JR東が4千人削減計画 ローカル線廃止と一体の大合理化 11・6集会で雇用破壊と対決を

週刊『前進』04頁(3264号02面03)(2022/10/10)


JR東が4千人削減計画
 ローカル線廃止と一体の大合理化
 11・6集会で雇用破壊と対決を

(写真 動労総連合と動労千葉は7月22日、鉄道廃止を狙う国交省前で抗議行動)

 JR東日本は3万4千人の鉄道部門の人員から4千人以上を削減する構想を打ち出した。ローカル線の大規模な廃止とも絡み、JRは国鉄分割・民営化を超えるような大合理化に踏み込もうとしている。
 これは戦時下で雇用のあり方を全面的に改悪する攻撃の一環でもある。11・6労働者集会は、国鉄分割・民営化に絶対反対を貫いてきた動労千葉を先頭に、これと総力で対決する決戦の場になった。

転籍がついに始まる

 JR東日本の鉄道部門4千人削減は、日経新聞の取材に深沢祐二社長が答える形で明らかにされた。8月31日付日経新聞は「2025〜30年に山手線などで導入するワンマン運転や保守作業のデジタル化で約4千人を減らす」「鉄道の人員は不動産や流通などの成長分野に回す」と報じている。そこでは「早期退職などは募らず、定年退職などの自然減や非鉄道事業への配置転換で対応する」とも書かれているが、自然減だけでは4千人削減にならない。
 国鉄時代に採用された労働者が定年を迎えて大量に退職する状態はピークを過ぎ、今後、退職者は減っていく。JR東日本はワンマン運転化で人員を削ると言うが、仮に山手線、京浜東北線、南武線、横浜線の首都圏各線区がすべてワンマン化されたとしても、削減できる車掌は千人程度だ。今後、膨大な労働者がその意に反して強制異動させられる。日経新聞の記事は「グループ内転籍や副業も促進する」という深沢の発言を引用している。転籍を強いる攻撃がついに始まるのだ。
 鉄道部門の労働者を不動産や流通部門に配転するため、JR東日本は「従業員の学び直しを支援し」「副業も促進する」という。労働者としての意識を最終的に解体し、「労働組合なき社会」を完成させる激しい攻撃がたくらまれている。
 これほどの人員削減を計画しながら、JR東日本は現在までそれを労働組合には一切提案していない。労働組合をとことん無視するこの対応に、攻撃の意図は鋭く表れている。

あらゆる業務を強制

 JR東日本は、これまでの鉄道労働のあり方を否定し覆す攻撃を次々と繰り出してきた。
 2019年3月のダイヤ改定で、支社の管理職が片手間で運転に従事する制度が設けられた。
 20年4月には「新たなジョブローテーション」の名で、運転士や車掌が同一職場で同一業務に10年以上就いている場合、別の職場か別の業務に強制的に異動させることにした。
 21年7月には「社外での多様な業務経験を新たなサービス・付加価値の創出につなげる」として、グループ会社での副業を「解禁」した。これは、副業を積極的に担う者を優先的に昇進させるということだ。
 今年3月のダイヤ改定では、運転士・車掌が所属する運輸区と駅を統合した「統括センター」、複数の駅を統合した「営業統括センター」が発足した。運転士や車掌に駅員の仕事もさせる「業務の融合化」がその目的だ。さらに、運転士・車掌や駅員が日ごと、あるいは時間ごとに企画業務や駅ナカ店舗業務、草刈りなどに携わる構想が打ち出された。JRはそれを「これまでの役割分担にとらわれない柔軟な働き方」と言う。同時に、職務を表す職名はすべてなくなり、職名は「係員」「主任」「主務」「副長」など上下関係だけを表すものになった。労働者には固有の業務などないというのだ。
 今年10月から支社の組織が再編され、首都圏本部と東北本部が設置された。支社の企画業務の一部は現業機関に移され、支社の管理職も一部は現業機関に配属された。これにより、現場の労働者も企画業務に携わらなければならなくなった。
 また、これまで支社の管轄下にあった車両センターは、首都圏本部などの管轄下に入った。車両センターで検査・修繕業務に携わる労働者は、これまでの支社の範囲を超えて別の車両センターに配転されることもありえるようになった。
 これらの施策は、御用労組も解体する18年以来の「労組なき社会」化攻撃と一体で強行されてきた。
 そして今、「業務融合化」は現場労働者に激しく襲い掛かっている。10月1日、水戸支社管内では水戸・勝田・土浦の各営業統括センターが発足した。これと同時に、水戸・勝田・土浦の各運輸区の全社員に、営業統括センターへの兼務発令がなされた。これは「運転士や車掌は駅でも働け」ということだ。
 横浜支社管内に設置された湘南・相模統括センターや小田原・伊豆統括センターでは、運転士の行路に駅業務が組み込まれている。
 千葉支社管内の木更津統括センターでは、「希望した」乗務員の一部が、行路の割り当てで指定されて駅業務に就いている。千葉運輸区では「希望した」運転士が車掌の業務も担う「混合運用」が行われている。
 JR東日本は、労働者に自ら手を挙げさせ、競争をあおって業務融合化を進めている。だが、企画業務まで現場に担わせるJRの施策についていける労働者はほとんどいない。「成果」が上がらなければ労働者は切り捨てられる。こんなことが無限に続けば、壊されるのは人間だ。それは安全の解体にも直結する。
 鉄道部門の労働者を転籍に追い込むためのこの絶望的な施策は、国鉄分割・民営化が破産したからこそ、出されてきた。国鉄分割・民営化以来の新自由主義に決着をつける大決戦が始まったのだ。

戦争動員に至る攻撃

 岸田政権は10月4日の「新しい資本主義実現会議」で、「労働移動円滑化」に向けて「ジョブ型雇用の普及と職務給の採用を促す」という方針を出した。「ジョブ型雇用」とは、あたかも「職務を明確にして専門性や能力を重視する」ものであるかのように言われるが、JRで現に行われているのは、「ジョブ」の輪郭さえなくして労働者を「何でも屋」にする攻撃だ。これこそ資本が意図しているものと見るべきだ。
 「新しい資本主義実現会議」は副業促進と「学びなおし支援」を掲げる。JR東日本も「副業」を「企業の壁を超えた働き方」と位置づけ、「業務融合化」で職種の違いを超えると言う。行きつく先は雇用という概念もなくし、全労働者をフリーランスにすることだ。こうして雇用も権利も団結も全面的に破壊して、岸田政権は労働者を中国侵略戦争に動員しようとしているのだ。
 新・戦争協力拒否宣言を発した動労千葉を先頭に、これと総力で対決するのが11・6労働者集会だ。日比谷に集まり、戦争を阻止する階級的労働運動をよみがえらせよう。
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