗も、防衛費に関し「必要なものを積み上げれば、10兆円規模になる」との認識をあらためて表明した。しかもその財源は「短期的には国債の発行」「将来的には日本経済を拡大して防衛費に充てる」という。だが、「将来的な日本経済の拡大」などまったく空虚な絵空事でしかないことは、支配階級自身がよくわかっている。実際のところ、歴史的なインフレと円安に対してなすすべがなく、経済成長の展望もまったくない中で、日帝はもはや経済の軍事化と戦争に突き進む以外に延命できないところに追い込まれているのだ。
 だからこそ岸田政権は、今回の「骨太方針」で露骨に示されたように、戦争と軍事を一切に優先していく方針へとかじを切ったのだ。このことは絶対に軽視できない。かつて第2次大戦に突き進んだ過程と同様に、政治、外交、経済、社会全体が軍事を中心にして坂道を転がり落ちるように回り始めているのだ。

全政党が戦争翼賛勢力に

 6月22日公示―7月10日投開票となる参院選は、改憲と大軍拡が最大の焦点となった。日本維新の会は「自民党に公約を守らせるのが我々の役目だ」として「防衛費のGDP比2%への増額」「中距離ミサイル等新たな整備の拡充」「憲法9条への自衛隊の明記」を掲げ、「非核三原則」や「専守防衛」の見直しを主張している。公明党も5月の日米首脳会談をもって自民党の大軍拡支持へと転換した。立憲民主党は選挙公約の柱に「着実な安全保障」を掲げて防衛力の整備を強調し、防衛費についても「真に必要な防衛力を整備する結果、当然増えることもある」と踏み込んだ。
 自民党をはじめあらゆる政党が、「中国、ロシア、北朝鮮に対してどうするのか」「国民の命と暮らしを守れるのか」などと国家主義・排外主義をあおり立て、改憲と大軍拡に向かって労働者階級人民を押し流そうとしている。こうした中で日本共産党は、「有事には自衛隊を活用して国民の命と日本の主権を守りぬくのが党の立場だ」などと主張し、祖国防衛主義を積極的に鼓吹している。「国民の命と国家主権を守るためだ」と言われれば自国政府の戦争に賛成し、防衛費の増額にも日米安保の増強にも党を挙げて協力するということだ。また日本共産党は「新自由主義を転換して、やさしく強い経済を」(志位和夫委員長)などと言うが、もはやこんな「幻想」で労働者をだますことはできない。そもそも新自由主義の大崩壊にまで行き着いた帝国主義には戦争のほかに延命の道はなく、新自由主義のさらなる絶望的強行と一体で経済・社会のすべてを軍事優先にしていく以外にないのだ。
 戦後世界体制の最後的崩壊の世界戦争への転化は、すでに後戻りのできないものとして現実に始まっており、何よりも米日帝は中国侵略戦争を決断して本格的に動き出している。ウクライナ戦争はそうした中で勃発した。世界戦争・核戦争を阻止できるのは、全世界の労働者階級人民による反帝国主義・反スターリン主義世界革命だけである。
 何よりも、日本の労働者階級人民が全世界の労働者と固く団結し、自国政府のウクライナ戦争への参戦を許さず、日帝自身が当事国となる中国侵略戦争を阻止する反戦闘争に立ち上がることが求められている。戦争をする以外に延命できない帝国主義を労働者階級が革命によって打ち倒すこと、それが第3次世界大戦を止める唯一の道だ。

反戦貫き闘う労働運動を

 大軍拡と戦争のために労働者階級人民の生活をどこまでも犠牲にし、社会をますます崩壊させる岸田政権に対し、怒りの声は職場にも街頭にも満ちている。それは階級闘争の新たな高揚の可能性をいたるところに生み出している。
 JRの大規模なローカル線切り捨て攻撃はその象徴だ。国土交通省自身が「鉄道の維持が目的ではない」と言い放ち、自らが乗り出して廃線化を進める様は「ローカル線『大虐殺』」(「選択」5月号)と言われている。それは国鉄分割・民営化以来の日本における新自由主義攻撃の最後的な大破綻であり、まさに新自由主義大崩壊の実態をまざまざと示すものだ。
 東京では、7月1日から都立病院・公社病院がすべて独法化され、公的病院がゼロになろうとしている。同時に1万人と言われる都の労働者が非公務員化され、その裏で会計年度任用職員という形で自治体労働者の非正規職化が進められている。また地方の崩壊は10年以上にわたって年間500校にもなる公立学校の廃校をもたらした。その一方で、「ブラック職場」と化した学校では教育労働者の非正規職化が進み、いまや「先生が足りない」ことが社会問題化している。
 新自由主義は、雇用、社会保障、医療、自治体、学校など、社会が社会として成り立つための最低限の条件すら民営化によって打ち壊してきたが、戦争への突入はそれらを激烈に促進している。資本や国家が生き延びるためなら全てを犠牲にし、戦争と大軍拡のために労働者の生活をどこまでも踏みにじる帝国主義とその国家の打倒に向かって、反戦闘争への決起を真正面から訴え、階級的労働運動をあらゆる職場・産別でよみがえらせよう。
 戦争情勢下での連合の屈服と裏切りの中で、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組による「11月労働者集会25年共同アピール」に、これまでの上部団体の違いや垣根を越えて新たな労組賛同と結集が始まっている。
 5・22反戦デモの地平を引き継ぎ、戦争を止める実力闘争を発展させよう。青年労働者・学生を先頭に6・28新宿反戦デモをかちとろう。3労組アピールを全国で拡大し、7・17国鉄闘争全国集会に結集しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加