大軍拡・戦争国会粉砕! 中国侵略戦争阻止の反戦闘争を 実力闘争で岸田を打倒しよう 戦火ひき寄せ岸田が訪欧・訪米

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週刊『前進』04頁(3278号02面01)(2023/01/23)


大軍拡・戦争国会粉砕! 中国侵略戦争阻止の反戦闘争を
 実力闘争で岸田を打倒しよう
 戦火ひき寄せ岸田が訪欧・訪米

(写真 1月13日の新宿反戦デモ。戦闘的デモを打ち抜き、国会闘争―反戦闘争への総決起を誓いあった)


 岸田首相の訪欧と訪米(1月9〜13日)、そして日米安全保障協議委員会(2プラス2、11日)は、中国侵略戦争に突入する歴史的大攻撃である。まさに中国侵略戦争―世界戦争の開始そのものだ。これを阻止する巨大な反戦闘争を爆発させることは日本労働者階級の国際的・階級的な責務である。1月23日に開会する通常国会は、安保3文書に基づく大軍拡・戦争予算を許すのか否かの歴史的な大決戦だ。巨万の人民の決起で国会を包囲する大闘争を巻き起こそう。

英仏伊と軍事同盟を強化

 岸田とフランス、イタリア、イギリスとの首脳会談は、いずれも対中国の侵略戦争に向けた軍事協力、戦闘機共同開発、円滑化協定など帝国主義的軍事同盟の形成として行われた。岸田は今年の主要7カ国首脳会議(G7サミット)議長国としての立場をフルに使って、G7諸国を中国侵略戦争へ組織する主導的役割を担うとともに、決定的局面を迎えているウクライナ戦争についても、その積極的な推進国として登場した。ウクライナ戦争と中国侵略戦争へのG7諸国の結束を図るために、きわめて凶悪な帝国主義的戦争外交を行ったのである。
 中国の新聞は「G7の中でも日本の反中的姿勢は際立っており、すでにワシントン(米国)に従属する立場でもない。かつて日本が道を誤り、アジアにもたらした災難を想起させる動きだ」(10日付環球時報)と報じている。
 岸田は歴訪した各国で「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分だ」と訴えて軍事協力を推進した(表1)。フランスとは外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の早期開催、日仏共同訓練の強化を確認した。次世代戦闘機の共同開発を決めているイタリアとは、日伊関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げすること、2プラス2の開始で一致した。
 そしてイギリスとは「円滑化協定」(RAA)を締結した。RAAは、軍隊が相手国で共同訓練などを行う際、艦船・軍用機・武器弾薬、隊員の出入国手続きを簡略化することが柱だ。イギリス政府は「英軍の日本への配備を可能にする、1902年(日英同盟締結)以来、両国にとって最も重要な防衛協定だ」と大歓迎した。スナク英首相は、日本との軍事協力が「インド太平洋地域への英国の関与を強固にする」と述べた。
 欧州のG7各国は、米帝と日帝がウクライナ戦争―中国侵略戦争に積極的に突き進んでいる中で、市場・資源・勢力圏をめぐる再分割・再々編の帝国主義間争闘戦に立ち遅れまいと、積極的に軍事力強化と戦争へ動いているのだ。

