帝国主義が生き残りをかけ中国スターリン主義転覆へ 革共同議長 清水丈夫

週刊『前進』04頁(3260号03面01)(2022/09/12)


帝国主義が生き残りをかけ中国スターリン主義転覆へ
 革共同議長 清水丈夫


 中国侵略戦争阻止、ウクライナ戦争阻止闘争を一大反戦闘争として爆発させることは、党にとって並大抵ではない問題を突きつけています。
 戦後世界体制は帝国主義とスターリン主義の相互依存・対立関係としてありましたが、いま現実に起こっていることは、帝国主義がスターリン主義をも侵略し、分割し、再支配しなければやっていけないところに来ている。アメリカ帝国主義が世界を巻き込んで、帝国主義とスターリン主義のこれまでのあり方そのものを徹底的に破壊して、中国をも侵略し支配することを本気で考え、行動を開始している。ここに現在の情勢の重要な特徴があります。
 大国の米中が激突したら世界が壊れてしまうから戦争にはならないだろうと言うが、そんなことはない。帝国主義とスターリン主義は別々に存在するのではなく、帝国主義から社会主義が分裂し、その社会主義がスターリン主義に変質して、互いに対立し依存する関係になった。そこには明確な力関係がある。帝国主義の基軸が基本的に、圧倒的に生き残ったことが世界情勢を決めている。
 他方、スターリン主義の破産は1991年のソ連崩壊をもって分水嶺(ぶんすいれい)を越えた。中国は残存スターリン主義。米帝との関係を通して経済的に大国になったが本質的に脆弱(ぜいじゃく)な構造で、帝国主義の大恐慌が爆発した場合にそれをのりこえていけるような独自の存在ではない。帝国主義に対しては本質的に受動的で対抗的に積極的な政策をとることしかできない。それは今でも変わらない。
 徹底的に行き詰まったら帝国主義は、戦争で外に向かって膨張する方向でなんとか生き残ろうとする。この点ではレーニンの時代も今もほとんど変わらない。アメリカ帝国主義自身が経済的にも国内支配的にも大変な危機になっていて、こんな状態で戦争なんかできるのかと言う人もいるけど、だからこそ、やるんですよ。帝国主義というのはちゃんとやっていけている時は、世界大戦みたいな、自己の存亡をかけて命がけで戦うような戦争はやらない。しかし今は米帝を中心にした帝国主義が、生き残りのためにスターリン主義の本国への戦争を仕掛け、中国の転覆に賭けるしかなくなっている。
 米下院議長のペロシが台湾に行って「中国には問題がある、台湾を絶対に守る」と言ったのは、中国スターリン主義を無視抹殺する暴挙です。行き詰まったアメリカ帝国主義が、台湾は自分の支配下、勢力圏だと宣言したに等しい。いざとなれば、台湾は米帝のものにするんだとはっきり宣言した。そして中国が攻めてきたら打ち返すんだと言って、台湾に巨額の軍事援助を行い、台湾の武装を全力を挙げてやっている。
 米帝が帝国主義体制の存亡を賭けて残存スターリン主義・中国の転覆をめざす戦争に踏み込むことは、世界史を画する超重大事態です。関係する国の大きさからいっても、破滅的な大戦争になる。それでもやるというのが帝国主義です。中国に対していま戦えば勝てるとアメリカの軍部は言っている。そのために軍事演習なども徹底的にやっていて、それ自身がすでに戦争の一部として進行している。したがって、帝国主義の中国侵略戦争を阻止するという闘いは大変な大闘争になる。これを党としてしっかり討論して、腹を固めて、長期戦になっても絶対に勝つ覚悟で闘いたいと思います。
 もう一つ、ウクライナ情勢について。ウクライナの戦争は、アメリカ帝国主義とゼレンスキー政権などが一体となった勢力と、ロシアのプーチンとの激突としてある。米帝のウクライナでの戦争のやり方はきわめて帝国主義的、侵略的で残酷なものになってきている。米帝は中国との戦争に全力を挙げるために、ウクライナに金と武器は大量に与えるけど軍隊そのものは直接には送らないとしている。しかし米帝自身が前面に乗り出さないで、ロシアを完全に弱体化して崩壊に追い込むことなどできない。結局、このウクライナ戦争は長期戦になり、消耗戦になる。これはウクライナの人民にとっては地獄です。米帝の戦争の道具に使われて、どんなに死者が出ても解決のめどがつかない。
 だからウクライナにおいても、反帝国主義・反スターリン主義の立場を貫かなければダメだと。双方とも戦争は直ちにやめろと言わなくてはいけない。われわれは中国侵略戦争阻止とウクライナ戦争阻止の反戦闘争を全面的に爆発させることによってウクライナの労働者人民と連帯する。ロシアの労働者人民には、プロレタリアートの第2革命をもってプーチンを打倒し1917年の革命に戻ろうと呼びかける。反帝・反スターリン主義の綱領的立場、思想を今こそ発揮して闘うことが必要です。
 要するに、米欧日帝の中国侵略戦争、ウクライナ戦争は、21世紀現代における帝国主義戦争の爆発形態としてあると言えます。そして、その展開の中には帝国主義間争闘戦の爆発も含まれています。反帝国主義・反スターリン主義世界革命の勝利的貫徹以外に出口はありません。
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