参戦を表明した日本共産党 「自衛権」主張し侵略戦争正当化

週刊『前進』04頁(3250号03面02)(2022/06/27)


参戦を表明した日本共産党
 「自衛権」主張し侵略戦争正当化


 日帝・岸田政権が大軍拡と中国侵略戦争に向かって攻撃を強める中、それと歩調を合わせるように日本共産党は「有事には自衛隊を活用して、国民の命と日本の主権を守る」と表明した(4月7日、志位和夫委員長)。これは日本共産党の「参戦表明」である。日本共産党は「自衛隊=違憲」論すら投げ捨てて、帝国主義戦争に積極的に協力・参戦することを表明したのである。第2次世界大戦でソ連スターリン主義が「民主主義対ファシズムの戦い」と称して米英仏など帝国主義陣営の一方の側にくみして参戦し、世界革命の闘いを裏切ったことの再現だ。本紙3244号3面に続き日本共産党を批判する。

「主権守るため自衛隊は戦え」

 戦後世界体制の最後的崩壊のもとで、没落と危機を深める基軸国=米帝は延命をかけて中国侵略戦争―世界戦争を決断し、その一環としてウクライナ戦争を激化・拡大させている。日帝・岸田もまた米帝と一体で中国侵略戦争のために大軍拡と改憲攻撃に踏み出している。戦争の元凶は何よりも米帝をはじめとした帝国主義であり、帝国主義とスターリン主義の双方をそれぞれの国の労働者階級が打倒する反帝・反スターリン主義世界革命こそ、世界戦争・核戦争を阻止する唯一の道である。
 日本共産党はまったく逆に「日本の主権を守るために自衛隊員は武器をもって戦え」と命令する側に立つことを公言したのだ。
 共産党の「自衛隊活用」論には、安倍晋三が早速、「自衛隊は憲法違反と言いながら、いざという時には守ってもらおうという、いい加減な政党だ」と右側からかみついた。これに対して小池晃書記局長は「あまりにもいい加減な悪罵だ」と反論したが、全然反論になっていない。小池は「中国の覇権主義や北朝鮮のミサイル開発をみれば、すぐに自衛隊はなくせない」と言い訳している。米日帝のものすごい軍事重圧に対して中国・北朝鮮スターリン主義が必死に軍事的に対抗していること——この構造を暴露せずに、「中国脅威論」「北朝鮮脅威論」に完全に屈服しているのだ。
 また日本共産党は「憲法9条のもとでも個別的自衛権は自然の権利として存在する」「急迫不正の主権侵害が起こった場合には、この権利を行使」と言っている。今後、「台湾有事」や「尖閣諸島」をめぐって、日帝が「日本の存立危機事態だ」「主権を守れ」と叫んで戦争に突入した時、共産党はこれに積極的に協力するということだ。戦争が始まる前から「対中国」を口実とした大軍拡や日米安保の強化に賛成していくことも明白である。

帝国主義戦争へ動員ねらうデマ

 日本共産党の「個別的自衛権は自然の権利」という主張は、唯物史観に敵対する観念論、デマゴギーだ。
 国家も権利も社会のあり方に規定された歴史的な産物であって、階級性を超越した永遠不変の国家、自然の権利など存在しない。国家は階級支配の機関であり、「近代的国家権力とは全ブルジョア階級の共通の事務を処理する委員会」(『共産党宣言』)以外の何物でもない。実際、現在のブルジョア独裁国家こそ労働者階級を「賃金奴隷」として強制労働させ、剰余労働を搾取し、貧困を強制し、生活・生命を奪っている元凶ではないか。
 こんなブルジョア国家の「自衛権」など実際には、ブルジョアジーの利益と延命のための侵略戦争に労働者階級人民を動員することを狙ったデマゴギーでしかない。
 そもそも「国家の自衛権」が強調され出したのは、20世紀の帝国主義の時代、それも第1次世界大戦後である。ロシア革命に続きプロレタリア革命の波が全欧州・全世界に広がることを恐れた帝国主義者は、パリ条約(1928年)で「国際紛争の解決のために戦争に訴えることは非とする」と宣言した。だが、その裏で「すべての加盟国は自衛権を保持している」と確認し、「自衛戦争」を禁止の対象とはしなかった。さらに米英が主導して「自国領土の外であっても、自国の利益に関わることで軍事力を行使しても、それは侵略ではない」という留保条件がつけられた。
 こうして全ての帝国主義国が「国家の自衛権」をふりかざして侵略戦争を正当化し、第2次世界大戦に突入していったのだ。

9条は自衛戦争も否定して成立

 「自衛権」に関して、日本共産党が触れようとしない歴史がある。1946年の憲法制定時の国会審議で共産党の野坂参三が「防衛戦争は認めるべきだ」と言って9条に反対したことに対し、当時の首相・吉田茂は「近年の戦争の多くは国家防衛権の名において行われた」「ゆえに正当防衛権を認めることが戦争を誘発する」と反論し、「自衛戦争論」をも否定して憲法9条が成立したのである(日帝政府は後に「合憲論」に転換)。敗戦直後の内外の革命的情勢下で、首相自身がここまで「譲歩」のポーズを見せなければ、日帝は延命できなかったのだ。
 日本共産党の「自衛戦争=合憲」論は、支配階級に憲法9条を強制した戦後革命期の労働者階級の闘いに敵対することから出発しているのだ。

帝国主義賛美し世界革命に敵対

 日本共産党の主張には「労働者階級」「資本家階級」「階級闘争」「帝国主義」などの階級的な概念がまったく登場しない。労働者階級の党であることを投げ捨てた共産党が語る全内容はブルジョア的世界観・価値観そのものである。それでいながら「共産党」「共産主義」の看板を掲げて労働者を欺いている。
 志位は4・29講演で「大きな目で見れば、人類は『核兵器のない世界』『戦争のない世界』への着実な歩みを示しているのではないでしょうか」と言っている。なんという帝国主義賛美の、誤った時代認識か! いま米欧日の帝国主義と残存スターリン主義・中国、旧スターリン主義・ロシアのそれぞれが延命をかけて第3次世界戦争・核戦争に向かっている時、日本共産党はこれを百八十度逆に描き、帝国主義とスターリン主義を打倒するプロレタリア世界革命がなくても「核と戦争のない世界」に自然に向かうかのように吹聴しているのである。労働者階級の危機感に冷や水を浴びせることにしかならない。
 米日帝国主義の中国侵略戦争―世界戦争の切迫の中で、今必要な闘いは、革命的反戦闘争と自国政府打倒の闘いであり、プロレタリア革命の勝利に向かって闘うことである。戦争情勢は帝国主義の階級支配の危機・破綻を一層拡大し、労働者人民の憤激に火をつけ、革命的情勢を急速に成熟させる。全力で闘おう。
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