岸田の原発新増設宣言弾劾 核武装への突進阻止しよう 改憲・戦争阻止!9・23闘争へ

週刊『前進』04頁(3259号03面01)(2022/09/05)


岸田の原発新増設宣言弾劾
 核武装への突進阻止しよう
 改憲・戦争阻止!9・23闘争へ


 8月24日、岸田は「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」の場にて、原発の新増設や建て替え、運転期間の再延長、7基の原発の再稼働を打ち出した。原発政策をめぐる転換的な踏み込みであり、核武装のためだ。中国侵略戦争―世界戦争の切迫の中で、日本帝国主義は核戦争に自らの延命をかけようとしている。絶対に許さず、岸田を打倒してこの犯罪的な策動を止めよう。

原発政策の歴史的転換

 2011年3・11福島原発事故以降、民主党政権はおろか、自民党の安倍・菅政権においても、原発の新増設や建て替えに明白に言及したことはなかった。
 日本帝国主義は、原発の再稼働、運転期間原則の40年から60年への延長などには許しがたくも踏み込んできたが、原発事故を受けて立ち上がった巨万の人民の怒りと行動の前に新規建設にまで言及することはできなかった。岸田は中国侵略戦争―世界核戦争へ向けて帝国主義としての延命をかけて、この一線を越えてきたのである。
 福島原発事故は今も、水をかけ続けて再臨界を防いでいるだけの危機的状況が続いている。溶融した燃料(デブリ)の取り出しは8月25日に再び1年以上の延期が決定され、廃炉作業の見通しは立っていないのが現実だ。事故当日に政府が出した、原子力緊急事態宣言も発令されたままである。原発事故による甲状腺がんなどの健康被害や、避難生活による苦しみ、放射能と向き合い、なるべく安全な食料を生産しようとする農漁民の努力、被曝労働で命を削りながら再臨界を防いでいる労働者、その全てに岸田は唾を吐きかけた。二度と福島第一原発事故を繰り返させてはならない。岸田発言を絶対に許してはならない。
 岸田は当初「ハト派」の顔をして現れ、安倍国葬も「保守派の支持を得るため」だという論調もある。だが、岸田こそ安倍・菅を引き継いだ日帝ブルジョアジーの直接の代弁者だ。
 菅政権下、経団連が20年11月に発表した「。新成長戦略」では原発について「既設再稼働・建設再開、リプレース(建て替え)・新増設を問わず」「2030年までには新型炉の建設に着手」と、岸田の新増設発言を先取りしている。
 これを受けて政府が同年12月に発表した「グリーン成長戦略」では、原発を「確立した脱炭素技術」と位置付け、「最大限活用する」としている。この戦略で達成が目指されている「カーボンニュートラル」(排出されたCO2量と同量を吸収・除去することで全体としてのCO2排出量をゼロにする)においては再生可能エネルギーや水素、アンモニア発電、ゼロエミッション火力(CO2を回収する能力を持った火力発電)に注目が当たりがちだが、経済産業省などはこれらの発電方法を「技術的発展が予測不可能」だとして、あくまで同時に追求されるべき手段と位置付けている。つまり実際には、原発の再稼働・増設がこの戦略の基本なのだ。
 これは環境破壊への意識の高まりを逆手にとった、エネルギー産業領域における「国家改造計画」であり、岸田の新増設発言は、この貫徹をかけたものだ。
 国葬の強行にも表れているが、岸田がもはや融和的態度をとれなくなった背景にあるのは、日本帝国主義の絶望的な危機である。
 「。新成長戦略」で「(原発)再稼働の停滞……建設・運転・保守を支える人材が既に枯渇しつつあり、技術とノウハウの継承が強く懸念」と述べているとおり、労働者民衆の闘いに核技術の「停滞」を強制されてきた日帝は、中国侵略戦争―世界核戦争へ向けて絶望的な飛躍を構えるしかなくなった。ブルジョアジーは民主的な装いなどもはやとれず、関西地区生コン支部への凶暴な弾圧に表れているように、労働者階級の団結・抵抗を破壊する以外に自らの支配を維持できない。フクシマ圧殺、反戦反核闘争の全面圧殺に踏み込もうとしているのだ。

岸田打倒のチャンスに

 われわれは絶対に許さない。そして、こんなことがまかり通るわけもない。
 福島をはじめとして全国で不屈に闘われる反原発の運動は根強い力を持ち、情勢に食い込んでいる。今回の岸田の発言を受けて朝日新聞が27、28日に実施した全国世論調査(電話)では、原発の新増設に「賛成」は34%、「反対」は58%と、岸田は圧倒的な反発で迎えられている。
 原発事故の脅威の前に立ち上がった数百万規模の人々が、この国に巨大な不信感を抱えて今も暮らしている。このような積みあがった怒りが「安倍の功績をたたえる」という国葬に強く反発し、今、岸田政権の改憲・戦争国家化を破綻に追い込む一翼を担っている。
 岸田発言に激しく怒って闘い、岸田打倒のチャンスにしよう。汚染水の海洋放出をめぐる攻防、東海第二原発をはじめとした7基の原発再稼働をめぐる攻防、数万人の原発避難者たちの苦闘、そしてついに当該が決起して始まった311子ども甲状腺がん裁判。岸田は来年のG7サミットの広島開催で反核運動を壊滅しようともしているが、原発の新増設を宣言する岸田の「核なき世界」など誰が信じるのか。この策動も必ず跳ね返すことができる。
 真剣に怒り闘う多くの労働者民衆と共に闘い、岸田発言への怒りを改憲・戦争阻止の大闘争へと組織しよう。安倍を引き継ぐ岸田打倒へ、9・23国葬阻止闘争に集まろう。
このエントリーをはてなブックマークに追加