日米会談で共同臨戦態勢

 岸田訪米に先だって11日にワシントンで行われた日米2プラス2(日本の外相、防衛相、米の国務長官、国防長官)は、日米安保同盟を対中国侵略戦争の軍事同盟に「純化」させ、「日米共同作戦計画」を一層確立させるものとなった。共同発表文書で日本は、「防衛予算の相当な増額を通じて、反撃能力を含めた防衛力を抜本的に強化する」「自国の防衛を主体的に実施し、地域の平和と安定の維持に積極的に関与する上での役割を拡大する」との決意を表明した。これに対して米国は「(日米)同盟の抑止力を強化する重要な進化として強い支持」を表明した。また、「中国の外交政策は自らの利益のために国際秩序を作り変えることをめざしている」と主張し、「国際社会全体にとっての深刻な懸念であり、最大の戦略的挑戦だ」とした。【全く盗っ人猛々しい戦争挑発の主張だ。台頭する中国を軍事力で威圧するために、北京など主要都市を攻撃できるミサイルを大量に搭載した空母機動部隊を出動させ、中国の目と鼻の先で頻繁に軍事演習を繰り返し、その果てに侵略戦争を仕掛けようとしているのは米帝・日帝の側ではないか!】
 そして共同文書は「同盟の現代化」と称して、「南西諸島を含む地域において、日米の施設の共同使用を拡大し、共同演習・訓練を増加させる」「日本の反撃能力の効果的な運用に向けて、日米間の協力を深化させる」と確認した。
 具体的に米帝は、沖縄に駐留する第12海兵連隊を2025年までに「離島有事」に即応する第12海兵沿岸連隊(MLR)に改編することを明らかにした。この部隊こそ、米軍の対中国作戦計画「遠征前進基地作戦(EABO)」を担う主力部隊である。MLRは開戦後、小規模な部隊に分散して敵の攻撃圏内にある各離島へ展開し、攻撃をかわしながら相手の艦艇や航空機を攻撃し、制海権の確保を狙う。このために長射程の対艦ミサイルや防空機能を備える。部隊の規模は2千人前後。米海兵隊は計3個のMLR創設を計画し、すでに昨年3月にハワイに最初のMLR部隊を発足させた。さらに一つを沖縄に置き、もう一つをグアム島に配備する計画だという。
 これと歩調を合わせて、陸上自衛隊は那覇市の第15旅団(約2200人)を強化し、師団規模(最大8千人)に格上げする。このようにEABOの本格的発動に向かって、米軍と自衛隊の部隊編成が進んでいるのだ。(表2)

日帝が米帝と並び戦争の前面に登場

 13日に行われた日米首脳会談では、日本が敵基地攻撃能力の保有と防衛費の大幅増額を決めたことに対して、バイデンが全面的な支持を表明した。そして日米共同声明で「米国と日本には単独および共同での能力強化が求められている」と主張し、「日本の反撃能力(敵基地攻撃能力)およびその他の能力の開発、効果的な運用」について日米協力を一層強化することを確認した。
 重大なことは、「核を含むあらゆる能力を用いた、......日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメント(関与)」と述べて、核兵器の使用にも言及したことである。中国侵略戦争を核を使う戦争として構えるということである。
 以上見てきた通り、2プラス2と岸田・バイデン会談は、中国侵略戦争に向かって日米がさらに軍事的一体化を進めるものとなった。日帝は「対米従属」ではなく、日帝自身が米帝と肩を並べて、もう一つの戦争主体として中国侵略戦争をやる以外にない。そうしなければ帝国主義として延命できない。それほどまでに日帝の危機は深い。新たな安保3文書は、そのような日帝のぎりぎりの帝国主義的・反革命的な踏み切りとして出された。

南西諸島の戦場化許すな

 中国侵略戦争が本当に準備され実行されようとしていることが、さらに明らかになった。ひとつはアメリカの戦略国際問題研究所(CSIS)が公表した対中戦争に関するすさまじい内容の報告書である(記事3面)。そして、もう一つが、本紙前号でも報じた通り、防衛省の研究機関「防衛研究所」による対中戦争を想定した21年度の提言である。1月1日付琉球新報が1面トップで報道した。

