大軍拡・戦争国会粉砕! 中国侵略戦争阻止の反戦闘争を 「反撃能力」保有など6.8兆円 23年度予算 増税と国債発行へ

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週刊『前進』04頁(3278号03面01)(2023/01/23)


大軍拡・戦争国会粉砕! 中国侵略戦争阻止の反戦闘争を
 「反撃能力」保有など6.8兆円
 23年度予算 増税と国債発行へ


 1月23日に始まる通常国会では戦後史上かつてない軍事費の大幅増額を含む2023年度当初予算成立が年度内に強行されようとしている。防衛力整備計画で防衛関係費は「今後5年間で43兆5千億円程度」と明記され、その初年度にあたる23年度は6兆8219億円(米軍再編経費などを含む)が計上された。前年度比26%増の大軍拡であり、中国侵略戦争を実際に遂行するための予算だ。

「禁じ手」の建設国債で戦費調達

 安保3文書と日米首脳会談および2プラス2での合意に基づき、岸田政権は「防衛力の抜本的強化」と称する大軍拡計画のため、27年度までに1兆円強を増税で賄うほか、社会保障の大幅削減を不可避とする歳出改革、国有財産売却、さらには国債増発をもって不足分を調達するとしている。今年度予算は建設国債を発行し防衛費に充てるという「禁じ手」にも手を出す。国債を戦後初めて発行した1965年には、福田赳夫蔵相(当時)が「公債を軍事目的で活用することは絶対に致しません」と答弁し、75年以降は赤字国債の発行により歳出全体が下支えされてきたとはいえ、直接に軍事費を賄う目的での国債発行はなかった。この点でも、23年度予算は戦後史を画する大転換だ。

中国との戦争を具体的に想定

 そして重大なことは、単なる金額の激増にとどまらず、この金を使って中国との戦争に向けた具体的な準備を一気に推し進めようとしていることだ。
 安保3文書で保有を明記し、2プラス2でその「効果的な運用」に向けた日米協力の深化を確認した「反撃能力」とは、自衛隊がこれまで憲法9条に基づく「専守防衛」の建前から、その保有を認められないとされてきた外国への直接攻撃能力にほかならない。今回、その「反撃能力」の具体化として、相手国の防空システムの圏外から長射程ミサイルで先制攻撃を加える「スタンド・オフ防衛能力」の必要経費約1・4兆円が計上された。
 このうち米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得に2113億円を充てる。米軍がイラクやアフガニスタンへの攻撃で大量に使用し、住宅や病院、学校などを破壊、子どもや女性を含む多くの人民を虐殺してきた殺戮(さつりく)兵器だ。自衛隊に導入される予定なのは、2021年に米海軍に納入が始まったばかりの最新型となる。
 また国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」の射程を1000㌔以上に伸ばし、航空機・艦船・潜水艦などにも搭載できるよう能力を向上させて量産するために1277億円、「島しょ防衛用高速滑空弾(能力向上型)」の開発に2003億円、音速の5倍以上で飛行する極超音速誘導弾の研究に585億円を計上した。
 相手国への攻撃とミサイル迎撃システムを組み合わせた「統合防空ミサイル防衛(IAMD)能力」の構築に約1兆円、また偵察・情報収集・攻撃用に無人機を備える「無人アセット防衛能力」には約2千億円を計上した。現にウクライナで猛威を振るう無人機について、防衛省は「革新的なゲームチェンジャー」「空中・水上・海中等で非対称的に優勢を獲得可能」と、その戦力を称賛してはばからない。

怒りの声を組織し予算案粉砕を

 このほか、従来の陸海空領域と宇宙・サイバー・電磁波という新領域とを統合する「領域横断作戦能力」の強化に1・6兆円、長期戦をも想定して弾薬・燃料の確保や施設の強靱(きょうじん)化を図る「持続性・強靱性」に約2・5兆円を投じるなど、もはや「自衛のための必要最小限度の実力」を完全に逸脱した項目が並ぶ。
 また、米政府から兵器を買う「有償軍事援助」(FMS)による契約額も過去最高の1兆4768億円となり、前年度の3797億円から1兆円以上も跳ね上がった。
 岸田政権は、このような圧倒的な軍事力の保有を公言し、そのための予算を今国会で強行しようというのだ。相手を威圧し、脅威を与えているのは明らかに米日の方である。「日本への武力攻撃を思いとどまらせることが目的」などと言いながら、実際には中国侵略戦争に向けた具体的準備を着々と進めているのだ。
 だが、大増税をも不可避とする岸田の戦争予算に対し、怒りの声は日本中の職場や街頭で沸騰している。戦争予算を粉砕する国会闘争を爆発させよう。

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