戦争のための入管法改悪許すな 戦時下の翼賛国会と闘おう

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週刊『前進』04頁(3278号04面03)(2023/01/23)


戦争のための入管法改悪許すな
 戦時下の翼賛国会と闘おう


 1月23日からの通常国会に、空前の大軍拡予算の成立を狙う「防衛力強化資金」新設の特別措置法案などとともに入管法改悪案を政府が提出しようとしていることが明らかとなった。しかも、2021年5月に自民党自ら取り下げ、廃案となった改悪案を再提出(!)するというのだ。
 改悪案の概要は、①難民認定申請に伴う送還停止(送還停止効)を、3回目の申請以降は認めない、②退去命令に従わない場合に刑事罰を科す、③監理措置の導入、④紛争から逃れた人たちを難民に準じて保護する「補完的保護者」創設などとなっている。
 2年前に入管法改悪に反対し国会を取り巻いた私たちが訴えたことを、完全に無視するというのだ。日本の入管収容施設でどれほどの人権侵害が起きているのか、なぜウィシュマさんは名古屋入管で死ななければならなかったのか! 難民申請者や仮放免者たちが「改悪されたら真っ先に強制送還されるのは私だ。私を殺そうというのか!」と怒りを訴え、「こんなことが日本で起きているなんて」と青年や女性たちが一挙に行動を始めた。怒りが巻き起こる中、前代未聞の改悪案取り下げとなった。その改悪案をそのまま再提出するというのだ。絶対に粉砕あるのみだ。
 17日には東京弁護士会が「旧法案の骨格を維持したままの法案の再提出に反対し、国際的な人権水準に沿った抜本的な入管法改正をするよう強く求める」との会長声明を発した。また同日、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、全国難民弁護団連絡会議などの運動体も連名で反対の声を上げた。さらに18日には入管法案再提出反対のツイッターデモが呼びかけられるなど、2年前、入管法改悪阻止を闘った人々が即座に動き出している。
 21年3月6日、入管収容中のスリランカ人・ウィシュマさん(33)は点滴も受けられず餓死した。遺族が起こした国賠訴訟で、ウィシュマさんの様子を映した監視カメラ映像を法廷内で上映することさえ国は拒否している! 真相を葬り、謝罪も責任者処罰もする必要などないとは、どこまで人をさげすむのか! この入管への怒りを広範な人々と共有し、入管法改悪案の再提出を阻止しよう!

戦争阻止の怒りを国会へ

 しかし、皆さん! 2年前とは情勢が一変している。ウクライナ戦争から1年、岸田政権は本気で戦争国家化に踏み込んでいる。通常国会で大軍拡予算を押し通し、5月にはG7議長国として帝国主義強盗会議をリードし、中国侵略戦争へと突き進もうというのだ。
 第2次世界大戦の戦前・戦中、日本帝国主義は、台湾・朝鮮の植民地支配をもって中国侵略戦争に踏み込み、さらにアジア・太平洋全域に戦線を拡大、戦争犯罪の限りを尽くした。
 強制動員や移入などで1945年の敗戦時、210万人もの朝鮮人・中国人が日本にいた。植民地化により日本国籍を強制し、戦後は一方的に日本国籍をはく奪。日本の入管制度は、この戦争と植民地支配の〝生き証人〟の治安管理体制として始まった。
 入管収容施設で心身の不調を訴える被収容者に対し、まず詐病を疑うという入管当局のあり方こそ、戦後も続くアジア人民への差別・抑圧体制であり、「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと自由」という1965年の法務官僚の言葉が今も生きている。
 昨年12月16日、安保3文書を閣議決定した岸田政権は、12月20日に犯罪対策閣僚会議の「『世界一安全な日本』創造戦略2022」を閣議決定した。「G7サミット等の大規模行事を見据えたテロに強い社会の構築」などが列挙される中、「外国人との共生社会の実現に向けた取組の推進」で「不法滞在者の縮減に向けた対策強化」として「送還忌避者の送還の促進」の項目があり、「入管法の改正を行い、難民認定申請中であっても、重大犯罪者やテロリスト、複数回申請者については、一定の条件下において送還を可能とする等の措置を講じる」と入管法改悪が前提となっている。
 岸田政権は、戦時下の国内階級支配の一環として外国人管理、入管法・入管体制の戦時的転換攻撃に打って出ているのだ。この戦争攻撃との対決を避けては、入管法改悪と闘えない。翼賛国会を巨万の怒りで包囲する戦争阻止の国会決戦を全力で闘おう。
 入管法・入管収容所に対する怒りを戦争阻止の怒りとして爆発させよう! 戦争をしなければ生きられない国など、入管もろとも解体しよう!

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