戦時のマイナ法改悪阻止を 国に個人情報を握らせるな

週刊『前進』04頁(3274号03面03)(2022/12/19)


戦時のマイナ法改悪阻止を
 国に個人情報を握らせるな


 岸田政権は次の国会で、大軍拡予算と一体でマイナンバー(個人番号)法の大改悪を狙う。個人情報の保護規制を際限なく外してマイナンバーにひも付け、国が掌握して軍拡のための徴税の徹底と徴兵・徴用(戦時動員)、反戦運動弾圧に使う、戦時体制への突進そのものだ。職場・地域で怒りが沸騰するマイナ保険証義務化に絶対反対し、マイナンバー制度の廃止まで闘おう。

マイナ保険証に抗議殺到

 マイナ保険証の義務化は阻止できる。健康保険証廃止とマイナ保険証義務化=マイナンバーカード取得強制は完全な憲法違反・法律違反だ。岸田が2024年秋までに強行する動きに、労働組合や医師会、日本弁護士連合会(日弁連)をはじめ抗議の声が殺到。反対署名は19万筆を超えた。
 来年4月からは保険証の代わりにマイナカードが使えるオンライン資格確認システムが医療機関に義務付けられる。これに対しても保険医協会の医師・歯科医の大多数が「反対」を表明している。地域の診療所などの大量廃院と一層の医療崩壊を招くからだ。カード普及率の高い自治体に交付金を増やそうとする、政府の公平性を欠く違法施策への批判も噴出している。

「利便性」のうそに誰もだまされない

 政府は社会保障費を大幅に削減する一方、マイナカード普及に3兆円近い予算を投入。「お得です」「便利になります」と宣伝してきた。しかしカードの申請数は、2万円分のマイナポイントの付与期限を9月末から12月末に延ばしたにもかかわらず、いまだ全人口の6割にとどまる。来年3月までに「ほぼ全国民に行き渡らせる」政府目標などおよそ絶望的だ。
 12月1日の政府・経済財政諮問会議では、マイナカードの交付・申請とマイナポイントの取得が遅々として進まない状況がグラフで示された。カードを申請しない理由として「情報流出が多い」「メリット不明」が多数あるとして、今さらながら「不安払拭(ふっしょく)や利便性を実感できる制度設計を進めるべき」などと言わざるをえない状況に陥っている。危機感と敗北感がむき出しだ。このこと自体が、マイナンバー制度に反対しマイナカード取得を拒否する労働者人民の強固な意思の表れだ。
 これまでも労働者・労働組合は企業によるマイナンバー情報の収集を拒否してやめさせてきた。住民や商工団体は確定申告など番号記載が求められる行政手続きで「不記載でも受理」させてきた。「総背番号制」としてのマイナンバーとマイナカードの危険性に対し自ら闘うことで義務化を阻止してきたのだ。
 中国侵略戦争を前に体制打倒の危機にある岸田が絶望的に強行しようとするマイナ法の大改悪に、労働者人民の怒りはいよいよ燃え上がる。

軍拡徴税と徴兵制への道

 現行のマイナ法では、マイナンバーと個人情報のひも付けは「税・社会保障・災害対策」に限定されている。カード発行は「申請に基づき」と定めており、取得の強制はできない。追い詰められた岸田はマイナ法などの抜本改悪を画策。国家機関や資本が掌握・利用できる範囲を一気に拡大しようとしている。
 その意図は露骨である。11月2日、12月1日の経済財政諮問会議では、マイナンバーを通じた所得・資産情報、世帯状況、口座情報などの掌握でこれまで以上の医療・介護保険料、窓口負担を求めるようにすること、すでに2千万口座に達している公金受取口座の登録を口座登録法を変えて加速させ、マイナンバーにひも付けることが強調された。大軍拡のための「歳出改革」=社会保障費の徹底削減と収奪の強化、「軍拡増税」のために全銀行口座の登録を義務化し、差し押さえも含め資産データを使うことがたくらまれているのだ。
 デジタル庁は11月29日、有識者ワーキンググループの会合で、マイナンバーへの「公金受取口座の自動登録」と共に、マイナンバーの「利用範囲拡大」を行う法改定案を示した。医師・看護師、税理士など税や社会保障分野の国家資格に加えて、教員や行政書士などの資格登録や変更手続きを利用可能とするという。すでに運転免許証をマイナカードで代用したり、スマホにマイナカード機能を持たせることが国会審議もないまま当然のように言われている。自治体では図書館で図書カードの代わりに本の貸し出しに使うことが既成事実化している。
 しかしそれらは「利便性が増す」という問題ではない。利用範囲拡大とは、様々な個人情報を国家が一元的に掌握して使うことが可能となるということだ。
 住民票と結合した健康保険証・お薬手帳の情報は電子カルテに基づく健康状態と病歴の情報そのものだ。教育のデジタル化によって成績と学歴を、そして図書カードからは読書傾向までつかまれる。スマホにスイカなどのⅠCカード機能をもたせることで、公共交通機関による移動情報を家族や企業、さらに警察に常時伝えるサービスも始まっている。デジタル化とマイナカード義務化で、徴兵・徴用と治安弾圧の土台となる恐るべき監視国家化が狙われているのだ。

義務化阻止する大運動を

 しかし安倍国葬粉砕に続いて、中国侵略戦争阻止・軍事費2倍化反対の闘いと一体で、マイナ法の改悪粉砕・マイナ保険証義務化阻止の闘いは岸田政権を揺るがす激突過程に入った。医療労働者・労働組合を先頭に、通常国会と4月統一地方選を最大の焦点に、職場・地域から総反撃の闘いを巻き起こそう。
 福井県敦賀市の9月市議会では、補正予算案のうち国のマイナポイント事業を活用し子育て世代に最大120万円分のポイントを付与する1億3千万円余の事業案が「法の下の平等に反する」として全会一致で削除された。国のカード取得推進策が、地方自治の現場で否定されたのだ。
 東京の区役所前でのマイナカード反対を訴えるビラまきでは、カード発行業務にあたる会計年度任用職員との真剣な議論と結合が実現した。監視国家化に直結する業務を非正規職労働者に担わせるということ自体が矛盾そのものである。
 医療・介護職場、自治体の現場が闘いの決定的な焦点だ。すべてが戦争協力・戦争動員拒否の闘いだ。労働組合が絶対反対で闘うならば、労働者の反乱は必ず火を噴く。違法・不法なマイナ保険証義務化は阻止できる。マイナ法大改悪に絶対反対し、岸田政権打倒、マイナンバー制度廃止まで闘おう。
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ポイント
①カード普及に社会保障費削って予算3兆円
②「利便性」を掲げ情報ひも付けの歯止め外す
③マイナ義務化絶対反対で闘えば阻止できる

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