焦点 自民が改憲攻撃加速 自衛隊明記は侵略戦争への道

週刊『前進』04頁(3251号03面03)(2022/07/04)


焦点
 自民が改憲攻撃加速
 自衛隊明記は侵略戦争への道


 新自由主義の大崩壊の中で、日帝は「ウクライナの次は台湾有事だ」と大キャンペーンし、日米共同の中国侵略戦争と改憲に突き進んでいる。自民党の茂木敏充幹事長は6月20日、「参院選後に憲法改正原案を国会に提出したい」と表明した。参院選で野党を総屈服させ、改憲勢力3分の2以上の議席を衆参両院で確保した上で、国会での改憲発議―国民投票へ一挙に突き進もうとしている。

「9条の2」新設の狙い

 現在の憲法9条のもとでは、戦時法体系(自衛隊員の戦闘行動を刑法や民法の責任から免責すること、捕虜取り扱い、軍事法廷など)もなく、徴兵・徴用・徴発の国民総動員体制もない。だが日帝はどんなに危機的で破綻的でも日米共同の中国侵略戦争に突き進むしかない。そのために9条解体と緊急事態条項で首相独裁体制を敷き、破滅的な戦争をやろうとしている。ウクライナのゼレンスキー政権が、戦争開始直後に、独裁的に戒厳令と成年男性の強制動員令を発令したのと同様のことを、日帝も狙っているのである。
 自民党の改憲案は現時点では、2018年の自民党大会で決めた4項目(自衛隊、緊急事態条項、参院選の合区解消・地方公共団体、教育の充実)である。9条については現行の9条を残し、以下の「9条の2」を設けるという。
 「第9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国および国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
 ②自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する」
 これについて自民党は、「自衛隊を憲法に明記するだけだ。現憲法の9条はそのまま残す」と強調し、現在と変わらないかのように言うが、これは他政党や労組・団体を改憲側に取り込み、労働者人民を欺く卑劣なやり方である。自民党は労働者階級の中に根強く存在する反戦意識、反戦闘争と正面から激突することを恐れている。それで「9条は残す」としているが、「前条の規定は……」で始まる「9条の2」は9条を全否定し無効化するものだ。しかも法律の常識では後法(9条の2)が前法(9条)より優先される。だから、「緊急事態条項」と「9条の2」を新設し、国防規定と自衛隊を憲法に書き込むことは、日本の政治・経済・社会を一変させる。
 「必要な自衛の措置をとる……そのための実力組織」として自衛隊を保持することが憲法上の義務となる。防衛費の大幅増、軍需生産と武器輸出の拡大、長距離ミサイル、さらには核武装まで「9条の2」で合憲化される。
 現在の9条は残骸と化し、すべてが軍事最優先となり、人民の生活はその犠牲にされる。そして「自衛の措置」と称すればどんな侵略戦争も「合憲」とされる。改憲を絶対に許してはならない。

帝国主義戦争を内乱へ

 戦争と食糧不足、物価騰貴に対して労働者階級のストライキとデモの波が全世界に広がっている。このように帝国主義の戦争突入は平時の数倍も数十倍も階級闘争を激化させ、革命的情勢を成熟させる。「帝国主義戦争を内乱へ」の過程がすでに始まっているのだ。
 中国侵略戦争阻止、岸田政権打倒へ闘おう。
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