防衛研が「沖縄戦」再来の作戦を提言

 全く許しがたいことにこの提言は、沖縄を始めとする南西諸島が中国からミサイル攻撃され戦場となることを完全に前提化し、半年〜1年の長期戦に持ち込むことを作戦化している。そして「統合海洋縦深防衛戦略」なるものを提唱している。これは長期戦に持ち込んで、長射程の対艦ミサイルで中国に反撃し、海上で中国側を阻止するというものだ。提言の内容は安保3文書と一致している。つまり安保3文書は、こうした提言をベースにしてつくられた「中国侵略戦争のためのもの」なのである。
 提言をまとめた防衛研究所の防衛政策研究室長・高橋杉雄は、「住民の被害が生じるのではないか」という記者の質問に、「被害は自衛隊や米軍が使える飛行場や港湾に収まり、沖縄戦のように民間人が巻き込まれることはほとんどないだろう」「基地従業員や空港職員ら、軍事目標となり得る施設にいる民間人が巻き込まれる可能性はある」などと無責任に答えている。だが、戦場になって住民の被害が出ないことなどあり得ない。
 1月5日付琉球新報社説は次のように言っている。
 「驚くべき内容だ。海と陸との違いはあるが、これでは沖縄戦で第32軍司令部が遂行した『戦略持久戦』の再現ではないか。本土決戦の準備のための時間稼ぎによって一般住民に多大な犠牲を強いた作戦の過ちが繰り返されようとしている。『持久戦』の再現を断じて許してはならない」
 沖縄では怒りが爆発し、新たなミサイル配備に反対する闘いが広がっている。本土―沖縄が一体となった反戦・反基地闘争の爆発で「沖縄戦の再来」を絶対に阻止しよう。

帝国主義打倒する国際的反戦闘争を

 戦争の元凶は帝国主義だ。戦後世界体制の基軸国としてあったアメリカ帝国主義は歴史的没落と体制的危機を深め、今やスターリン主義・中国に対する侵略戦争、再分割・再々編の戦争に突き進むしかなくなっている。それは、現代における帝国主義世界戦争の爆発形態である。ウクライナ戦争も、世界戦争としての中国侵略戦争に至る歴史的脈絡の中で生起している。全力で反戦闘争を組織しなければならない。
 だが、これに対して中国共産党・習近平政権は、世界の労働者階級に、国境を越えた労働者の団結と反戦闘争を呼びかけるのではなく、台湾の支配権をめぐる対米対抗的な軍事的対応にのめりこんでいる。それは世界革命を放棄し、帝国主義に根本的に屈服したところからスターリン主義体制を維持・防衛しようとする反人民的な本質を持つものであり、米帝を始めとした全帝国主義に軍拡と戦争の格好の口実を与え、戦争の危機を一層激化させている。
 帝国主義の危機と矛盾の爆発としての中国侵略戦争―世界戦争を阻止することができるのは、労働者階級の国際的反戦闘争の爆発と、反帝・反スターリン主義世界革命だけである。
 日帝とマスコミが振りまく祖国防衛と排外主義の大宣伝を粉砕し、中国に対する侵略戦争を起こそうとしているのは日帝と米帝なのだということをとことん暴露して闘おう。そして、全国で巨大な反戦闘争を巻き起こそう。1・23通常国会開会日闘争に決起しよう。

(表1) 強まる日本と欧州各国の軍事協力
■イギリス
・円滑化協定(RAA)に署名
・次世代戦闘機を共同開発
■フランス
・外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を今年前半の開催で調整
・日仏の共同訓練を強化
・円滑化協定を念頭に議論中
■イタリア
・次世代戦闘機を共同開発
・外務・防衛当局間協議開始
■ドイツ
・フリゲート艦や戦闘機を派遣し、自衛隊と共同訓練
・物品役務相互提供協定(ACSA)の交渉開始で調整

(表2) 南西諸島の戦場化狙う攻撃
・日本の敵基地攻撃能力の運用に向け、攻撃対象の特定や情報収集 日米共同
◆神奈川県
・横浜ノース・ドックに小型揚陸艇部隊を新たに編成 米国
◆鹿児島県
・海上自衛隊鹿屋航空基地に米軍無人機MQ9を配備 日米共同
・米空母艦載機の訓練移転に伴う馬毛島の自衛隊施設・基地の大増強 日米共同
◆沖縄県
・米軍嘉手納弾薬庫地区にある火薬庫の共同使用 日米共同
・陸自第15旅団を「師団」に改編 日本
・奄美、勝連、宮古島、石垣に続いて、与那国島にミサイル部隊を新設 日本
・海兵沿岸連隊(MLR)を新編成 米国

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