正規職の大幅人員増を 公務職場の業務は破綻寸前だ

週刊『前進』04頁(3283号02面05)(2023/02/28)


正規職の大幅人員増を
 公務職場の業務は破綻寸前だ


 全国の自治体職場で正規職の大幅人員増を求める春闘が正念場に入った。
 病院や介護・福祉施設、福祉窓口、保健所、児童相談所、保育所、学校、児童館・学童クラブ——命に直結する職場がどこも人員不足で業務破綻寸前だ。コロナ感染と貧困の拡大で業務が一層増えて労働環境が悪化。病休・離職する労働者が続出し、年度初めからの定数割れが深刻化して、過重労働と人員不足で業務が回らない悪循環が続く。
 報道される子どもの送迎バスでの放置事故や施設での「虐待」なども、労働者の分断と過酷な職場環境が根底にある。このままでは社会に必要な公的業務が成り立たなくなる——激しい危機感が悲鳴となって職場全体に広がっている。
 国・自治体当局の新自由主義による人員削減攻撃に加え、職場に労働組合が存在しないか、「労使協調」に堕落した労働組合の屈服の結果だ。今こそ労働組合本来の闘いが求められている。階級的労働運動の再生をかけて闘おう。

非正規・委託の拡大ではだめだ

 当局は人員不足を逆手に取り、1年契約・最低賃金の会計年度任用職員や外部委託の拡大を狙う。これに対し、あくまで正規職の大幅増員を求める非妥協の闘いが各地で始まった。
 ある市職労保育所支部では現場組合員数十人が決起する久方ぶりの大衆団交が闘われた。絶対的な人員不足を定年後の再任用職員や会計年度職員、派遣労働者でごまかそうとした当局の提案は粉砕され闘争が継続している。職場の闘う団結を再生し、国の少なすぎる保育士配置基準すら守られない現状を実力で突破する闘いの始まりである。
 別の市職労の福祉職場では生活保護の相談件数・申請数が1・5倍に増え、ケースワーカーの担当数が国基準をはるかに超えている。当局への要請行動で「人員不足が半端ない」ことが訴えられ、「産休や病休者が出ても人がつかない」「現場任せにするな」という切実な声を掲載した支部ニュースが復刊されて共感を集めている。闘いの必要性ゆえに労働組合再生の機運が広がっている。

会計年度職員の雇い止めやめろ

 会計年度職員の年度末での大量雇い止めが全国で大問題化し、労働組合の闘いの正面課題となった。不当解雇を許さない闘いも始まっている。
 北海道では3千人を超える雇い止めが報道された。全国の自治体のホームページを見れば、膨大な数の会計年度職員の募集が連日アップされている。それだけの数の職員が雇い止めで入れ替えられるか、新たに増やされて正規職から置き換えられようとしているということだ。管理職以外全員が非正規職の職場も増えている。団結破壊・労組つぶしの総非正規職化攻撃と真っ向から闘う時だ。
 杉並区議会で洞口朋子区議は2月14日、岸田政権の軍事費2倍化に反対すると共に、業務を第一線で支える会計年度職員の雇用年限と制度そのものの廃止、職員全員を正規で雇用することを求めた。全国の自治体で労働組合として闘おう。

戦時下の労組の再生かけた闘い

 岸田政権は大軍拡と一体で労働者住民の命にかかわる予算を徹底的に削ろうとしている。公務職場の正規職人員要求闘争は、戦争に反対し労働者の分断をはねのけて一律大幅賃上げを勝ち取る23春闘と一つだ。誰もが納得して行動に立つ圧倒的正義の闘いである。
 今や新規採用者の自治労への加入率は6割に下落。自治労連も同じだ。労働組合としての闘いの放棄が組合離れを生んでいる。自治労・自治労連幹部の労使協調路線は戦争翼賛と「労組なき社会」に行き着く。
 こうした状況を反転させ戦時下で現場の怒りを結集して労働組合の闘う団結をよみがえらせる時が来た。職場の安全衛生委員会を駆使した闘いも新たな団結を生んでいる。ロシア革命を先頭で担った女性労働者の「戦争反対! 生活費の高騰反対! 労働者にパンを!」の闘いを復権し労働組合の再生をかけ闘おう。
このエントリーをはてなブックマークに追加