労働者階級に国境はない 韓米労働者迎え国際連帯集会

週刊『前進』04頁(3269号04面02)(2022/11/14)


労働者階級に国境はない
 韓米労働者迎え国際連帯集会

(写真 日韓労働者の国際連帯の歴史を語り、旭非正規職支会の争議勝利を訴える金元重さん【11月5日 千葉市】)

 11月5日、国際連帯集会が千葉市内で開かれた。コロナで直接の行き来がかなわない状況が続いていたが、今年は3年ぶりに韓国やアメリカからの来日が実現した。さらに世界各国出身の在日・滞日外国人労働者や留学生も多く参加。労働者階級に国境はないこと、戦争をやめさせ社会を変革する力は労働者階級の国際連帯にあることを強く確信する集会となった。
 世界各地の闘いを伝えるオープニングビデオ上映に続き、主催者あいさつに立った動労千葉の関道利委員長は、激化するウクライナ戦争と世界戦争・核戦争危機の切迫に対し、「戦争こそ労働者に対する最大の権利破壊、団結破壊だ。労働組合の破壊なしには戦争に突き進めない。とりわけ東アジアでの戦争阻止へ、まなじりを決して立ち上がろう」と呼びかけた。
 韓国・民主労総からは5人の代表団が来日し、ソウル地域本部のイヒョンミ首席副本部長と、鉄道労組ソウル地方本部のチョンヨンホン教育局長、保健医療労組原子力病院支部のイソジョン支部長が発言に立った。「ろうそく革命」の地平の反革命的転覆を狙うユンソンニョル政権の労働改悪攻撃と全面対決して闘っている現場からの報告と、日本の労働者との連帯を求める熱い決意が語られた(発言別掲)。
 アメリカからは労働者党建設統一戦線委員会のスティーブ・ゼルツァーさんが登壇した。アメリカでは階級的に目覚めた労働者が資本だけでなく既成の官僚的な労働組合指導部とも闘い始めていることを報告し、必要なのはファシズムに対する統一戦線だけではなく、労働者階級を権力の獲得に向かって組織する真の労働者党の建設だと提起した。そのためにも日韓米の労働者が軸になり、「帝国主義戦争に反対する労働者階級の世界的な共同行動が必要だ」と力強く訴えた。
 さらにロシアとウクライナにルーツを持つ外国人労働者が「労働者階級の団結で戦争を止めよう」と訴えた。多国籍労組専従は「国境とは何か考えよう」と問題を提起し、中国人留学生の代表は、習近平への怒りとともに「スターリン主義体制そのものを倒し、真の人間解放を実現するまで闘いぬく」と宣言し、大きな拍手を受けた。
 さらに国鉄闘争全国運動呼びかけ人の金元重さんが1960年代以来の日韓連帯の歴史の総括をふまえて、日韓労働者の団結を軸に国際連帯の前進をかちとろうと熱く訴えた。
 集会の後半、会場を圧倒したのはミャンマーからの訴えだ。在日ビルマ市民労働組合のマテンテンウ書記長がかけつけ、今も続く国軍による弾圧と空爆でいかに多くの人が殺されているかを訴え、この虐殺に加担している日本政府を弾劾した。「苦しいけれど団結があれば私たちの未来、夢は必ずかなうと信じている」との言葉に、全参加者がミャンマー人民と共に闘う決意を打ち固めた。
 これに応えてミャンマー連帯行動実行委員会の鎌田由子さんは、中国侵略戦争を狙う岸田政権がすでにミャンマーの戦争に深々と加担していると弾劾。旭非正規職支会支援共闘会議の清水彰二事務局長がAGC闘争の全国的拡大を訴えた。元新聞記者の福島尚文さんが「今こそ入管法・入管体制の解体を」と訴え、全員がその決意を共有した。
 動労千葉と連帯してきた韓国・台湾・米・ドイツ・トルコの闘う労働組合から寄せられたビデオメッセージも感動を呼んだ。
 動労千葉国際連帯委員会の山本弘行さんが、「生きさせろ! 戦争を直ちにやめろの声が全世界で沸騰している。自国帝国主義打倒の闘いと国際連帯は不可分一体だ。この怒りを労働組合として組織し、職場・地域から共同の闘いを着実に、着実につくり出そう」と締めくくった。

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民主労総・鉄道労組ソウル地方本部
 教育局長 チョンヨンホンさん

 激変と反動の時期です。帝国主義の野望と新自由主義は果てしなく、戦争による殺戮(さつりく)が続いています。困難な条件でも必死に闘う日本の同志たちと動労千葉同志たちを見て、力をもらい多くのことを学んでいます。同志たちが叫ぶ「憲法改悪反対」「新自由主義を終わらせよう」「戦争反対」に同意します。JRの人員削減と構造調整反対、不当解雇撤回闘争を支持します。
 韓国の状況もそれほど変わりがありません。極右保守のユンソンニョル政権がスタートし、親資本政策を拡大し、公企業の構造調整と民営化推進をはじめとして、労働者民衆に犠牲を強いる道へ向かっています。
 これに対し、韓国の鉄道労働者たちも闘争を準備しています。私たちの要求を無視し、人員削減と構造調整計画を押し通すならば、私たちは11月現場闘争とストライキ闘争で立ち向かうでしょう。
 同志の皆さん! 闘う全世界の労働者はすべて一つであり、地域と国家をこえて団結し、連帯し闘わなければなりません。私たちは日本の同志たちとの連帯が一層拡大することを願います。トゥジェン(闘争)!

民主労総・保健医療労組
 原子力病院支部長 イソジョンさん

 保健医療労組は医療機関で働くすべての保健医療労働者の権利を守るために、またすべての市民が健康に生きられる社会をつくるために活動する韓国の代表的な産業別労働組合です。
 昨年には、コロナと感染症から国民の生命と安全を守るために、感染症対応体系構築、公共医療拡充、保健医療人員拡充に焦点を合わせ、産別交渉と産別闘争を展開しました。政府が明白な解決策を提示しなければ、全国8万組合員の力で全面的なゼネストに突入することを念頭に闘いました。ゼネスト突入直前までマラソン交渉を行い、9月2日明け方2時に劇的な合意を導き出しました。
 9・2労政合意は、▼コロナ感染症管理手当の制度化▼感染症対応体系構築のための中央感染症病院設立▼2024年まで全国圏域感染専門病院を拡大▼公共医療強化のための全国公共病院拡充▼全国70の医療圏に地域責任医療機関指定、などです。
 保健医療労組は、コロナの混乱を通して公共医療の重要性を一層認識させました。コロナで全世界が苦しめられています。国家主導の公共医療体系確立は、実現しなければならない課題です。
 感染症は境界線がありません。感染症克服のために全世界が連帯しなければなりません。その中心に実践する労働者がいるのです。共に悩み連帯していくことを願ってやみません。

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